毎日SNSに投稿して、ブログも書いて、動画も始めた。無料相談も受けているし、頼まれた仕事はできるだけ断らない。やることは山ほどあって、毎日忙しい。それなのに、売上は思ったほど伸びない。こういう状態の方は少なくありません。
私も独立したばかりのころは、まさにこの状態でした。何を発信すればいいか分からないまま、ブログもSNSも続けていました。無料相談もしましたが、成約にはつながりませんでした。やることを増やせば、いつか結果が出ると思っていたんですよね。
結論から言うと、個人が少人数で売上を作るために最初にやるべきなのは、やることを増やすことではなく、「やらないこと」を決めることです。時間も体力もお金も限られている個人は、力を分散させた時点で、どの分野でも抜けられなくなります。
この記事では、忙しいのに売上が伸びない理由、「何で戦うか」と「どう戦うか」の違い、やらないことを決める5つの判断基準、そして続けるかやめるかの見分け方を解説します。
忙しいのに売上が伸びないのは、力が分散しているから
まず、なぜ「全部やる」がうまくいかないのかを整理します。
個人で仕事をしている人が使える時間は、1日に数時間から十数時間です。その時間を、SNS、ブログ、動画、無料相談、単発の依頼に少しずつ配ると、一つひとつにかけられる時間はわずかになります。どれも中途半端なまま続くので、どれも成果が出るところまで届きません。
さらに、やることが多いと、振り返る時間もなくなります。何がうまくいって、何がうまくいっていないのかが分からないまま、次の作業に追われる。これが「忙しいのに売上が伸びない」状態の正体です。
戦略とは、何をやるかより先に、何をやらないかを決めることです。 やらないことが決まると、残ったことに時間と力を集中できます。集中すると、一つのことが成果の出るところまで届きます。どれか一つでも成果が出れば、そこから次の一手が見えてきます。
うまくいかない原因は、努力の量ではありません。力の配り方、つまり設計の問題です。
「何で戦うか」と「どう戦うか」は別の話
やらないことを決める前に、分けて考えたいことがあります。「何で戦うか」と「どう戦うか」の違いです。
- 何で戦うか:誰に、何を、どの場所で、どんな流れで届けるか
- どう戦うか:その場所で、投稿の書き方や見出しの付け方をどう工夫するか
多くの人は、後者の「どう戦うか」の工夫を集めることに時間を使います。投稿の書き方、伸びる時間帯、動画の編集のコツ。こうした工夫は、試せばすぐに変化が見えるので、手を出しやすいんですよね。
ただ、「何で戦うか」が間違っていると、どれだけ工夫を重ねても成果は伸びません。たとえば、あなたのお客様になる人がほとんどいない場所で発信していたら、投稿の書き方をいくら磨いても、申し込みは来ません。
「何で戦うか」を決めるときは、次の4つを考えます。
- 誰に届けるのか
- その人は、普段どこにいるのか
- どんな流れで、商品まで案内するのか
- いつ、案内するのか
この4つが決まってはじめて、「どう戦うか」の工夫が意味を持ちます。工夫を集める前に、まずこちらを決めてください。
振り返ると、独立したばかりの私に足りなかったのも、工夫ではなくこの4つでした。投稿の書き方はいろいろ調べていましたが、誰に届けて、どんな流れで商品まで案内するのかが決まっていなかった。当時一番欲しかったのは、「これをこの順番でやればいい」という手順だったと、今ならはっきり分かります。
「やらないこと」を決める5つの判断基準
では、何をやめればいいのか。私は次の5つの基準で判断しています。
| 判断基準 | 問い | やめる目安 |
|---|---|---|
| 1. 半分でも残すか | 使える時間が今の半分になっても、これを続けるか | 真っ先に削るものは、今やめてよい |
| 2. 誰のための活動か | 一番成果につながるお客様のための活動か | 誰に向けているか言えない活動 |
| 3. 仕組みに残るか | 一度やれば、次からも使える形で残るか | 毎回ゼロから作り直している活動 |
| 4. 見せ方で伸びないか | 新しく足す前に、今あるものの見せ方を変えたか | 見直さないまま、新しいことを足そうとしている |
| 5. 変化があるか | やり方を変えながら続けて、手応えがあるか | 同じやり方のまま、手応えがない |
1つ目の問いは、判断に迷ったときに一番役立ちます。「もし使える時間が今の半分になったら、何から手放すか」と考えると、自分の中での優先順位がはっきりします。そのとき真っ先に手放すものは、今の時点でも、実はそれほど大事ではないということです。
3つ目の「仕組みに残るか」も大事です。その場で終わる活動と、一度作れば次からも使える活動があります。毎回その場で考えて投稿するだけの活動は、続けても手元に何も残りません。一方で、講座の台本や、申し込みまでの流れは、一度作れば次の募集でもそのまま使えます。労働収入から抜け出すには、後者に時間を使う必要があります。
たとえば、キャリア相談のコーチがいたとします
5つの基準を、例に当てはめてみます。会社員向けにキャリア相談をしているコーチがいたとします。今やっていることは、毎日のSNS投稿を3つの媒体で、週1回のブログ、始めたばかりの動画、誰でも受けられる無料相談、知人から頼まれる単発の研修です。
「使える時間が半分になったら」と考えると、このコーチは動画と、反応の薄い2つの媒体の投稿を真っ先に手放すと答えました。この3つは、今やめても大きな影響はありません。単発の研修は収入になりますが、毎回ゼロから準備していて、仕組みに何も残りません。受け続けるかどうかは、講座づくりの時間が取れているかで判断します。
残ったのは、一番反応がある媒体での発信と、講座への入口になる相談です。無料相談も、「こういう悩みを持つ人向け」と対象を決めて受けることにしました。やることは減りましたが、一つひとつに使える時間は増えます。これが「やらないことを決める」ということです。
足りないものを足す前に、今あるものを整える
4つ目の判断基準について、もう少し詳しく書きます。
うまくいかないとき、多くの人は「足りないもの」を探します。「もっと資格があれば」「もっと新しい商品を作れば」「もっとフォロワーがいれば」。そして、足りないものを埋めるために、新しい学びや新しい活動を始めます。
でも、足りないものを埋めている間にも、時間とお金は減っていきます。埋め終わる前に力尽きてしまう人も少なくありません。
先にやるべきなのは、今あるものの見せ方を変えることです。
- 今の商品の説明を、お客様の言葉で書き直す
- 今の講座の名前を、誰の何を解決するかが分かる名前に変える
- 今の案内文の最初の一文を変える
新しいものを足すのは、今あるものの見せ方を変えきって、それでも伸びなくなってからで遅くありません。順番は、整えるのが先、足すのが後です。あなたが成果を出すための材料は、多くの場合、すでに手元にそろっています。
続けるべきか、やめるべきかの見分け方
5つ目の基準は、「続ける」と「やめる」の判断です。
「続けることが大事」とよく言われます。それ自体は間違っていません。ただ、同じやり方のまま続けることと、やり方を変えながら続けることは、まったく別のものです。成果を出す人は、うまくいかないやり方を早めに手放し、次のやり方を試し続けています。続けているのは「挑戦」であって、「同じやり方」ではありません。
見直しが必要なサインの一つが、「使ってもらえれば良さが分かる」という言葉です。これは裏を返すと、「使う前には良さが伝わっていない」ということです。この言葉が口ぐせになっていたら、商品そのものか、伝え方のどちらかを見直す時期です。
私は、次の順番で判断しています。
- まず、伝え方を変えてみる(名前、説明、案内の順番)
- 次に、届ける相手を変えてみる
- それでも手応えがなければ、その商品や活動は手放して、次を試す
反対に、思っていなかった相手から反応があったときは、見逃さないでください。狙っていた層ではなく、別の層から申し込みが来る。これは失敗ではなく、あなたの商品が本当に響く相手を教えてくれているサインです。開催後の振り返りで何を見ればいいかは、申込から成約までの9つの数字の見方で解説しています。
時間を使う相手を選ぶ
最後に、時間を使う相手の話です。
仕事を続けていると、売上の多くは一部のお客様から生まれ、手間の多くは別の一部のやり取りから生まれる、という偏りに気づくことがあります。すべてのお客様に同じだけの時間を使おうとすると、本当に成果を出したい人へのサポートが薄くなります。
ここで大事なのは、お客様を切り捨てることではありません。あなたの商品が一番役に立つ人に、一番時間を使えるように、仕組みを整えることです。
- 提供するサービスと、その範囲を一覧にしておく。一覧に無いサービスは、いつの間にか無料で提供することになりやすい
- よくある質問への答えは、まとめて案内できるようにしておく
- 発信や募集の文章で、「こういう人に向いています」「こういう人には向いていません」を先に伝えておく
私がチャレンジ企画で、準備1週間・集客3名で売上600万円という結果になったことがあるのも、人数を集めることより、来てくれた人に深く届けることに力を集中したからだと考えています。少人数から売上を作る考え方は、集客3名でも売上は作れる理由で詳しく書いています。
まとめ
- 忙しいのに売上が伸びないのは、「努力不足」ではなく、力が分散しているから
- 「何で戦うか」を先に決め、「どう戦うか」の工夫はそのあとで考える
- 「半分でも残すか」「仕組みに残るか」など5つの基準で、やらないことを決める
- 足りないものを足す前に、今あるものの見せ方を整える。やり方は変えながら続ける
- 時間は、あなたの商品が一番役に立つ人のために使えるよう、仕組みで整える
まずは、今やっている活動をすべて紙に書き出して、「使える時間が半分になったら、どれを手放すか」に印を付けてみてください。印を付けたものが、あなたの最初の「やらないこと」の候補です。


