マーケティングの本を読み、ライティングの講座も受けた。売れる文章の型も、心理学を使ったテクニックも、ひととおり知っている。それなのに、売上がなかなか伸びない。そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
知識が増えるほど、「次はどのテクニックを使えばいいか」と、使う手法のことばかり考えるようになる。実はそこに、売れない原因が隠れていることがあります。
結論から言うと、お金は「人に価値を届けたことへのお礼」としていただくものです。テクニックばかりに目が向いて、目の前の「人」のことを考えられなくなると、どんなに上手な文章を書いても、長くは選ばれ続けません。
この記事では、長く選ばれ続ける人とそうでない人の違い、テクニックに偏ると起きること、使っているテクニックを確かめる4つの点検、そしてテクニックを「届ける手段」として使う考え方をお伝えします。
長く選ばれ続ける人と、続かない人の違い
インターネットでビジネスをしている人はたくさんいますが、長く続けられる人ばかりではありません。一時期は大きく売れていたのに、数年たつと売上が落ち込み、やめていく人も見てきました。
長くビジネスをしている人の中には、マーケティングやライティングの知識が私よりずっと豊富な人もいます。それでも売上が伸び悩んでいる人と話をする機会があったのですが、話を聞いていると、共通していることがありました。
それは、「テクニック」ばかりに気を取られて、「人」のことを考えられなくなっている、ということです。
「どうすればもっと稼げるか」に意識が向きすぎて、商品を買ってくれる人のことが見えなくなっている。書いている文章は、確かにとてもレベルが高い。でも、それを読んで誰が喜ぶのか、何を学べるのかがよく分からない。そんな文章になっていました。
お金は、人に価値を届けたことへのお礼
ここで一度、根本に立ち返ってみます。お客様は、なぜあなたにお金を払ってくれるのでしょうか。
- マーケティングのテクニックを仕掛けたから?
- 感情を刺激して、欲しい気持ちを高めたから?
- たまたま気分が良かったから?
どれも、一つの答えではあります。ただ、もっと根本にあるのは、「お金は人に価値を届けたことへのお礼」だということです。分かりやすく言いかえると、お金を受け取りたいなら、人に喜ばれることをする、ということです。
人に喜ばれていないのにお金だけを受け取ろうとすると、それはもうビジネスとは呼べません。 一度は売れても、買った人が満足していなければ、次はありません。
収入と価値の関係については、ビジネスで得られる収入は与えた価値で決まるで詳しく解説しています。
私が「働いた対価」から「喜ばせた対価」へ考えを変えるまで
私は社会人としての経験が長かったので、決まった時間働けばお金がもらえる、という感覚はよく分かっています。
一方で、起業してからは、どれだけ一生懸命に働いても収入がゼロの月もありました。その頃の私は、どうすれば稼げるのか、ということばかり考えていたのを覚えています。
その後にたどり着いたのが、「どうすれば人が喜ぶものを届けられるか」という考え方です。考えてみれば、私自身も、つまらないものや独りよがりのメッセージにはお金を払いたくありません。払いたいと思うのは、自分に価値を届けてくれる人に対してです。
だからこそ、お金は働いた時間への対価ではなく、人を喜ばせたことへの対価だ、という考えを受け入れることができました。
テクニックの使い方を確かめる4つの点検
では、自分が使っているテクニックが、人に届けるためのものになっているかは、どう確かめればよいのでしょうか。書いた販売ページやメールを見ながら、使っているテクニックを1つずつ取り出して、次の4つを点検してみてください。
| 点検すること | 確かめる問い |
|---|---|
| 1. 事実かどうか | 「期間限定」「残りわずか」などの締め切りや限定は、本当にそうなっているか |
| 2. 解決まで書いているか | 悩みや不安に触れたあと、どうすれば良くなるのかの道筋まで示しているか |
| 3. 買わない人にも残るか | 買わなかった人も、読んで何か1つ持ち帰れるものがあるか |
| 4. 買ったあとに裏切らないか | 文章で約束したことと、商品の中身が合っているか |
4つのうち、答えにつまるものがあれば、そこが見直すところです。どれか1つでも「いいえ」なら、そのテクニックは「届ける手段」ではなく「払わせる手段」になりかけています。
特に1つ目は、すぐに直せるところです。本当は締め切りがないのに「今だけ」と書いてしまうと、一度はうまくいっても、あとで事実が分かったときに信頼をまとめて失います。
相手の悩みや、手に入れたあとの変化から考える問いは、本物の起業家は常に人を見るで詳しく解説しています。この記事の4つの点検は、その問いで考えた内容を「伝えるときの言葉」が裏切っていないかを確かめるためのものです。
点検の使い方の例
もう少し具体的に、点検の進め方を見てみます。たとえば、整理収納を教えている人が、自分の講座の案内メールを点検したとします。
メールには「残りわずか」「今すぐ申し込まないと後悔します」という言葉が何度も出てきました。1つ目の点検で確かめると、実は定員には余裕があり、締め切りも決めていませんでした。そこで、「残りわずか」は消して、本当に決めている申し込みの期限だけを書くことにします。
2つ目の点検では、「散らかった部屋にいると、気持ちまで沈みますよね」と不安に触れたあと、すぐに講座の案内に移っていることに気づきました。そこで、「まずは玄関だけ片づける」という小さな一歩を先に紹介します。これは3つ目の「買わない人にも残るもの」にもなります。
最後に4つ目で、講座の中身と照らし合わせて、「たった1日で家じゅうが片づく」という書き方を、実際の講座の内容に合わせて直します。点検の前と後で、変わったのは文章の上手さではありません。言葉の一つひとつが、読む人の側に立っているかどうかです。
テクニックは「届ける手段」として使う
ここまで読むと、「では、テクニックは学ばないほうがいいのか」と思われるかもしれません。そうではありません。
私自身も、マーケティングのテクニックやライティングのスキルを磨いてきました。ただ、それは「自分の考えを正しく届けるための手段」としてです。良い商品や考えを持っていても、伝わる形になっていなければ、必要な人に届かないからです。
問題になるのは、テクニックが「届けるための手段」から「払わせるための手段」に変わってしまうときです。感情をあおったり、心理を利用して無理にお金を払わせたりするやり方を続けていると、人はすぐに離れていきます。
心理の原則を、売り込みではなく読者のために使う方法は、ブログで使える心理の原則10選で解説しています。
「お金儲けは後ろめたい」と感じる人へ
もう一つ、よく聞く悩みがあります。「お金を稼ぐことに、どこか後ろめたさがある」というものです。
この後ろめたさは、「お金儲け」を「人から奪うこと」のように感じているところから来ていることが多いです。でも、お金が人を喜ばせたことへのお礼なのだとしたら、お金を受け取ることは、それだけ人の役に立てたという証でもあります。
人を喜ばせることでお金をいただくのなら、後ろめたく思う必要はありません。むしろ、たくさんの人に喜んでもらえるように、胸を張って価値を届けていけばいいのです。
まとめ
- お金は、人に価値を届けたことへのお礼としていただくもの
- テクニックばかりに目が向き、「人」を考えられなくなると、上手な文章でも長くは選ばれない
- 使っているテクニックは「事実か」「解決まで書いているか」「買わない人にも残るか」「買ったあとに裏切らないか」の4つで点検する
- テクニックは「払わせる手段」ではなく、「考えを正しく届ける手段」として使う
- 人を喜ばせてお金をいただくことに、後ろめたさを感じる必要はない
まずは、最近書いた販売ページや案内メールを1つ選んで、「今だけ」「限定」のような言葉に印をつけてみてください。それが事実かどうかを確かめるところから、点検を始められます。


