専門分野を決めるために、本を何冊も読んできた。少しずつ知識もついてきた。でも、専門用語がたくさん出てきて、分かったような、分からないような。この知識を、どうやって自分の専門性につなげればいいのだろう。
リサーチを進めている方の多くが、この段階で立ち止まります。
結論から言うと、読んだ知識が専門性につながらない原因は、「わかったつもり」のまま先に進んでいることにあります。出会った専門用語や、あいまいな言葉を一つずつ書き出し、人に説明できるところまで調べ直す。そのうえで、自分の専門キーワードを、より具体的なものに更新する。私はこれを「キーワードアップデート術」と呼んでいます。
この記事では、「わかったつもり」がなぜ危ないのか、キーワードアップデート術の3つのステップ、理解できたかを確かめる方法、よくある失敗をお伝えします。
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この記事の続きとして、「誰の・どんな悩みを・どう変えるか」を、これまでの経験からAIと1文のコンセプトにまとめる方法を書きました。
専門家への道を止める「わかったつもり」
本を5冊から10冊ほど読むと、たくさんの専門用語に出会います。マーケティングなら「CRM(顧客との関係を管理する考え方)」や「ファネル」のような言葉です。
ここで危ないのが、言葉を知っただけで「理解した」と思ってしまうことです。
学生の頃の数学のテスト勉強を思い出してみてください。意味の分からない公式を丸暗記して、その場のテストだけは乗り切った。そんな経験はありませんか。でも、その知識は、少しひねった応用問題が出た瞬間に使えなくなります。
ビジネスでも同じです。言葉だけを覚えた知識は、お客様から具体的な質問をされたときに答えられません。 丸暗記でテストを乗り切っただけの人が「数学を教えます」と言っても、授業を受けたいとは思いませんよね。
目指したいのは、質問されたときに、相手に分かる言葉で落ち着いて答えられる状態です。お客様が信頼するのは、難しい言葉を知っている人ではなく、難しいことを分かりやすく説明してくれる人です。
キーワードアップデート術の3つのステップ
では、どうすれば「わかったつもり」を抜け出せるのでしょうか。次の3つのステップで進めます。
- 専門用語と、意味があいまいな言葉をすべて書き出す
- 書き出した言葉を、人に説明できるところまで調べる
- 深まった理解をもとに、専門キーワードを具体的に更新する
ステップ1:専門用語とあいまいな言葉を書き出す
まず、リサーチの中で出会った専門用語や、意味がはっきりしない言葉を、一つ残らず書き出します。
「LP(ランディングページ)って、なんとなく知っているけれど、正確には説明できない」。そう感じた言葉も、リストに入れてください。
ここでの目的は、自分の理解の状態を見えるようにすることです。分かっているつもりの言葉ほど、書き出してみると説明できないことに気づきます。
ステップ2:人に説明できるところまで調べる
次に、書き出した言葉を一つずつ調べていきます。目安は、「その言葉を何も知らない人に、自分の言葉で説明できる」ところまでです。
調べる中で、別の知らない言葉に出会うこともあります。そのときは、面倒でも、その言葉もリストに加えて調べます。
たとえば、ある分野の入門書に「この仕組みは〇〇とよく似ています」と一文だけ書かれていたとします。〇〇を知らないまま読み進めることもできます。でも、少し遠回りをして〇〇の入門書を一冊読んでおくと、もともと学びたかった分野の理解が一気に深まることがあります。一見遠回りに見える「分からないところをなくす作業」が、しっかりした専門性を作るいちばんの近道になるのです。
すべての言葉を自分の言葉で説明できるようになると、ばらばらだった知識がつながり、一つの体系として見えてきます。
ステップ3:専門キーワードを具体的に更新する
専門用語が分かり、その業界の見え方がはっきりしてきたら、専門キーワードを更新します。
リサーチの最初に決めたキーワードは、まだ粗いものだったはずです。それを、より専門的で具体的なキーワードに入れ替えます。たとえば、最初に5つの候補を決めていたなら、理解が深まった今の目で、新しい5つに更新します。
ハンバーガーの評論家を目指す人で考えてみましょう。最初のキーワードは、誰もが知っている大手チェーンの名前だったかもしれません。でも、リサーチを経た今なら、専門店の名前や、特定の作り方のハンバーガーの呼び名に変わっているはずです。キーワードが具体的になっていることこそ、専門性が深まった証拠です。
理解できたかを確かめる3つの方法
ステップ2の「説明できる」は、自分では判断しにくいものです。次の3つの方法で確かめてみてください。
| 方法 | やり方 |
|---|---|
| 声に出して説明する | 本を閉じて、その言葉の意味を1分で話してみる |
| たとえ話を作る | その言葉を、専門外の人に身近なものにたとえて説明してみる |
| 例を3つ挙げる | その言葉が当てはまる場面を、自分で3つ考えてみる |
どれかで詰まったら、まだ「わかったつもり」の段階です。もう一度調べ直します。
AIに言葉の意味を聞くのも一つの方法ですが、AIはもっともらしい間違いを書くことがあります。AIの説明は入り口として使い、本や信頼できる資料で必ず確かめてください。
また、専門用語をそのまま使って説明すると、お客様には伝わりません。調べた言葉を、見込み客が普段使う言葉に言い換える練習もしておくと、発信のときに役立ちます。言い換えの考え方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える顧客情報の整理で解説しています。
用語リストは「自分だけの辞書」として残す
調べた言葉は、そのままにせず、一つのリストにまとめておきます。表計算ソフトやメモ帳で、次のような項目を残しておくと便利です。
- 言葉
- 自分の言葉での説明(一文で)
- 身近なたとえ
- どの本や資料で確かめたか
リストは一度作って終わりではありません。新しい本を読むたびに言葉を足し、理解が深まったら説明の一文を書き直していきます。半年ほどたってから見返すと、最初の説明がいかに粗かったかに気づくはずです。その変化が、専門性が育っている手ごたえになります。
このリストは、あとで大きな財産になります。ブログの記事のテーマになったり、講座の用語集になったり、お客様からの質問に答えるときの手元の資料になったりします。
たくさんの本から必要なところを効率よく拾う読み方は、10冊の本から宝を見つける「ザッピング読書術」が参考になります。
よくある失敗
キーワードアップデート術でつまずきやすいところを整理しておきます。
- 知らない言葉を「まあいいか」と読み飛ばしてしまう
- 意味を調べて満足し、自分の言葉で説明する練習をしない
- 用語リストを作らず、調べたことを忘れてしまう
- 理解が深まったのに、最初の粗いキーワードのまま進んでしまう
どれも、能力の問題ではありません。手順として決めていないから、飛ばしてしまうだけです。3つのステップを順番に進めれば、知識は少しずつ自分のものになっていきます。
深まったキーワードの中から一つを選んで専門分野として確定させる方法は、ライバル不在の「ニッチ市場」で頂点を取る方法で解説しています。
まとめ
- 専門用語を知っているだけの「わかったつもり」では、お客様の質問に答えられない
- 出会った専門用語とあいまいな言葉を、すべて書き出す
- 書き出した言葉は、何も知らない人に説明できるところまで調べる。遠回りに見えて近道になる
- 理解が深まったら、専門キーワードをより具体的なものに更新する
- 調べた言葉は、自分だけの辞書として残しておく
まずは、最近読んだ本を1冊開いて、自分の言葉で説明できない専門用語を5つ書き出してみてください。
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