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動画を渡すだけの講座ほど、受講者は途中で止まります|進み具合が見えるチェックリストで学びを行動に変える5つの工夫

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講座の動画は一通りそろえた。受講者からも「分かりやすいです」と言ってもらえる。それなのに、実際に手を動かして成果まで進む人が少ない。途中から質問も来なくなり、気づけば連絡が途絶えている。オンライン講座を運営していると、こういう場面によく出会います。

受講者が止まるのは、やる気が足りないからではありません。多くの場合、「自分が今どこにいて、次に何をすればいいか」が見えなくなっているからです。動画は、見終わった瞬間に「分かった」気持ちになれます。でも、分かったことを実際にやったかどうかは、動画のどこにも残りません。

結論から言うと、講座の中で「やったかどうか」を受講者が自分で確かめられる道具を渡すと、止まる人が減ります。その一番手軽な形がチェックリストです。見て学ぶ講座に、印を付けながら進む道具を一つ足すだけで、受講者の進み方が変わります。

この記事では、受講者が途中で止まる理由、講座で使う3種類のチェックリスト、使い続けてもらうための5つの工夫、そして渡す前に必ずやる確かめ方を解説します。

受講者が止まるのは、今どこにいるか分からないから

まず、受講者がどこで止まるのかを整理します。

講座を買った直後の受講者は、やる気に満ちています。最初の数本の動画は勢いで見終えます。ところが、仕事や家のことで数日あいた途端、「どこまでやったっけ」「次は何をすればいいんだっけ」と分からなくなります。この「思い出す手間」が、再開の壁になります。

もう一つの原因は、見ることとやることの区別がつかないことです。動画を見て「分かった」と感じると、やった気になります。実際には手を動かしていないので、成果は出ません。成果が出ないと、「この講座は自分には合わない」と感じて離れていきます。

どちらの原因も、受講者の性格の問題ではありません。講座の側に「今どこにいるか」と「やったかどうか」を見える形で残す仕組みがないことが原因です。

講座で使う3種類のチェックリスト

講座の中で使うチェックリストは、使う時期によって3種類に分けられます。

種類 使う時期 中身の例
1. 始める前のチェックリスト 講座を始める前 必要な道具をそろえる、学ぶ時間を予定に入れる、最初の目標を書く
2. 毎回の実践のチェックリスト 各回の動画を見たあと その回で学んだことを、自分の仕事で1回やってみる
3. 仕上げのチェックリスト 講座の終わり 講座で作ったものがそろっているか、次の目標が決まっているか

1つ目は、最初の一歩でつまずかないためのものです。講座を始めてから「この道具が要るのか」と気づくと、そこで止まってしまいます。始める前にそろえておくものを一覧にしておけば、初日から迷わずに進めます。

2つ目が、受講者の進み方を一番大きく変えるものです。各回の動画のあとに、「見た」ではなく「やった」を確かめる項目を置きます。見ることと、やることを分けて印を付けてもらう。 これだけで、受講者は「分かった気になって終わる」状態から抜け出せます。

3つ目は、講座の終わりに「自分は何を手に入れたか」を確かめるためのものです。印がすべて付いていれば、受講者は自分の成長をはっきり実感できます。そしてその実感が、次に学ぶ講座への関心につながります。

使い続けてもらう5つの工夫

チェックリストは、作って渡しただけでは使われません。受講者が講座の最後まで使い続けるために、次の5つを工夫します。

工夫1:講座の区切りと同じ単位で分ける

チェックリストの見出しは、講座の章や回と同じ単位で分けます。「第3回」の動画を見た受講者が、チェックリストの「第3回」の見出しを開けば、やることがすぐ分かる。この対応がずれていると、受講者はどの項目がどの動画の話なのかを探すことになり、使うのをやめてしまいます。

工夫2:項目は「やったかどうか」で判定できる言葉にする

「理解を深める」「意識する」のような言葉は、印を付けるときに迷います。「自分の商品の説明を3行で書く」「書いた説明を一人に読んでもらう」のように、終わったかどうかがはっきりする言葉で書きます。1つの項目に1つの行動だけを書くことも大事です。行動をまとめて書くと、一部だけやった人が印を付けられず、そこで止まります。

工夫3:印刷して使う形と、画面で使う形を考える

チェックリストの使い方は、紙に印刷して手で印を付ける形と、画面の上で印を付ける形の2つがあります。

紙の形は、どんな受講者でもすぐに使えて、机の横に置いておけるのが利点です。画面の形は、印刷の手間がなく、スマホやパソコンで進み具合をそのまま残せるのが利点です。

注意したいのは、文書に四角の記号を並べただけでは、画面の上で印は付けられないことです。記号はあくまで「四角の形をした文字」なので、押しても反応しません。画面で印を付けられるようにするには、ファイルの側で「ここは押すと印が付く欄だ」と一つずつ設定する、もう一手間が要ります。受講者がどちらの使い方をしそうかを考えて、手間をかけるかどうかを決めてください。

工夫4:同じ型を決めて、同じ手順で増やす

チェックリストは、講座の回数だけページが増えていきます。毎回ちがう見た目や書き方にすると、作るあなたも迷い、使う受講者も迷います。

最初の1回分で「見出し→区切りの線→項目」という型を決めたら、2回目以降は同じ手順で増やしていきます。作る手順を決めておくと、講座の中身を足すたびに、チェックリストもすぐ追加できます。講座そのものを直したときに、チェックリストだけ古いまま残る、ということも防げます。

工夫5:講座の中で、チェックリストを使う場面を作る

最後の工夫は、講座の中でチェックリストに触れる機会を作ることです。渡しただけだと、多くの受講者はダウンロードしたまま忘れます。

たとえば、各回の動画の最後に「チェックリストの第〇回の項目に印を付けてから、次に進んでください」と一言添える。質問会や相談の場で、「今チェックリストのどこまで進んでいますか」と聞く。こうして講座の流れの中に組み込むと、チェックリストは受講者の「現在地の地図」として使われ続けます。

渡す前に、受講者と同じ状態で確かめる

チェックリストを作り終えたら、渡す前に必ず確かめることがあります。それは、作ったときの画面ではなく、受講者が受け取ったときと同じ状態で開いてみることです。

作っている途中の画面では問題なく見えても、受講者の手元では違って見えることがあります。確かめるのは、次のようなところです。

  • スマホで開いたときに、文字が小さすぎないか
  • 見出しと項目の区別が、目で見て分かるか
  • 画面で印を付ける形なら、1つ押したときに、他の項目にまで印が付いてしまわないか
  • 付けた印を、もう一度押して外せるか
  • 講座の動画の回と、チェックリストの見出しがずれていないか

特に3つ目は、画面で印を付ける形でよく起きる失敗です。同じ欄をコピーして増やすと、ファイルの中で「同じ欄」として扱われ、1つに印を付けると全部に印が付いてしまうことがあります。欄を増やしたときは、それぞれが別の欄として動くかを、いくつか押して確かめてください。

こうした確かめは、地味で時間のかかる作業です。でも、受講者が最初に開いたときに不具合があると、「この講座は雑だ」という印象が残ります。受講者が直接触れる部分の丁寧さが、講座全体への信頼を決めます。

たとえば、文章講座の講師がいたとします

例で考えてみます。ブログの書き方を教える6回の講座を持っている講師がいたとします。受講者は動画を最後まで見てくれますが、実際に記事を書いて提出する人は少数でした。

この講師は、各回の動画に対応するチェックリストを作りました。第2回なら「□ 読んでほしい人を一人決めて、その人の悩みを3つ書く」「□ 悩みの1つを題名にした記事の見出しを5つ作る」といった項目です。動画の最後には「チェックリストの第2回に印を付けてから、次の回へ」と一言入れました。

さらに、月に一度の質問会では、最初に「チェックリストのどこまで進んでいるか」を一人ずつ聞くことにしました。どこで止まっているかが分かるので、講師は止まっている場所に合わせて助言できます。受講者にとっては、自分の現在地を確かめる時間になります。

講座の中で受講者に手を動かしてもらう工夫は、ワークと宿題で人を動かすHOW設計や、書きやすいワークシートと提出率を上げる7つの工夫でも解説しています。チャレンジ企画の3日間でワークシートを配るときも、考え方は同じです。

チェックリストでやりがちな3つの失敗

最後に、講座のチェックリストでやりがちな失敗を挙げておきます。

1つ目は、動画の中身をそのまま項目に書き写すことです。「〇〇とは△△のことである」のような説明が項目に並ぶと、チェックリストは要約の資料になり、印を付ける場所がなくなります。項目に書くのは、説明ではなく行動だけです。説明は動画に任せます。

2つ目は、全員に同じ量を求めすぎることです。項目が多すぎると、忙しい受講者は最初の数回で遅れ、遅れた自分を責めて離れていきます。各回の項目は「これだけは必ず」という数個に絞り、余裕のある人向けの項目は「できれば」と分けて書いておくと、遅れても戻ってきやすくなります。

3つ目は、講座を直したのにチェックリストを直さないことです。動画を撮り直したり、回の順番を入れ替えたりしたとき、チェックリストが古いままだと、受講者は動画とチェックリストの食い違いに迷います。講座を直したら、チェックリストも同じ日に直す。そう決めておくと、ずれが残りません。

まとめ

  • 受講者が止まるのは、やる気の問題ではなく、「今どこにいるか」と「やったかどうか」が見えないから
  • 講座では、始める前・毎回の実践・仕上げの3種類のチェックリストを使い分ける
  • 見出しは講座の回と同じ単位で分け、項目は「やったかどうか」で判定できる1行動で書く
  • 紙で使うか画面で使うかを決め、型を1つ決めて同じ手順で増やす。講座の中で使う場面を作る
  • 渡す前に、受講者と同じ状態で開き、スマホでの見え方や印の付き方を確かめる

まずは、あなたの講座の第1回の動画を見た受講者に「やってほしいこと」を、1項目1行動で3つ書き出してみてください。それが、講座のチェックリストの最初のページになります。