メルマガやブログで、間違いのない情報を丁寧に届けている。内容には自信がある。それなのに、読者からの反応が少なく、講座を案内しても申し込みが来ない。「もっと質の高い情報を出さないといけないのかな」と考えている方は多いのではないでしょうか。
でも、情報の質を上げても、状況はあまり変わらないことが多いです。いまは、同じような情報がどこでも手に入ります。読者は、正しい情報を出している人をたくさん知っています。その中から一人を選ぶとき、決め手になるのは情報ではありません。
結論から言うと、読者は「何を知っているか」ではなく「誰から学ぶか」で選んでいます。だから、発信で整えるべきなのは情報の量ではなく、発信者としての立ち位置です。
この記事では、人で選ばれる発信にするための5つの立ち位置と、それぞれを今日から整える方法を解説します。
読者は「情報」ではなく「人」を選んでいる
少し、読者の側に立って考えてみます。あなたが何かを学ぼうとして、同じテーマの発信者を3人見つけたとします。3人とも、書いている内容はそれほど変わりません。このとき、あなたは誰の講座に申し込むでしょうか。
多くの人は、「この人の考え方が好き」「この人なら自分のことを分かってくれそう」と感じた人を選びます。内容が同じなら、最後は人で決まるわけです。
ところが、多くの発信者は、自分の人柄や考え方を出すことをためらいます。「個人的な話は役に立たない」「専門家らしくない」と思ってしまうからです。その結果、正しいけれど誰が書いても同じ発信になり、読者の記憶に残りません。
人で選ばれるために整えたい立ち位置は、次の5つです。
- 言いたいことを一つに決めて、言い続ける
- 「皆さん」ではなく、一人に向けて書く
- 親しみやすさと専門性を、両方育てる
- 何に賛成し、何に反対するかをはっきりさせる
- 雑談で人柄を見せる
順番に見ていきます。
立ち位置1:言いたいことを一つに決めて、言い続ける
最初に決めたいのは、「あなたが読者に一番伝えたいことは何か」です。これを一文で言えるようにします。
発信を続けていると、話題はいろいろ広がります。それ自体は問題ありません。ただ、根っこにある主張が毎回変わると、読者は「この人は結局、何を言いたいのだろう」と感じます。そう思われた時点で、信頼は積み上がらなくなります。
主張は、飽きるほど繰り返してちょうどいい。 書いている本人は「またこの話か」と思っても、読者は毎回すべての発信を読んでいるわけではありません。同じ主張に、違う角度から何度も触れることで、ようやく「この人といえば、この考え方」と覚えてもらえます。
私の場合は、「売り込まずに売れる仕組みを作る」「少人数でも売上は作れる」という主張を、どの発信でも軸にしています。流行りの集客方法が話題になっても、この軸は変えません。流行に合わせて主張を変える人は、結局どの主張でも覚えてもらえないからです。
主張がまだ言葉になっていない方は、次の3つを書き出してみてください。
- 自分がこの仕事を始めたきっかけになった、悔しかったこと・困ったこと
- 業界でよく言われていることのうち、「それは違う」と感じていること
- お客様に何度も伝えている、口ぐせのような言葉
この3つには、たいてい共通する考え方が隠れています。それを一文にまとめたものが、あなたの主張の候補です。最初から完璧な言葉でなくてかまいません。発信しながら、読者の反応を見て磨いていけば大丈夫です。
立ち位置2:「皆さん」ではなく、一人に向けて書く
次は、誰に向けて書くかです。
発信を「読者の皆さん」に向けて書くと、文章はどうしてもぼやけます。誰にでも当てはまる言葉は、誰の心にも刺さりません。反対に、たった一人の読者を思い浮かべて、その人に手紙を書くように書くと、文章に温度が出ます。読者はそれを「自分に向けられた言葉」として受け取ります。
ここで大事なのは、年齢や職業を並べるだけで終わらせないことです。その人が普段どんな言葉を使い、何に困り、夜に何を考えているのか。頭の中でその人が勝手に話し出すくらいまで想像します。
その一人を誰にするか迷ったら、次の2つを考えてみてください。
- これまで、あなたの発信に一番熱のこもった感想をくれたのは誰か
- あなたが「こういう人と一緒に仕事がしたい」と思うのは、どんな人か
たとえば、子育て中の人向けに時間管理を教えるコーチがいたとします。「忙しい皆さんへ」と書き出すと、誰のことか分かりません。「朝、子どもを送り出したあとの30分で、今日の段取りを考えようとして、結局スマホを見て終わってしまうあなたへ」と書くと、当てはまる人は「私のことだ」と手を止めます。読者の頭の中の言葉をそのまま使うことが、一人に届く文章の近道です。読者の言葉の集め方は、見込み客が普段使う言葉への言い換えでまとめています。
その一人は、1パターンだけでなく、3〜4パターン思い浮かべておきます。そして「今日はこの人に向けて書こう」と、発信ごとに相手を変える。そうすると、内容が偏らず、書くことにも困りにくくなります。読者像の作り方は、WHO設計の11項目と選び方でも詳しく解説しています。
立ち位置3:親しみやすさと専門性を、両方育てる
発信者がよく迷うのが、「親しみやすさ」と「専門性」のバランスです。親しみやすくしようとすると軽く見られる気がする。専門家らしくしようとすると、偉そうで近寄りがたくなる気がする。
多くの人は、この2つをシーソーのように考えています。片方を上げると、もう片方が下がる、と。でも、両方を同時に育てることはできますし、講座を売るならその必要があります。
親しみだけでは、講座は売れません。仲のいい知人から、その人の専門でもない分野の高額な講座をすすめられても、申し込まないですよね。「この分野なら、この人に聞けば間違いない」と思えて、はじめてお金を払えます。逆に、専門性だけで親しみがない人には、自分の悩みを打ち明けにくい。
両方を育てるために、私がおすすめしているのは「学んでいる姿を見せる」ことです。
- 最近読んだ本から、何を学んだか
- 誰と会って、どんな話をしたか
- 新しく試してみたこと、その結果どうだったか
こうした話は、人柄が伝わるので親しみにつながります。同時に「この人は学び続けている」という専門性の裏づけにもなります。今の自分より少しだけ先を見て書くことで、書いている本人の行動も、だんだんその発信に追いついていきます。
「まだ実績がないから、専門家らしく振る舞えない」と感じる方もいると思います。でも、専門性は実績の大きさだけで決まるものではありません。読者より少し先を歩いていて、その道のりを分かりやすく説明できること。それだけで、読者にとっては十分に頼れる存在です。実績を大きく見せるより、自分が学んだこと、試したこと、つまずいたことを正直に書く方が、長く信頼されます。
立ち位置4:何に賛成し、何に反対するかをはっきりさせる
発信者と読者の間には、どうしても「売る人」と「買う人」という壁があります。この壁を低くする方法の一つが、「私たちはこう考える」という立場をはっきりさせることです。
たとえば、「根性で何とかしろ、という考え方には賛成できません。うまくいかない原因は、たいてい順番と設計にあります」と書いたとします。これに「そうそう」と頷いた読者は、あなたを売る人ではなく、同じ考えを持つ仲間として見るようになります。
立場をはっきりさせるときは、対比で書くと伝わりやすくなります。
| よくある考え方 | 私たちの考え方 |
|---|---|
| 大人数を集めないと売れない | 少人数でも、設計しだいで売上は作れる |
| 自己流で頑張る | うまくいっている型をまねして、最短で成果へ |
| 頑張る量を増やす | 売れる仕組みを作る |
ただし、反対するのは「考え方」であって、「人」ではありません。特定の誰かを名指しで批判したり、読者の今のやり方を見下したりすると、共感どころか不安を与えます。また、「これを理解できるあなたは特別です」のように、ほかの人を下げて読者を持ち上げる書き方も、私は使いません。読者を持ち上げたいなら、読者が実際にできていること、続けていることを、そのまま認めて伝えれば十分です。
立ち位置5:雑談で人柄を見せる
最後は、雑談です。ノウハウとは関係のない、あなた自身の話のことです。
ノウハウの話は、読者に「なるほど」と思ってもらえます。でも、気持ちまでは大きく動きません。人の気持ちが動くのは、失敗談や、驚いたこと、腹が立ったこと、うれしかったことを聞いたときです。そして、気持ちが動いた相手のことを、人は覚えています。
私自身には、働きすぎて過労になった時期と、1,000万円の失敗をした経験があります。こうした話は、上手くいった話よりも、読者が自分を重ねやすい話です。つまずいた経験は、隠すものではなく、読者との距離を縮める材料になります。
雑談のネタは、意識していないとすぐに忘れてしまいます。普段から、次のような話をメモしておくと困りません。
- 身近な出来事や、ちょっとした失敗
- 最近、心が動いたこと
- 読んだもの、見たもの、学んだこと
- 行った場所、初めてやったこと
配分の目安は、発信を始めたばかりのころはノウハウ多め、読者との関係ができてきたら少しずつ雑談を増やすことです。最初から雑談ばかりだと、「この人から何を学べるのか」が伝わりません。まずは専門性で読んでもらい、そのあとで人柄を知ってもらう順番です。なお、発信全体で読者の考え方を育てる方法は、売り込まずに信頼を作る3つの教育で解説しています。
まとめ
- 読者は「何を知っているか」ではなく「誰から学ぶか」で選んでいる
- 伝えたい主張を一文に決めて、角度を変えながら言い続ける
- 「皆さん」ではなく、具体的な一人に向けて書く。その相手を3〜4パターン持っておく
- 親しみやすさと専門性は両方育てる。学んでいる姿を見せるのが近道
- 賛成・反対の立場は「考え方」に対してはっきりさせ、雑談で人柄を伝える
まずは、「私が読者に一番伝えたいことは何か」を一文で書き出してみてください。その一文が、これからのすべての発信の軸になります。


