一度商品を買ってくれたお客様。あるいは、今回は申し込まなかったお客様。どちらとも、案内が終わったらそれきりになっていませんか。「このお客様との関係は、これでおしまいなのかな」と感じている方は多いです。
一度の案内だけで、お客様との関係をすべて終えてしまうのは、とてももったいないことです。お客様の中には、「もう一つ欲しいものがある」「もう少し手厚いほうがいい」「今の価格では難しいけれど、内容には興味がある」という人がいるからです。
結論から言うと、お客様の状況に合わせて、次の選択肢を用意しておくことが大切です。 そのための考え方が、クロスセル・アップセル・ダウンセルの3つです。お店で優秀な販売員が自然にしている提案を、自動で売れる仕組みの中に組み込むことができます。
この記事では、3つの提案の違いと、それぞれの注意点、そして仕組みに組み込む順番をお伝えします。
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3つの提案は「相手の状況」で使い分ける
クロスセル・アップセル・ダウンセルは、どれも「次の提案」です。違いは、誰に、どんな状況で、何を提案するかです。
| 提案 | 相手の状況 | 提案するもの | タイミング |
|---|---|---|---|
| クロスセル | 商品を買った(買おうとしている) | 関連する別の商品 | 購入の直後 |
| アップセル | 商品を検討している | より価値の高い上位の商品 | 購入を決める前後 |
| ダウンセル | 商品を買わなかった | より手に取りやすい別の商品 | 最初の案内が終わった後 |
どれも、売上を増やすための技術であると同時に、お客様一人ひとりの状況に合った選択肢を用意するための考え方です。この視点を持っておくと、提案が押しつけになりにくくなります。
3つとも、お客様一人が長い付き合いの中でもたらしてくれる売上、つまりLTV(顧客生涯価値)を高める方法の一つです。LTVを高めるほかの方法も含めた全体像は、ビジネスモデルを拡大する4つの方法で解説しています。
クロスセル:買ったものに合わせて、関連する商品を提案する
クロスセルとは、お客様がある商品を買った直後に、それと関係の深い別の商品を「ついで買い」「合わせ買い」として提案することです。ハンバーガーのお店の「ご一緒にポテトはいかがですか?」が、よく知られた例です。
- 車を買った人に、カーナビを提案する
- 洋服を買った人に、「その服には、こちらのベルトがよく合いますよ」と提案する
- ネット通販で「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」と表示する
お客様は、商品を買うと決めた直後、その分野への関心が一番高まっています。そのタイミングで、最初の商品をもっと活かせるものを提案すると、自然に受け取ってもらいやすくなります。
アフィリエイトをしている場合は、購入者に特典を渡すメールの中で、「この商品と一緒に、こちらの道具も持っておくと便利です」と、関連する別の商品を紹介する方法が取り入れやすいです。
クロスセルで気をつけたいことは2つです。
- 関係の深い商品を提案する:ダイエットの教材を買った人に、投資の道具を勧めても、ついで買いにはなりません
- 最初の商品の価格を大きく超えない:たとえば1,000円の商品を買った直後に、10,000円の商品を勧められても、「ついで」の範囲を超えてしまいます
アップセル:一段上の選択肢を用意する
アップセルとは、お客様が検討している商品よりも価値の高い、上位の商品を提案することです。
- スマートフォンの契約で、「こちらのプランなら、保証の期間が長くなります」と案内する
- 教材を販売するときに、「ダウンロード版に加えて、製本した版もつけた特別版もあります」と案内する
お客様の状況はさまざまです。多少高くても、より手厚いサポートを受けたい人、せっかくなら一番充実したものを選びたい人もいます。商品が1つしかないと、そういうお客様の希望に応えられません。
そこで、商品に松・竹・梅のようなグレードを設けます。上位の商品といっても、まったく別の商品を作る必要はありません。サポートの期間を長くする、個別の相談をつける、といった形でも十分です。
アップセルは、自分の商品を持っている場合に特に取り入れやすい方法です。グレードの分け方は、価格設定は松竹梅でまとめています。
ダウンセル:買わなかった人に、別の入り口を用意する
ダウンセルとは、メインの商品を買わなかったお客様に、あとから、より手に取りやすい別の商品を提案することです。
どれだけ丁寧に案内しても、全員が申し込むわけではありません。たとえば、申し込んでくれた人が案内した人の1割だったとすると、残りの9割は買わなかった人です。その中には、「内容には惹かれたけれど、今の自分には価格が合わなかった」という人も含まれています。
- たとえば、10万円のコンサルティングを見送った人に、「まずは9,800円の動画の教材から始めてみませんか」と提案する
一度見送った人にも、別の形で価値を届けることができます。そして、手に取りやすい商品であなたの価値を体験してもらえれば、将来、メインの商品を選んでくれることもあります。
ダウンセルで一番気をつけたいのは、タイミングです。メインの商品の案内が終わるまで、手に取りやすい商品の存在は見せないようにします。 最初から安い選択肢が見えていると、本来はメインの商品が合っていたお客様まで、安いほうを選んでしまうことがあるからです。
ダウンセルは、値下げでも、買えなかった人への「おまけ」でもありません。メインの商品が合わなかった人のための、別の入り口として丁寧に案内してください。
どれから始めるか、仕組みに組み込む順番
3つを一度に取り入れようとすると、提案が多すぎて、お客様が迷ってしまいます。次の順番で、1つずつ組み込んでいくのがおすすめです。
- クロスセルから始める:購入者へのメールに、関連する商品の紹介を1つ入れる。アフィリエイトでも始められる
- アップセルを用意する:自分の商品に、サポートを手厚くした上位のグレードを1つ作る
- ダウンセルを用意する:メインの商品の案内が終わったあと、見送った人に届ける別の入り口を1つ作る
- 1回の案内で出す提案は1つに絞る:クロスセルとアップセルを同じメールで同時に出さない
中でも、始めやすいのはクロスセルです。新しく商品を作らなくても、関係の深い商品を紹介するだけで取り入れられるからです。
3つの提案でよくある失敗
最後に、つまずきやすいところを整理しておきます。
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 関係の薄い商品をクロスセルで勧める | 最初の商品をもっと活かせるものを選ぶ |
| 最初の商品より、ずっと高い商品を「ついでに」勧める | クロスセルは最初の商品より手ごろなものにする |
| 商品が1つしかなく、手厚さを求める人に応えられない | サポートを足した上位のグレードを用意する |
| メインの案内中から安い選択肢を見せる | ダウンセルは、メインの案内が終わってから出す |
| 1回のメールで複数の提案を出す | 1回に出す提案は1つに絞る |
3つの提案はどれも、お客様との関係を一度で終わらせないための考え方です。お客様一人ひとりとの関係を長く育てる意味は、LTV(顧客生涯価値)とはで解説しています。
まとめ
- クロスセル・アップセル・ダウンセルは、お客様の状況に合わせて次の選択肢を用意する考え方
- クロスセル:買った直後に、関係の深い、手ごろな商品を提案する
- アップセル:一段上のグレードを用意し、手厚さを求める人の希望に応える
- ダウンセル:メインの案内が終わってから、見送った人に別の入り口を用意する
- 始めやすいのはクロスセル。1回の案内で出す提案は1つに絞る
まずは、あなたの商品を買ってくれた人に「一緒にあると便利なもの」を1つだけ考えてみてください。それを購入者へのメールに入れるところが、最初の一歩です。
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