Kindleの本は電子書籍だから、題名も中身もあとからいくらでも直せる。そう思っている方は多いのではないでしょうか。実は私の手元でも、AIがまとめた改善案に、ほぼ同じことが書かれていました。
結論から言うと、KDP(Kindleの出版の仕組み)では、本の題名とサブタイトルは出版したあとに変えられません。直したいなら、新しい本として出し直すしかありません。特典の置き場所や書き方にも、はっきりした決まりがあります。
私はこの規約を公式のヘルプで確かめてから、本づくりのやり方を変えました。題名を変えたかった旧本は、改訂ではなく新刊として出すことにしました。
この記事では、AIの改善案のどこが間違っていたのか、公式で何を確かめたのか、それで本づくりがどう変わったのかを書きます。
AIの改善案に、2つの間違いがあった
きっかけは、電子書籍の改善案でした。AIにまとめさせた案の中に、次の2つが書かれていました。
- 特典は、巻頭と巻末の両方に置く
- 題名は、あとから変えられる
どちらも、もっともらしく聞こえますよね。読んだだけでは、おかしいとは感じにくい内容です。ところが翌日、KDPの日本の公式ヘルプで確かめたところ、どちらも違っていました。改善案は、その日のうちに訂正しました。
AIの「もっともらしさ」に気をつける
この件で改めて感じたのは、規約のように「間違えたら取り返しがつかないこと」ほど、AIの答えをうのみにしないということです。
AIは、一般的な電子書籍の話や、ほかの出版の仕組みの話を混ぜて答えることがあります。文章としては自然なので、読んでいるだけでは気づけません。だから、規約に関わることは、公式のヘルプで確かめてから決める。これを本づくりの手順に入れました。
公式ヘルプで確かめたこと
公式ヘルプで確かめた内容を、本づくりに関わるものに絞って並べます。確かめた内容は、出典つきで1つのメモにまとめてあります。
題名は出版後に変えられない
題名・サブタイトル・主な著者名は、出版したあとに変えられません。例外は誤字を直すときだけです。
一方で、変えられるものもあります。内容紹介、キーワード、カテゴリー、価格、表紙、本文です。つまり、中身はあとから直せても、題名とサブタイトルだけは出版の前に決めきる必要があります。
特典は巻末だけ
特典を本に入れる場合は、巻末だけに置き、目次にも入れます。分量は本全体の1割未満です。
さらに、「ギフトや報酬を示唆して読者を誘導する記述」は禁止されています。読み放題で読んでくれた人に見返りを渡して読ませることも禁止です。
ほかに本づくりに関わる決まり
- 読み放題に登録している間は、本の中身を外でデジタルで配れるのは、1割までの無料の見本だけ
- メールアドレスなどを入力させるWebのフォームへのリンクは禁止。著者のSNSや、本の補助になる物へのリンクはよい
- LINEの友だち追加が当たるかどうかは、明記がない(灰色)
- AIが作った文章・表紙・図は、大きく手を入れても「AIで生成した」と申告する
- 内容紹介には、URL、レビューのお願い、期間限定の内容は入れられない
1つ目は見落としやすい点です。たとえば、本の中に載せた依頼文集を、文字のファイルにして別に配ると、この決まりに触れるおそれがあります。
売り方に関わる決まり
売り方の面でも、確かめておいてよかった点がありました。
- 印税の率が高いほうを選ぶには、価格が決まった幅に収まっていることと、読み放題の仕組みへの登録が条件(2026年7月に改定)
- 期間限定で値下げを見せる仕組みは、日本では使えない
- 無料で配るキャンペーンは、90日のうち5日まで
どれも、AIに聞くと海外の情報や古い情報が混ざりやすいところです。私は、確かめた日付と公式のページを出典メモに残しています。規約は変わることがあるので、この記事の内容も、出版のときにはご自身で公式を確かめてください。
AIで作ったことは申告する
もう1つ、AIで本を作る人にとって大事な決まりがあります。AIが作った文章・表紙・図は、人が大きく手を入れたとしても、「AIで生成した」と申告する必要があります。
私の本は、原稿も図もAIで作り、私が指示書と検品で仕上げています。手を入れたから自分で書いたことにする、という考え方は通らないと知っておくと、出版の手続きで迷いません。
規約を知って、本づくりをこう変えた
規約を確かめたあと、私の本づくりは次のように変わりました。
1. 題名は出版の前に決めきる
題名とサブタイトルは、出版の前に決めきるようにしました。「とりあえずこの題名で出して、反応を見て変えよう」という進め方は、Kindleではできないからです。
たとえばCodexの本は、Kindleでの書名を『ChatGPT Codex完全活用ガイド』に決めました。ほかの本と同じ「〇〇完全活用ガイド」の形でそろえ、Claude Codeの本と同じく「会社のAI+道具の名前」の並びにしています。「・」や「×」でつなぐと、ChatGPT全般の本と誤解されるので、使っていません。あとから変えられないので、書名を決めてから、表紙の書名と組み立ての仕組みの中の書名もそろえました。
2. 特典の書き方を変えた
特典の書き方は、次の形に決めました。
- 巻末に1つの節を置き、本文ではない補助の物(空欄の記入シートやチェックリスト)を、著者のLINE公式アカウントで配っていると書く
- 別の節で、見返りなしで感想をお願いする
- 「特典」「プレゼント」「無料」「受け取れる」という言葉は使わない
見返りをにおわせる言葉を避けると、書き方は地味になります。それでも、規約に沿って長く売り続けられるほうを選びました。
3. 登録先のURLは1か所で差し替える
巻末で案内する登録先のURLは、本ごとに私が用意します。そこで、本の組み立ての中でURLを書く場所を1か所にまとめ、仮の値のままだと組み立てのときに警告が出るようにしました。URLが決まったら、その1か所を差し替えて組み立て直すだけです。
4. Kindle用の準備を別に考える
Kindleには縦長の表紙が別に必要です。今の私の本の表紙は横長なので、出版の前に縦長の表紙を用意する必要があります。また、本を無料で配る場合は、読み放題の仕組みには登録できません。どこで配り、どこで売るかを、本ごとに先に決めるようにしています。
旧本を改訂せず、新刊にした理由
規約を知って一番大きく変わったのが、旧本の扱いです。
私には、題名を今の内容に合わせて変えたい旧本がありました。けれども、題名は出版後に変えられません。直すには、新しい本として出し直すしかありません。
そこで、旧本の改訂ではなく、新刊として出すことにしました。
新刊にした2冊
新刊にしたのは、チャレンジ企画の本と、Kindle出版の本の2冊です。
| 新刊 | 中身 |
|---|---|
| 『集客は少人数でいい』 | 3日間のチャレンジ企画で講座が売れる流れを、AIで作る手順とあわせてまとめた本 |
| 『AIで書いて売るKindle出版』 | 企画・原稿・図解・表紙まで、本を「集客の入口」にする作り方の本 |
どちらも、旧本の考え方は残しながら、今AIでやっている手順を反映しました。チャレンジ企画の本には、AIへの依頼文の全文は載せず、流れと代表的な例だけを入れています。Kindle出版の本は、規約の部分を、公式で確かめた分だけで書いています。
事例には、本の中の架空の人物を使っています。旧本を販売停止にするかどうかは、まだ決めていません。
改訂か新刊かの分かれ目
改訂と新刊の分かれ目は、シンプルです。
- 本文・表紙・内容紹介を直したいだけなら、改訂でよい
- 題名やサブタイトルを変えたいなら、新刊にするしかない
「題名を変えたいだけだから、ちょっと直せばいい」と思っていると、出版の直前で手が止まります。最初からこの線引きを知っておくと、迷わずに済みます。
似た本を、無理に1冊にまとめない
題名が変えられないと分かってから、似たテーマの本の扱いも考え直しました。
私には、まだ出版していない、Claude Codeの使い方を広く解説した本があります。そこへ10月に、非エンジニア向けに「1つのノウハウから電子書籍・スライド・解説動画・LPまで作る」ことに絞ったClaude Codeの本を書きました。題名は、同じテーマで作っている講座と同じものにそろえています。
2冊は内容が近いので、1冊にまとめる手もありました。それでも、まとめずに両方を出すことに決めました。どちらの本も、題名はあとから変えられません。だからこそ、「誰に向けた本か」を題名の段階で決めておくことが、似た本を並べるときほど大事になります。広く解説する本と、非エンジニアに絞った本。題名を見ただけで違いが分かるようにしておけば、読者が迷わずに済みます。
明日からできること
Kindleで本を出す予定がある方は、次の順番で確かめてみてください。
- 題名とサブタイトルの案を3つ以上出し、出版の前に1つに決める
- 特典を入れるなら、巻末の1節にまとめ、目次にも入れる
- 「特典」「プレゼント」「無料」「受け取れる」が本文に入っていないかを確かめる
- 内容紹介にURL・レビューのお願い・期間限定の言葉がないかを見る
- AIに規約のことを聞いたら、その答えを公式ヘルプで確かめる
5番目が一番大事です。AIは本づくりの強い味方ですが、規約の確認だけは自分の目で公式を見てください。
もし、すでに出した本の題名を変えたくなったら、慌てて手を入れる前に「改訂で済むのか、新刊にするしかないのか」を先に仕分けてください。題名を変えたいなら新刊です。そのうえで、旧本を残すのか、販売をやめるのかを決めます。私も、旧本をどうするかはまだ検討中です。
題名を決めるときの考え方はAmazonの検索候補から「買う人の言葉」を拾う題名の作り方で、出版の手順はKindle形式への変換からKDP登録までの手順でまとめています。
まとめ
- KDPでは、題名・サブタイトル・主な著者名は出版後に変えられない(誤字だけは例外)
- 特典は巻末だけで、目次に入れ、本全体の1割未満。見返りをにおわせる書き方は禁止
- AIの改善案は、規約に関わる部分ほど公式ヘルプで確かめる
- 題名を変えたい旧本は、改訂ではなく新刊として出す
まずは、次に出す本の題名とサブタイトルを、出版の前に決めきるところから始めてください。本の中身を最新に保つ方法は電子書籍を最新情報に直し続ける「事実の出典メモ」に、全体の記録はClaude CodeとCodexで商品づくりを仕組みにした記録にまとめています。


