自分の知識を動画にして売ってみたい。そう考えて、まずは以前に開いたセミナーの録画を販売ページに載せてみた。ところが、買ってくれた人がいても、最後まで見てくれた様子がない。感想も届かない。
オンライン講座を始めたばかりの方から、こうした話をよく聞きます。良い内容を話したはずなのに、なぜか手ごたえがない。もどかしいですよね。
結論から言うと、オンライン講座は「動画を売るもの」ではありません。受講者が自分の時間に、少しずつ進めて、成果にたどり着けるように組み立てた学びの形です。この形の特徴を知らずに録画をそのまま並べると、講座が持っている強みの半分も生かせません。
この記事では、オンライン講座とは何かを整理したうえで、3つの特徴を個別指導・セミナー・本と比べながら説明し、講座に向いている人・向いていない人を示します。
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オンライン講座とは何か
オンライン講座とは、決まったテーマを学べるように、あらかじめ用意した動画や資料をひとまとめにしたものです。決まった時間に集まって受けるセミナーとは違い、受講者は好きなときに中身を見て学べます。
中身の中心は動画であることが多いですが、動画だけとは限りません。手を動かして取り組むための書き込み用の資料や、作業の抜けを防ぐチェック表、要点をまとめた文章などがセットになっているのが一般的です。
ここで押さえておきたいのは、オンライン講座の受講者は「一人で学ぶ」ということです。教室のように講師が目の前で様子を見てくれるわけではありません。だからこそ、一人でも迷わず進められ、途中で飽きず、実際に手を動かして成果を出せるように工夫されている必要があります。この工夫の有無が、ただの録画との一番の違いです。
オンライン講座の3つの特徴
オンライン講座には、ほかの教え方にはない特徴が3つあります。
特徴1:受講者が好きな時間に学べる
個別指導やセミナーは、教える側と学ぶ側が時間を合わせる必要があります。日程を調整し、決まった時間に集まり、その場で教わる。これに対してオンライン講座は、受講者が自分の都合のいい時間に見られます。
たとえるなら、映画館で決まった上映時間に観るか、配信で好きな時間に観るかの違いです。時間を合わせなくていいのは、受講者だけでなく教える側にとっても大きな利点です。夜遅くや早朝に予定を入れなくても、受講者は自分のペースで学んでくれます。
特徴2:短く区切られていて進めやすい
オンライン講座は、1つのテーマを小さな単位に区切って並べるのが基本です。本に章と節があるように、大きなまとまりの中に短い動画や資料が順番に入っています。
長いセミナーの録画をそのまま載せると、見る側はまとまった時間を確保しないと手をつけられません。途中で止めると、どこまで見たかも分からなくなります。反対に、短く区切られていれば、空いた時間に一つずつ進められ、一つ終えるたびに「前に進んだ」という手ごたえが残ります。
冒頭のセミナーの録画が最後まで見られなかったのは、中身が悪かったからではなく、区切られていなかったからかもしれません。
特徴3:受講人数に上限がない
セミナーは、会場の広さや開催する時間によって、参加できる人数に限りがあります。個別指導なら、教える側が対応できる人数までしか受けられません。
オンライン講座は、中身があらかじめ用意されているので、何人が同時に学んでも中身が減ることはありません。教える側の時間が増えるわけでもありません。これは、自分の時間を売る働き方をしてきた人にとって、時間の切り売りから一歩抜け出すきっかけになります。
個別指導・セミナー・本と比べる
3つの特徴を、ほかの教え方と並べてみると違いがはっきりします。
| 個別指導 | セミナー | 本 | オンライン講座 | |
|---|---|---|---|---|
| 時間を合わせる必要 | ある | ある | ない | ない |
| 中身の区切り | その場の流れ次第 | 長い1回 | 章と節 | 短い単位で順番に並ぶ |
| 届けられる人数 | 少ない | 会場や時間で決まる | 上限なし | 上限なし |
| 一人ひとりへの合わせ方 | とても細かい | 質問の時間だけ | できない | 資料や課題である程度できる |
| 手を動かす仕掛け | その場で指示できる | ワークを入れれば可 | 少ない | 課題や書き込み資料で入れやすい |
表を見ると、オンライン講座は「本の手軽さ」と「セミナーの分かりやすさ」のあいだにある形だと分かります。本と同じく時間を選ばず、人数の上限もありません。そのうえで、動画で話しながら見せられるので、文字だけより伝わりやすく、課題や書き込み資料で手を動かしてもらうこともできます。
一方で、一人ひとりに細かく合わせる力では、個別指導にかないません。だから、どちらが優れているかではなく、組み合わせて使うものだと考えるのがおすすめです。全員に共通する知識は講座で伝え、その人だけの悩みは個別で受け止める。この分け方は、個別セッションの共通部分を切り出して講座にする手順で詳しく解説しています。
セミナーの「聞いて終わり」になりやすい弱点と、手を動かしてもらう工夫については、無料セミナーで売れない人ほど話しすぎている理由も参考になるはずです。
形にして残すと、価値が伝わり、最後まで使われやすい
オンライン講座には、3つの特徴から生まれる利点がさらに2つあります。
1つ目は、知識が価値の伝わりやすい形でまとまって残ることです。SNSや短い投稿で知識を発信すると、手軽に始められる一方で、投稿は時間とともに流れていきます。一つひとつの投稿は断片的で、どんなに良い内容でも、まとまった知識としては受け取ってもらいにくいものです。
同じ知識でも、順番に並べ、動画で説明し、取り組むための資料を添えて一つにまとめると、受け取る側にとっての「価値の感じ方」が大きく変わります。ばらばらのメモより、一冊にまとまった本のほうが手に取りたくなるのと同じです。講座にすると、その知識は流れていかず、一つの場所にまとまって残り続けます。
2つ目は、時間の使い方の効率が良いので、最後まで使われやすいことです。本は、買ったものの読まずに積んでしまうことがよくあります。文字を読むには、自分から集中して取りかかる必要があるからです。動画を中心にした講座なら、話を聞きながら画面を見るだけで内容が入ってくるので、取りかかるまでの腰が軽くなります。同じ時間で受け取れる情報も多くなります。
ただし、これは「短く区切られている」という特徴があってこその話です。長い動画を並べただけでは、本を積んでしまうのと同じことが起きます。動画を最後まで見てもらう工夫は、動画が途中で離脱される理由と7つの原則で解説しています。
オンライン講座についての3つの思い込み
講座を作る前に、よくある思い込みを3つほどいておきます。どれも、講座づくりの手を止めてしまいやすいものです。
思い込み1:中身は多いほど喜ばれる
動画の本数が多いほうがお得に見える、と考える方は多いです。けれど、受講者が欲しいのは動画の量ではなく、自分の悩みが解決することです。中身が多すぎると、どこから手をつければいいか分からなくなり、かえって途中で止まります。必要なものを、必要な順番で並べるほうが、受講者は最後までたどり着けます。
思い込み2:講座を作ったら、個別指導はやめなければならない
講座は個別指導の代わりにもなりますが、置き換える必要はありません。講座だけを選ぶ人、講座に個別の相談を組み合わせたい人、それぞれに合った選び方を用意できます。むしろ、講座で基本をそろえておくと、個別の時間をその人だけの悩みに使えるようになります。
思い込み3:立派な撮影ができないと作れない
顔を出して撮る動画は、機材や撮り方に慣れるまで手間がかかります。最初の講座なら、説明用の資料を画面に映しながら話す形で十分です。大事なのは映像のきれいさより、話の順番が分かりやすいことと、受講者が手を動かせる課題があることです。
オンライン講座に向いている人・向いていない人
ここまでの特徴を踏まえると、オンライン講座に向いている人は次のような人です。
- 個別指導やコンサルで、毎回同じ説明をくり返している人
- 予定が埋まっていて、これ以上受けられる人数を増やせない人
- 仕事や暮らしの中で身につけた知識や経験を、まとまった形で届けたい人
- 教える内容を、順番のある手順に分けて説明できる人(今はできなくても、分けてみる意欲がある人)
- 受講者が一人でも進められるよう、資料や課題を用意する手間を惜しまない人
反対に、次のような場合は、講座の良さを生かしにくいです。
- その場の相手の様子を見ながら、毎回まったく違う関わり方をすることに価値がある仕事
- 教える内容が、まだ自分の中で整理できておらず、順番をつけられない段階
- 録画を並べれば、あとは何もしなくても売れると考えている場合
最後の点は、少し厳しく聞こえるかもしれません。けれど、オンライン講座は一度作ったら終わりではありません。受講者の様子を見て、つまずいている所を直し、資料を足していくことで育っていくものです。作ったあとも受講者に目を配れる人ほど、講座は長く役に立ちます。
「自分には講座にできる知識なんてない」と感じている方は、先に経験と知識を商品の材料に変える棚卸しから始めてみてください。講座の中身をどんな章に分けるかは、受講者の壁から章立てする手順で解説しています。
まとめ
- オンライン講座は「動画を売るもの」ではなく、受講者が一人で、少しずつ進めて成果にたどり着けるように組み立てた学びの形
- 特徴は3つ。好きな時間に学べる、短く区切られていて進めやすい、受講人数に上限がない
- 個別指導・セミナー・本と比べると、本の手軽さとセミナーの分かりやすさのあいだにある。個別指導とは組み合わせて使う
- 知識が価値の伝わりやすい形で残り、最後まで使われやすい。ただし、区切りと工夫があってこそ
- 同じ説明をくり返している人、受けられる人数が頭打ちの人に向いている
まずは、自分が普段の仕事で何度も説明している内容を3つ書き出してみてください。その3つが、あなたのオンライン講座の最初の材料になります。
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