売り切りの講座を売るたびに、また次の募集をしなければいけない。毎月の売上が読めない。だから「月額の会員制にすれば、収入が安定するはず」と考える方は多いです。
ところが、いざ月額で案内してみると、思ったほど申し込みが来ない。入ってくれた人も、数か月で辞めていく。月額にしたのに、結局は毎月の入会集めに追われている。こういう相談はとてもよくあります。
結論から言うと、月額という形そのものが安定を生むわけではありません。安定するのは、「毎月払い続ける理由」がある商品を、すでにつながっている人に届けたときだけです。その理由がない商品を月額にすると、売り切りより売りにくくなることさえあります。
この記事では、自分の商品がサブスクに向いているかを見分ける3つの質問と、会員が続けて払いたくなる4つの条件をまとめました。向いていなかったときの考え方と、月額を始める前に小さく確かめる方法もお伝えします。
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この記事の続きとして、紹介・講座・会員を全部やらずに、少人数で続くビジネスの設計図をAIと描く方法をまとめました。
「月額にすれば安定する」が外れやすい理由
まず、月額の会員制がなぜ思い込みどおりにいかないのかを整理しておきます。
売り切りの商品は、買った時点で取引が終わります。お客様は「この中身にこの値段を払う価値があるか」を一度だけ判断すれば済みます。
月額の会員制は違います。お客様は毎月、「来月も払う価値があるか」を判断し直しています。言いかえると、会員制は毎月、解約という形で「買わない」選択肢を突きつけられている商売です。
この前提を抜きにして月額にすると、次のようなことが起きます。
- 一度学べば終わる中身なのに月額にしたため、学び終えた人から順に辞めていく
- 「毎月払うほどではない」と思われ、そもそも申し込みが来ない
- 会員をつなぎとめようとして中身を増やし続け、主催者が先に疲れる
どれも、運営の努力が足りないから起きるのではありません。商品と月額という形の組み合わせが合っていないだけです。だから最初にやるべきなのは、月額の仕組みを作り込むことではなく、「この商品は月額に向いているか」を確かめることです。
月額の会員制は、うまく合えば労働収入から抜け出す大きな柱になります。だからこそ、始める前の見極めに時間を使う価値があります。
向いているか分かる3つの質問
自分の商品がサブスクに向いているかは、次の3つの質問で見えてきます。
- それを欲しい人は、たくさんいるか
- すでにつながっている人はいるか
- 会員が使いやすい中身を用意できるか
一つずつ見ていきます。
質問1:それを欲しい人は、たくさんいるか
1つ目は、市場の大きさの話です。「それをやりたい」「それを解決したい」と思っている人が多い分野ほど、月額の会員制は成り立ちやすくなります。
ここでいう「欲しい人」には、2つの種類があります。
- 新しく何かを始めたい人:まだできないことを、できるようになりたい人
- 今やっていることを、もっと楽にしたい人:毎日やらなければいけないことの手間や悩みを減らしたい人
前者は「上達したい」という気持ちで、後者は「面倒を減らしたい」という気持ちで、毎月の会費を払います。自分の商品がどちらの人に向けたものかを言葉にしてみると、誰に届けるのかがはっきりします。
反対に、「たしかに役には立つけれど、悩んでいる人がほとんどいない」分野は、どれだけ中身が良くても会員が集まりにくいです。
質問2:すでにつながっている人はいるか
2つ目は、今のあなたの周りの話です。メールの読者、SNSで反応をくれる人、教室やセミナーに来てくれた人。すでにつながっている人がいると、会員制は始めやすくなります。
ここで多くの方が「でも、そんなに人数がいません」と言います。大事なのは人数ではありません。つながりの濃さです。
読者が多くても、あなたの発信をほとんど読んでいない人ばかりなら、月額の案内には反応しません。反対に、つながっている人が少なくても、あなたのテーマに強い関心を持ち、質問や感想をくれる人がいるなら、その人たちが最初の会員になってくれる可能性は十分にあります。
人数を増やすことより、関心の高い人との関係を深めること。少人数でも売上は作れる、という考え方は、会員制でもそのまま当てはまります。
質問3:会員が使いやすい中身を用意できるか
3つ目は、中身の話です。ここで言う「使いやすい」は、量が多いことではありません。会員が実際に取り組めて、前に進めることです。
会員制を辞める理由として多いのは、「時間がなくて消化できない」「たくさんありすぎて、どこから始めればいいか分からない」というものです。中身を詰め込むほど、会員は追いつけなくなり、辞めていきます。
すでに講座やセミナーで使った資料、発信してきた記事や動画があるなら、それは会員制の中身の材料になります。ただし、そのまま全部並べるのではなく、「どの順番で、どこまでやればいいか」が分かる形に整えることが前提です。
続けて払いたくなる4つの条件
3つの質問は「始められるか」の確認でした。次は「続くか」の確認です。会員が長く払い続けてくれるテーマには、次の4つの条件があります。
| 条件 | どういうことか | 例 |
|---|---|---|
| 1. 多くの人が悩む問題 | 健康、仕事、人間関係、お金など、深く悩む人が多い | 家計の管理に毎月悩んでいる人 |
| 2. すでに市場がある | 似たテーマの商品やサービスに、実際にお金が払われている | 時間管理の本や手帳がよく売れている |
| 3. 習慣にしたいこと | 「いつか続けられるようになりたい」と思っているが、一人では続かない | 毎日の体の手入れ、記録をつけること |
| 4. 時間をかけても身につけたい技術 | すぐには上達しないが、身につければずっと使える | 声の出し方、着付け |
1つ目と2つ目は、お金が払われる理由です。悩みが深いほど人はお金を払いますし、すでに他の商品が売れている分野なら、「このテーマにお金を払う人がいる」ことが確かめられています。逆に、似た商品がまったく見つからない分野は、新しい市場を自分で作ることになり、難しさが一段上がります。
3つ目と4つ目は、続く理由です。習慣も技術も、身につくまでに時間がかかります。その間、会員は毎月の支えを必要としてくれます。もし悩みが1か月で解決してしまうなら、会員は1か月で辞めます。それは失敗ではなく、テーマが月額に合っていないということです。
4つ全部を満たす必要はありません。ただ、当てはまる条件が多いほど、会員制は安定しやすくなります。ひとつも当てはまらないなら、月額以外の売り方を考えたほうがいいサインです。
向いていないときは、売り切りの講座にすればいい
3つの質問と4つの条件で考えてみて、「どうも月額には向いていない」と感じた方もいると思います。それで構いません。月額に向いていないことは、商品の価値が低いことを意味しません。
たとえば、次のような商品は売り切りの講座や単発のサービスのほうが合っています。
- 一度覚えれば終わる手順(道具の初期設定、書類の作り方など)
- 期間が決まっている目標(ある試験に合格する、ある時期までに準備を終えるなど)
- 一度きりの大きな判断を手伝うもの(独立の準備、商品の企画づくりなど)
こうした商品を無理に月額にすると、会員は「もう学ぶことがないのに払っている」と感じ、不満とともに辞めていきます。それなら最初から、ゴールまでの道のりをまとめた講座として売ったほうが、お客様にも誠実です。
また、全部を月額にする必要もありません。基本を身につける部分は売り切りの講座にして、そのあと「使い続ける」「続けていく」部分だけを会員制にする。このように分けると、月額で届ける中身の範囲がはっきりします。毎月何を届けるかの決め方は、会員制で毎月届ける中身の4つの形で詳しく解説しています。
「そもそも自分には何が商品になるのか分からない」という段階なら、先に経験と知識を商品の材料に変える棚卸しから始めるのがおすすめです。
月額を始める前に、小さく確かめる
向いていそうだと分かったら、すぐに会員サイトを作り込みたくなります。でも、ここで時間とお金をかける前に、小さく確かめる手順を踏んでください。
1. 自分が払い続けているものを書き出す
最初にやってほしいのは、あなた自身が毎月払っているものを書き出すことです。カードの明細や引き落としの記録を見ると、思った以上にたくさん見つかります。
書き出したら、「ずっと続けているもの」と「すぐに辞めたもの」に分けてみてください。続けているものには、使うたびに何かが前に進む、手間が減る、誰かとつながれる、といった理由があるはずです。辞めたものには、使わなくなった、元が取れないと感じた、という理由があるはずです。この違いが、そのままあなたの会員制の設計のヒントになります。
2. つながっている人に聞いてみる
次に、すでにつながっている人に、テーマについての悩みを聞いてみます。「一人で続けようとして、どこでつまずきましたか」「毎月どんな手助けがあれば続けられそうですか」。答えの中に同じ言葉が何度も出てくるなら、そこに月額で応えるべき悩みがあります。
3. 少人数の先行募集で反応を見る
最後は、実際に案内してみることです。完成した会員サイトがなくても、「こういう会員制を、この日から始めます」と伝え、少人数で先に参加してくれる人を募ることはできます。実際にお金を払って参加してくれる人がいるかどうかが、いちばん確かな答えです。
作り込む前に募る進め方は、作る前に初期メンバーを募る先行募集の進め方で詳しく解説します。
趣味ではなく、事業として決める
確かめる段階で大事なのは、会員制を「うまくいったらいいな」という趣味の延長ではなく、事業として扱うことです。誰に、何を、どんな順番で届けるのか。いつ始めるのか。最初は何人に参加してほしいのか。これを先に決めておくと、迷ったときに戻る場所ができます。
あわせて、自分がこのテーマに夢中になれるかも確かめてください。会員制は、毎月届け続ける商売です。お金になりそうという理由だけで選んだテーマは、続けるうちに主催者のほうがしんどくなります。
まとめ
- 月額にすれば安定するのではなく、「毎月払い続ける理由」がある商品だけが安定する
- 向いているかは「欲しい人は多いか」「つながっている人はいるか(人数より濃さ)」「使いやすい中身を用意できるか」の3つの質問で見る
- 続くテーマの条件は「多くの人が悩む」「すでに市場がある」「習慣にしたい」「時間をかけても身につけたい技術」の4つ
- 向いていない商品は、売り切りの講座にすればいい。基本は講座、続ける部分だけ会員制という分け方もある
- 作り込む前に、自分の払っているものの書き出し、つながっている人への聞き取り、少人数の先行募集で確かめる
まずは今日、あなたが毎月払っているものを書き出し、「続けているもの」と「辞めたもの」に分けてみてください。そのうえで、人が毎月払い続ける理由をもっと詳しく知りたい方は、人が毎月お金を払い続ける4つの理由に進んでください。
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