会員制を始めて、少しずつ入会が増えてきた。それなのに、入った人が1か月もたたずに辞めていく。新しい会員を集めても、出ていく人が多くて会員数が増えない。そんな状態で悩んでいる方は少なくありません。
辞めた理由を聞いてみると、「思っていたのと違った」「何から手をつければいいか分からなかった」「なんとなく開かなくなった」という答えが返ってくることが多いです。中身が悪かったわけではなく、中身に手が届く前に気持ちが離れてしまっているのですよね。
結論から言うと、会員制の退会を減らすいちばんの近道は、入会した直後の迎え方を設計することです。入会したばかりの人が「入ってよかった」「次はこれをやればいい」と感じられれば、その後の続き方は大きく変わります。
この記事では、入会直後に辞めやすい理由、迎え入れで渡す4つのもの、最初の30日の流れ、そして続けてもらうための5つの定着の工夫を順番に解説します。中身の量や順番の作り方ではなく、「入った人をどう迎えるか」に絞った記事です。
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会員がいちばん辞めやすいのは、入会した直後です
入会したばかりの人の気持ちを想像してみてください。期待はしています。でも同時に、不安も抱えています。「本当にこれで自分の悩みは解決するのだろうか」「どこから見ればいいのだろう」「周りの人についていけるだろうか」。
この不安が解けないまま数日が過ぎると、会員制のページを開く回数が減っていきます。開かないから進まない。進まないから価値を感じない。価値を感じないから、次の支払いの前に辞める。この流れは、入会から最初の数か月に集中して起きます。
逆に言えば、最初の時期を乗り越えた会員は、その後も長く続けてくれる傾向があります。だからこそ、新しい会員を集める工夫より先に、入った人を迎える仕組みを整える方が、売上は安定しやすいのです。穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるより、先に穴をふさぐ方が早い、ということですね。
もうひとつ知っておきたいのは、入会直後の不安は「中身の良さ」だけでは消えないということです。どれだけ良い教材を用意しても、入口で迷ってしまえば、そこまでたどり着いてもらえません。中身の量が多すぎて消化しきれないことも、辞める理由の1つになります。入口では、量より「迷わないこと」を優先してください。
迎え入れで渡す4つのもの
では、入会した人に何を渡せばいいのか。私は、次の4つがそろっていれば迎え入れとして十分だと考えています。
| 渡すもの | 役割 | 形の例 |
|---|---|---|
| 歓迎の連絡 | 「入ってよかった」と安心してもらう | 短い動画、または手紙のような文章 |
| 最初にやること1つ | 迷わず動き出してもらう | 「まずはここから」の案内 |
| 使い方の案内 | どこに何があるかを知ってもらう | 画面を見せながらの短い説明 |
| 最初の小さな成功 | 「自分にもできた」と感じてもらう | すぐ終わる課題、自己紹介など |
歓迎の連絡では、「何が手に入るか」をもう一度伝える
歓迎の連絡で伝えたいのは、お礼だけではありません。この会員制で何が手に入るのか、どこを目指すのかをもう一度伝え、入会の判断が間違っていなかったと感じてもらうことです。
そして連絡の最後は、必ず「次にやること」で締めます。「これからよろしくお願いします」で終わると、受け取った人は何をすればいいか分からないままです。
最初にやることは、1つだけにする
入会した人に、あれもこれも見せたくなる気持ちは分かります。でも、最初に選択肢をたくさん並べると、人は動けなくなります。「まずはここから始めてください」という入口を1つだけ作りましょう。
会員の状況によって最初の一歩が違う場合は、入会時に簡単な質問に答えてもらい、答えに合わせて「あなたはまずこれを」と案内する方法もあります。成長の道筋の中で今どこにいるかを本人が分かるようにしておくと、迷いはさらに減ります。道筋の作り方は段階・到達点・やることで作る成長の道筋で解説しています。
使い方の案内と、問い合わせ先をはっきりさせる
主催者は毎日自分の会員サイトを見ているので、どこに何があるかを知っています。でも、入ったばかりの人には分かりません。画面を見せながら「ここに教材、ここに交流の場、ここに過去の記録」と短く案内するだけで、迷う人はぐっと減ります。
あわせて、困ったときの問い合わせ先をはっきり書いておきます。答えが見つからない疑問を抱えた人ほど、静かに離れていくからです。よくある質問は、答えをまとめて案内の中に入れておくと、主催者の手間も減ります。
最初の小さな成功は、すぐ終わるものにする
最後に、入会して早いうちに「できた」を一度味わってもらいます。重たい課題である必要はありません。短い時間で終わり、ほとんどの人がつまずかずにできることが向いています。
たとえば、交流の場で自己紹介をする、最初の課題を1つだけ提出する、今の状態を書き出す、などです。大事なのは、できたことを主催者や仲間がきちんと受け止めることです。自己紹介をしたのに誰からも反応がない、という状態だけは避けてください。
自己紹介は、「名前」「今いちばん困っていること」「ちょっとした趣味や好きなこと」のように、答える項目を決めておくと書きやすくなります。好きなことが書いてあると、ほかの会員が話しかけるきっかけにもなります。
最初の30日の流れ
4つのものをいつ渡すかを、30日の流れにしておくと迷いません。目安として、次のように組んでみてください。
| 時期 | やること | 会員に感じてほしいこと |
|---|---|---|
| 入会した日 | 歓迎の連絡、最初にやること1つ、使い方の案内 | 安心した、何をすればいいか分かった |
| 1週目 | 最初の小さな成功、自己紹介への反応 | 自分にもできた、ここに居場所がある |
| 2〜3週目 | 進み具合の確認、止まっている人への声かけ | 見てもらえている、置いていかれていない |
| 4週目 | 1か月の振り返り、次の月に起きることの予告 | 進んでいる、来月も楽しみだ |
4週目の「次の月に起きることの予告」は意外と見落とされがちです。来月どんなテーマを扱うのか、どんな集まりがあるのかが分かっていると、会員は先を楽しみにできます。
そのためには、主催者自身が先の予定を決めておく必要があります。毎月その場で中身を考えていると、予告ができません。毎月届ける中身の組み立て方は、会員制で「毎月何を届けるか」を決める4つの形を参考にしてください。
たとえば、文章の書き方を教える人がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。仕事で使う文章の書き方を、月額の会員制で教えている人がいたとします。入った人の多くが、最初の数週間で教材を開かなくなるのが悩みでした。
この人は、迎え方を次のように変えることにします。
- 入会した日:短い歓迎の動画で「この会で書けるようになる文章」を伝え、最後に「まずは最近書いたメールを1通、そのまま貼ってください」とお願いする
- 1週目:貼られたメールに、主催者が一言ずつ「ここが良い」を返す
- 2〜3週目:教材を開いていない人に、「最初の回だけでも見てみませんか」と個別に連絡する
- 4週目:最初に貼ったメールを書き直してもらい、前後を見比べる。来月のテーマも伝える
新しい教材は1本も増やしていません。それでも、入った人が最初の1か月で「書き直したら良くなった」という変化を手にできるようになります。
続けてもらうための5つの定着の工夫
最初の30日を乗り越えたあとも、会員が「ここにいたい」と思える状態を保つ必要があります。そのための工夫を、5つに整理しておきます。
- 声かけ:週に1回など決まった間隔で、今週の予定、来週の予告、交流の場で話題になったことを届ける
- 承認:名前を呼んで認める。課題を出した人、ほかの会員を助けた人、何かを達成した人を、名前を挙げて認める
- 節目の確認:入会から1か月、段階をひとつ進んだときなど、節目ごとに「ここまで来ましたね」と振り返る
- つまずいた人への連絡:しばらく開いていない人、同じところで止まっている人に、責めずに声をかける
- 辞めた理由を聞く:退会する人に、なぜ辞めるのか、どこまで取り組めたかを短く聞き、改善に生かす
このうち、特に効くのは2つ目の「名前を呼ぶ承認」です。人は自分の名前を呼ばれると、そこに注意を向けます。全体へのお知らせの中でも「〇〇さんが今週こんな取り組みを共有してくれました」と名前を出すだけで、本人にとっても周りにとっても、この場に参加する意味がはっきりします。
承認は、大きな成果だけを対象にしないことがポイントです。最初の課題を出した、質問をした、ほかの人の投稿に返事をした。こうした小さな行動を拾って認めると、その行動が場に広がっていきます。
5つ目の「辞めた理由を聞く」は、気が重いかもしれません。でも、ここで集めた声は、迎え入れや中身を直すための何よりの材料になります。理由を聞くときは引き止めのためではなく、改善のために聞く、という姿勢で臨んでください。辞める手続きは分かりやすくしておき、引き止めのために手間を増やすことはしないでください。続けてもらう理由は、手続きの面倒さではなく中身と支えで作るものです。
退会の理由や、何か月目に辞める人が多いかといった数字の見方は、サブスクで見るべき3つの数字と仕組み化で詳しく扱っています。
迎え入れでやりがちな3つの失敗
最後に、迎え入れを整えるときによくある失敗を3つ挙げておきます。
1. 最初に全部を見せようとする
入会した人に喜んでほしくて、教材も特典も交流の場もすべてを一度に案内してしまう。気持ちは分かりますが、受け取る側は圧倒されて、どこから手をつければいいか分からなくなります。最初に見せるのは入口1つ。残りは、進み具合に合わせて少しずつ案内すれば十分です。
2. 「連絡すると辞められる」と思って連絡を控える
会員に連絡すると、毎月払っていることを思い出させて辞められてしまうのでは、と心配する方がいます。でも、連絡するたびに辞める人が増えるなら、それは連絡のせいではありません。会員が期待していることと、実際に届けているものにズレがあるというサインです。
届けている価値に自信があるなら、連絡はむしろ「この会でこれだけ受け取れている」と思い出してもらう機会になります。 課金していることを気づかれないように黙っておく、という考え方はとらないでください。会員に長く続けてもらう力は、気づかれないことではなく、価値を感じてもらうことから生まれます。
3. 自動化しすぎて、気持ちが伝わらなくなる
歓迎の連絡や節目のお知らせは、自動で送れるようにしておくと便利です。仕組み化は、少人数で会員制を続けるために欠かせません。ただ、自動の連絡ばかりになると、会員は「ここに人はいない」と感じ始めます。
自動で送るものと、主催者が自分の言葉で返すものを分けておきましょう。案内や予告は自動で、課題への一言や名前を呼ぶ承認は人の手で。もうひとつ、誕生日や節目のお祝いに商品の案内を混ぜるのは避けた方がいいです。お祝いはお祝いとして届ける方が、気持ちはまっすぐ伝わります。
購入したお客様との関係を深める考え方は、購入者をファンに変える方法も参考になると思います。
まとめ
- 会員がいちばん辞めやすいのは入会直後。集める工夫より先に、迎える仕組みを整える
- 迎え入れで渡すのは、歓迎の連絡・最初にやること1つ・使い方の案内・最初の小さな成功の4つ
- 最初の30日は、入会日・1週目・2〜3週目・4週目に分けて、やることを決めておく
- 続けてもらう工夫は、声かけ・名前を呼ぶ承認・節目の確認・つまずいた人への連絡・辞めた理由を聞く、の5つ
- 連絡を控えるのではなく、届けている価値を思い出してもらう機会として連絡する
まずは、あなたの会員制に入った人が「入会した日」に受け取るものを書き出してみてください。その中に「最初にやること1つ」が入っていなければ、そこから整えるのが次の一歩です。
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