商品の良さを伝えたくて、セールスレターをどんどん長くしてしまう。書けば書くほど伝わる気がして、気づけばスクロールしても終わらない長さになっている。そんな経験はありませんか。
ところが、長く書いた分だけ読まれるかというと、そうではないですよね。スマホで開いた人の多くは、途中で指を止めて別の画面に移っていきます。最後まで読まれなければ、どんなに良い商品でも申し込みにはつながりません。
結論から言うと、文章を足すより「短い動画で、話の筋を1本にして見せる」ほうが伝わる場面があります。それがVSL(ビデオセールスレター)です。
この記事では、VSLとは何か、なぜ長い文章より伝わりやすいのか、5〜15分という長さがなぜちょうどいいのか、そしてVSLが向いている商品と向いていない商品を整理します。作り方の手順そのものではなく、「VSLを使うかどうか」を判断できるところまでを目指します。
VSLとは「スライドに声を乗せた、短い販売動画」です
VSLは「ビデオセールスレター」の略です。セールスレター、つまり商品を案内する販売ページの文章を、動画に置きかえたものだと考えてください。
見た目はとてもシンプルです。スライドを1枚ずつ切りかえながら、そこに自分の声で説明を乗せていきます。カメラの前に立つ必要はありません。画面に映るのはスライドだけです。
| セールスレター | VSL | ウェビナー | |
|---|---|---|---|
| 形 | 文章と画像のページ | スライド+声の動画 | 講師が話すライブや録画 |
| 長さ | 読む人次第 | 5〜15分ほど | 1〜2時間になりやすい |
| 顔出し | なし | なし | ありが多い |
| 受け取り方 | 自分で読みに行く | 見て聞くだけ | 時間を取って参加する |
独立したばかりの頃の私は、セミナーやZoomライブに苦手意識がありました。カメラに向かって話すのが落ち着かず、準備にも時間がかかる。同じように感じている方は多いと思います。VSLは顔を出さずに、声とスライドだけで商品を案内できる形です。人前で話すのが得意でなくても始めやすい、というのは大きな良さです。
「動画で売る」と聞いて身構えなくていい
「動画で売る」と聞くと、撮影の機材をそろえて、きれいに編集して、と大がかりなものを想像するかもしれません。でもVSLで大事なのは見た目の豪華さではなく、話の順番です。スライドは白い背景に大きな文字で十分です。凝ったデザインより、1枚に1つのことだけを書いて、話の流れを止めないことのほうがずっと効きます。
VSLが長いセールスレターより伝わる3つの理由
では、なぜ同じ内容でも、文章より動画のほうが伝わりやすいのでしょうか。理由は3つあります。
理由1:読まなくても受け取れる
セールスレターは、読む人が自分から文字を追いかけないと中身が入ってきません。読むというのは、思っている以上に力を使う作業です。疲れているとき、移動中、ほかの用事をしながらだと、長い文章はなかなか読み進められませんよね。
VSLは、再生ボタンを押せば話が向こうから流れてきます。見る人は、画面を眺めて声を聞いているだけでいい。受け取る側の負担が軽いので、文章なら途中でやめてしまう人にも、最後まで届きやすくなります。
理由2:声の抑揚で気持ちが動く
文章で伝わるのは、書かれた言葉の意味だけです。一方、声には、話す速さ、間の取り方、声の高さや強弱といった情報が乗ります。
たとえば「私も最初は同じところで止まっていました」という一文。文字で読むのと、少し間を置いて、実感のこもった声で聞くのとでは、受け取る印象がかなり違います。気持ちが動くのは、多くの場合、意味より先に声の温度を感じたときです。
商品を選ぶかどうかは、理屈だけで決まるものではありません。「この人の話なら聞いてみたい」と感じてもらえるかどうかが、その先を左右します。声はそこに直接届きます。
理由3:短いから、最後まで見てもらえる
動画なら何分でも見てもらえる、というわけではありません。どんなに受け取りやすくても、長すぎれば途中で閉じられます。VSLは、はじめから短く作ることが前提です。YouTubeで動画を1本見るくらいの感覚で、最後の案内までたどり着いてもらえます。
この「短さ」には、もう一つ大きな意味があります。それは次の章でくわしくお話しします。
5〜15分がちょうどいい理由
VSLの長さは、5〜15分ほどが目安です。なぜこのくらいなのかは、短すぎる場合と長すぎる場合を考えると分かりやすくなります。
- 短すぎる場合:悩みに共感して、原因を説明して、解決策と商品を案内する、という流れを入れる時間が足りません。いきなり商品の話になり、売り込みのように聞こえてしまいます
- 長すぎる場合:VSLはスライドがテンポよく切りかわるので、見ていて飽きにくい反面、長く続くと疲れてしまいます。集中が切れたところで画面を閉じられます
つまり5〜15分というのは、「話の流れを最後まで入れられる」と「集中が切れない」の両方がそろう長さです。
ウェビナーとの違い
ウェビナーは1〜2時間かけて、講師の人となりや考え方をじっくり伝えられるのが強みです。その分、見る人は時間をまとめて空けなければなりません。忙しい人ほど、2時間パソコンの前に座るのは難しいですよね。
VSLは、すきま時間で見られる長さに収めることで、「時間がないから後で」と先送りされるのを防ぎます。ウェビナーとVSLはどちらが上ということではなく、見る人に求める時間の量が違う、ということです。どちらを先に作るかは、ウェビナーより先に5分のVSLを作る理由で整理しています。
自分の商品なら何分か、の決め方
迷ったら、まず短いほうで作ってみてください。伝えたいことが入りきらないと感じたら、そこではじめて足します。最初から長く作って削るより、短く作って足すほうが、話の筋がぶれにくくなります。
説明を削るほど「悩み→理由→解決策→商品」の筋が太くなる
VSLのいちばんの良さは、実は「長く話せないこと」そのものにあります。
長い文章や長い動画では、つい説明を足してしまいます。自分の経歴、細かい事例、補足の話、関係のありそうな豆知識。どれも悪い話ではありません。でも足すたびに、本当に伝えたかった筋が見えにくくなっていきます。
短い時間で伝えようとすると、話は自然と次の4つに絞られます。
- 悩み:あなたは今、こういうことで困っていませんか
- 理由:それは、こういう原因があるからです
- 解決策:だから、こうすれば変えられます
- 商品:そのやり方を一緒に進めるのが、この商品です
この4つが一本の線でつながっていると、見る人は「なぜこの商品が自分に必要なのか」を、自分で納得しながら最後までたどれます。説明が多いと、この線が途中で途切れてしまうのです。
削るときの判断の基準
何を残して何を削るか迷ったときは、「この話がなかったら、次の話につながらないか」を一つずつ確かめます。つながるなら削ってかまいません。
たとえば、自分のプロフィールを長く話していたとします。それがなくても「悩み→理由」の流れが成り立つなら、プロフィールは一言で十分です。反対に、原因の説明を削ってしまうと、解決策が唐突に聞こえます。ここは残します。
話の流れを組み立てる順番は、VSLの台本の流れでも紹介しています。
売り込まずに選ばれるための注意
短い時間で決めてもらおうとすると、「今だけ」「残りわずか」といった言葉を足したくなるかもしれません。でも期限や人数の限りは、本当にその理由があるときだけ、事実として伝えてください。サポートの枠に限りがある、開講日が決まっている、といった理由です。
あおって申し込んでもらっても、あとで「思っていたのと違った」となれば信頼は残りません。VSLの役割は、相手を急がせることではなく、必要な人が自分で判断できる材料を、短く分かりやすく渡すことです。
VSLが向いている商品・向いていない商品
VSLは便利ですが、どんな商品にも合うわけではありません。目安を表にまとめました。
| 向いている商品 | 向いていない商品 |
|---|---|
| 悩みと解決策が一言で言える商品 | 何をする商品か説明に時間がかかる商品 |
| 講座・教材・コンサルなど、内容を図で見せられる商品 | 申し込む前に細かい条件のすり合わせが必要な商品 |
| 見る人がすでに悩みを自覚している商品 | 悩みにまだ気づいていない人に売る商品 |
| 価格と中身を短く見せて判断できる商品 | 長い付き合いの中で信頼を作ってから選ばれる商品 |
向いていない側に当てはまるからといって、VSLが使えないわけではありません。たとえば、高額で長いサポートが続く商品なら、VSLで「個別相談に申し込む理由」まで伝え、商品の提案は相談の場で行う、という使い方ができます。動画1本ですべてを決めてもらおうとしないことです。
よくある失敗
VSLでつまずきやすいのは、次のようなところです。
- 冒頭で自己紹介が長く、悩みの話に入るまでに見る人が離れる
- 1枚のスライドに文字を詰めこみ、声と画面の内容がずれる
- 商品の中身ばかり説明して、「その結果どうなれるのか」が伝わらない
- 申し込みの案内が最後に一度だけで、どこを押せばいいか分からない
どれも、作り手のセンスの問題ではありません。話の順番と、1枚に入れる情報の量を決めておけば防げることです。文章で案内する場合の組み立ては、セールスレターの基本も参考になります。
まとめ
- VSLは、スライドに声を乗せて商品を案内する5〜15分の短い動画。顔出しは要らない
- 文章より伝わりやすいのは、読まなくても受け取れる、声で気持ちが動く、短いから最後まで見られる、の3つ
- 説明を削るほど「悩み→理由→解決策→商品」の筋が太くなり、見る人が自分で納得しやすくなる
- 期限や限定は本当の理由があるときだけ事実として伝え、あおらない
- 長い付き合いが必要な商品は、VSLで相談につなげる使い方もできる
次の一歩として、あなたの商品を「悩み→理由→解決策→商品」の4行で書き出してみてください。4行で言えたら、それがそのままVSLの骨組みになります。


