講座の案内を出したあと、LINEやメッセージにこんな質問が届くことがあります。「動画だけのプランと、サポート付きのプラン、どちらがいいですか」「私のような初心者でもついていけますか」。
こうした質問をもらうと、多くの方はすぐに丁寧な答えを返します。プランの違いを説明し、「初心者の方も大丈夫です」と伝えて、やり取りが終わる。失礼なところは何もありません。それでも、そのあと申し込みにつながらないことが多いんですよね。
結論から言うと、個別の問い合わせは「答える場面」ではなく「聞く場面」です。質問をくれた人は、すでに申し込みを考えています。だからこそ、答えを出す前に相手の状況を聞き、その人に合う道を一緒に選ぶ。これだけで、問い合わせは売り込みではなく相談になります。
この記事では、問い合わせの裏にある気持ちの読み方、答える前に聞く4つの返し方、長文の相談への向き合い方、そして商品説明に書いておくべきことを解説します。
質問をくれる人は、もう半分決めている
まず知っておきたいのは、わざわざ質問を送ってくる人の状態です。興味がない人は、質問すらしません。黙って案内を閉じるだけです。
「どちらのプランがいいですか」と聞く人は、申し込むかどうかではなく、「どれに申し込むか」を考えています。つまり、もう半分は決めていて、最後の判断材料を探している状態です。
「私でもできますか」という質問も同じです。できるかどうかの情報がほしいというより、「あなたなら大丈夫ですよ」と言ってもらって安心したい、という気持ちが強いことが多いです。
質問の種類ごとに、裏にある気持ちを整理すると次のようになります。
| 届く質問 | 裏にある気持ち | 最初にやること |
|---|---|---|
| AとB、どちらがいいですか | 申し込む前提で、自分に合う方を選びたい | 相手の状況を聞く |
| 私でもできますか | 途中でついていけなくなるのが不安 | 今の状態と不安の中身を聞く |
| 自分の経歴や悩みを長く書いてくる | 自分のことを分かってほしい、相談したい | 要点を受け止め、課題を整理して返す |
| 価格や支払い方法の確認 | 申し込みの手前で、条件を確かめたい | 事実を正確に答え、次の手順を示す |
表を見ると分かるとおり、最後の「条件の確認」以外は、すぐに答えを返すより先にやることがあります。
すぐに答えると、会話がそこで終わる
質問にすぐ答えるのは、親切に見えます。ただ、それには2つの問題があります。
1つ目は、答えが一般論になることです。相手が使える時間も、目指しているゴールも分からないまま答えると、「どちらも良い商品です。違いはこうです」という説明になります。相手は結局、自分で選ばなければなりません。迷っているから質問したのに、迷ったまま返されるわけです。
2つ目は、やり取りが一往復で終わることです。説明を受け取った相手は「ありがとうございます、検討します」と返して、そのまま時間が過ぎていきます。
質問に質問で返すと、この2つが同時に解決します。 相手の状況が分かるので、その人に合った答えを出せます。そして相手は「自分のために考えてくれている」と感じます。聞かれた相手は自然に自分のことを話し、あなたは専門家として相談に乗る立場になります。これが、売り込まずに信頼される流れです。
問い合わせを信頼に変える4つの返し方
では、実際にどう返せばいいのか。私は次の4つの順番で考えています。
- 受け取ったことを伝える:質問のお礼と、「しっかり読みました」という一言を返す
- 理由を添えて、状況を聞く:「あなたに合う方をお伝えしたいので」と前置きして、質問を3〜4つ送る
- 状況に合わせて、正直に勧める:安い方や「今は必要ない」という答えも含めて、相手に合う選択肢を伝える
- 次の一歩を1つだけ示す:申し込み方法、個別面談の日程、まず見てほしい資料など、1つに絞る
2つ目で聞く質問は、多すぎると負担になります。聞くのは、判断に必要なことだけです。
- 1週間のうち、取り組める時間はどのくらいか
- 最終的に、どうなりたいのか
- 今、どこで止まっているのか
- いつまでに形にしたいのか
この4つが分かれば、たいていの場合は答えを出せます。
たとえば、2つのプランを持つ講師がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。動画教材だけのプランと、月2回の相談会が付いたプランを持っている講師がいたとします。「どちらがいいですか」と質問が届きました。
すぐに違いを説明する代わりに、まず「あなたに合う方をお伝えしたいので、3つだけ教えてください」と聞きます。返ってきた答えから、相手は平日に時間が取れず、一人だと後回しにしがちで、半年以内に形にしたいと分かったとします。
この場合は、「一人だと止まりやすいとのことなので、相談会で進み具合を確かめられる方が合いそうです」と勧められます。反対に、相手が自分で進めるのが得意で、急いでいないなら、「動画のプランで十分です」と伝えます。
ここで大事なのは、高い方を勧めるために質問しているのではない、ということです。安い方で十分な人には、安い方を勧める。 この正直さが、あなたへの信頼になります。そして、信頼してくれた人は、次に必要になったときに戻ってきてくれます。
返信で避けたい3つのこと
最後に、問い合わせへの返信でやりがちな失敗も挙げておきます。
- 定型文をそのまま貼る:誰にでも同じ文面だと、相手は「読んでもらえていない」と感じます。定型文を使うなら、相手の名前と質問の中身に触れる一文を必ず足します
- 質問を10個も並べる:聞きすぎると、答えるのが面倒になって返信が止まります。判断に必要なことだけに絞ります
- 返信を何日も寝かせる:迷っている人の熱は、時間とともに下がります。すぐに答えを出せないときも、「確認して明日お返事します」とだけ先に返しておきます
長文の相談は、深い信頼のサイン
ときどき、質問というより、自分の経歴や悩みを長く書いたメッセージが届くことがあります。読むだけで時間がかかるので、つい後回しにしたくなりますよね。
でも、考えてみてください。人は、信頼していない相手に自分の事情を長々と書いたりしません。長文の相談は、「この人なら分かってくれそう」と思ってもらえている証拠です。そして、深く悩んでいる人ほど、解決したい気持ちも強いものです。
長文の相談には、次のように返します。
- 要点を受け止める:「〇〇で悩んでいて、△△が不安なのですね」と、相手の話を短くまとめて返す
- 課題を1つに絞る:書かれた悩みの中で、一番先に解決すべきことを伝える
- 思い込みをやさしく外す:「難しいと思われているかもしれませんが、実は〇〇から始めれば大丈夫です」と、新しい見方を渡す
- 続きは面談で聞くと伝える:文章では伝えきれない部分は、個別面談で一緒に整理しましょうと案内する
注意したいのは、相手の考えを頭ごなしに否定しないことです。遠回りをしている人ほど、その選択にも理由があります。否定するのではなく、「今の状況なら、先にこちらをやった方が早いです」と、順番を整理してあげる。思い込みの外し方は、思い込みを外す4つのステップでも解説しています。
もう一つの注意点は、すべての長文にメッセージで答えきろうとしないことです。文章でのやり取りを何往復も続けると、あなたの時間がどんどん減っていきます。課題が見えたら、面談に案内する。これも相手のための判断です。
「書いていないことも、やってもらえる」と思われている
問い合わせに丁寧に答えていると、もう一つ気をつけたいことが出てきます。それは、商品説明に書いていないサポートを、相手が「含まれているもの」と受け取りやすいことです。
たとえば、動画教材を買った人から、学習の進め方について毎週のように質問が届く。最初は善意で答えていても、それが当たり前になると、本来は有料で届けるべき個別サポートを、無料で続けることになります。
これを防ぐには、販売ページや申し込み案内の段階で、次のことをはっきりさせておきます。
| 決めておくこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 質問対応の有無 | 「このプランには個別の質問対応は含まれません」 |
| 質問対応の範囲 | 「教材の内容に関する質問に限ります」 |
| 返信の目安 | 「3営業日以内に返信します」 |
| 手厚いサポートの行き先 | 「個別に見てほしい方は、サポート付きのプランをご利用ください」 |
「含まない」と書くのは、冷たいことではありません。むしろ、サポートがほしい人には上のプランがある、と分かりやすくなります。サポートの深さで商品を分ける考え方は、バックエンド商品の3段階のラインナップで詳しく書いています。
問い合わせは、個別面談の入口になる
ここまでの話は、私がチャレンジ企画で個別面談をするときの考え方と同じです。
チャレンジ企画の3日間では、オープンチャットやLINEで参加者から質問が届きます。「自分の場合はどうすればいいですか」という質問は、まさに面談の手前にいる人からのサインです。そこで一般論を返して終わらせず、状況を少し聞いたうえで、「詳しくは個別に一緒に整理しましょう」と面談へつなげています。
面談でも、やることは同じです。先に聞いて、課題を整理して、必要な人にだけ提案する。私はこの進め方で、個別相談の成約率92%(25人中23人)になったことがあります。話術を磨いたわけではありません。答える前に聞く、という順番を守っただけです。面談そのものの流れは、カウンセリングセールスの10ステップで解説しています。
問い合わせへの返信は、小さな個別面談です。1通の返信で「この人は自分のことを分かってくれる」と感じてもらえれば、その先の面談もずっと話しやすくなります。
まとめ
- 質問をくれる人は、申し込みを半分決めていて、最後の判断材料と安心を求めている
- すぐに答えると一般論になり、会話も終わる。答える前に、理由を添えて状況を聞く
- 相手の状況に合わせて、安い方や「今は不要」も含めて正直に勧める。次の一歩は1つに絞る
- 長文の相談は深い信頼のサイン。要点を受け止め、課題を1つに絞り、続きは面談で聞く
- 商品説明には、含むサポートと含まないサポートをはっきり書いておく
まずは、最近届いた問い合わせを1つ思い出して、「答える前に聞くとしたら、何を聞くか」を3つ書き出してみてください。それが、あなたの返信の型の出発点になります。


