無料の動画や資料を心を込めて作り、受け取った人からは「分かりやすかったです」「参考になりました」と感想ももらえる。それなのに、その先の講座や個別相談には、なかなか人が来ない。こういう経験はありませんか。
無料の中身が良いのに講座が売れないと、「もっと良い中身にしなければ」と考えがちです。でも、多くの場合、問題は中身ではありません。見終わった人、読み終わった人が、次にどこへ進めばいいのかが示されていないんですよね。
結論から言うと、無料で渡すものには、必ず「次の一歩」を置いてください。相手が満足した瞬間に、次に進む場所がすぐ目の前にある。この流れがつながっているかどうかで、同じ中身でも、その先へ進む人の数が変わります。
この記事では、満足した人がその先へ進まない理由、次の一歩を置く5つの場所、行き先の選び方と案内文の書き分け、どこから申し込みが来たかを確かめる方法、そして一度作った案内をすべての出口にそろえる手順を解説します。
満足した瞬間に、行き先がない
まず、なぜ満足してもらえたのに先へ進んでもらえないのかを整理します。
発信を見た人は、ひとつずつ進んでいきます。投稿を見て、プロフィールを開き、記事を読み、資料を受け取り、動画を見る。どこかで次の行き先が示されていなければ、その人の動きはそこで止まります。
特にもったいないのが、無料の資料や動画シリーズを最後まで見てくれた人です。最後まで見た人は、あなたへの信頼が一番高まっている状態です。そのタイミングで「以上です。ありがとうございました」と終わってしまうと、相手は満足したまま、次に何をすればいいか分からずに去っていきます。
無料で渡すものの役割は、渡して終わることではなく、次の一歩につなぐことです。 中身をもっと良くする前に、まず出口があるかを確かめてください。
次の一歩は、売り込みではなく道案内
「最後に講座の案内を入れると、売り込みだと思われないか」と心配する方もいます。その気持ちはよく分かります。
でも、考えてみてください。最後まで見てくれた人は、もっと知りたい、もっと進みたいと思っている人です。その人に「さらに深く学びたい方は、こちらへどうぞ」と行き先を示すのは、押しつけではなく道案内です。行き先がないほうが、相手にとっては不親切です。
売り込みになるのは、相手の状況を無視して何度も勧めたり、無料の中身の途中で話を遮って商品の話を始めたりするときです。中身を最後まで届けたうえで、最後に1つだけ行き先を示す。この順番を守れば、売り込みにはなりません。
次の一歩を置く5つの場所
では、どこに次の一歩を置けばいいのか。見落としやすい場所も含めて、5つ挙げます。
| 置き場所 | 置くもの | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1. 動画や投稿の説明欄 | 詳しい記事や資料への案内 | 一番上に置く。開いた人が最初に目にする場所にする |
| 2. 記事の途中と最後 | 関連する記事、資料や登録の案内 | 読んでいる内容に合った案内にする |
| 3. 無料資料の最後のページ | 次に読む記事、面談や講座の案内 | 資料を読み終えた人がすぐ進めるようにする |
| 4. 無料の講座や動画シリーズの最後 | 有料の講座や個別相談の案内 | 最後の回だけでなく、各回の終わりにも置く |
| 5. 動画の終わりの画面 | 次に見てほしい動画 | 関係のない動画に流れないよう、自分の動画を示す |
1つ目の説明欄は、置く位置が大切です。説明欄の下のほうに案内を置いても、多くの人はそこまで読みません。開いた瞬間に目に入る一番上に、案内を置きます。
4つ目は見落とされがちです。無料の講座や動画シリーズは、全員が最初から順番に見るとは限りません。途中の回から見る人もいれば、気になる回だけ見る人もいます。最後の回だけに案内を置くと、そこまでたどり着かなかった人には届きません。各回の終わりに、同じ案内を置いておきます。
5つ目も同じ考え方です。動画を見終えた人に何も示さなければ、その人は別の人の動画へ移っていきます。あなたの別の動画を示しておけば、見た人はあなたの発信の中を回り続けてくれます。
行き先は、相手の興味に合わせて2つまで
次の一歩を置くとき、行き先はいくつ用意すればいいのか。私は、多くても2つまでにしています。
同じ発信を見た人でも、興味の向きは一人ひとり違います。たとえば「講座の1回目の話し方」の動画を見た人の中には、話し方そのものをもっと知りたい人と、そもそも講座を作って売ることに興味がある人がいます。そこで、行き先を次の2つに分けます。
- 深める行き先:見た内容を、さらに詳しく学べる場所
- 一歩ずらす行き先:見た内容の背景にある、もっと大きな悩みに応える場所
案内の文章も、行き先によって書き分けます。深める行き先は、「講座の1回目の話し方を、1本の記事にまとめました」のように、何があるかをそのまま伝えます。一歩ずらす行き先は、「自分の講座を作って、売れるようにしたいですか」のように問いかけの形にします。問いかけると、相手は自分のことかどうかを考えて、当てはまる人だけが進んでくれます。
ただし、3つ以上並べるのはおすすめしません。選択肢が多いと人は迷い、結局どこにも進まなくなります。行き先を1つにまとめる考え方は、出口を一つにする鉄則でも解説しています。
どこから申し込みが来たか、分かるようにしておく
次の一歩を置く場所が増えてくると、「どこから申し込みが来ているのか」が分からなくなります。これが分からないと、どの出口を直せばいいのかも判断できません。
そこで、案内を置く場所ごとに、申し込みの入口を分けておきます。
- メールから来た人用と、無料講座から来た人用で、申し込みページのリンクを分ける
- 特典や割引を付けるなら、入口ごとに違う名前の特典コードにする
- 申し込みフォームに「何を見て申し込みましたか」という質問を1つ入れる
こうしておくと、あとで振り返ったときに、どこからの申し込みが多く、どこが止まっているかが分かります。私も、チャレンジ企画のあとは、どこから何人が来て、どこで止まったかを数字で見直しています。振り返りで見る数字は、申込から成約までの9つの数字の見方で解説しています。
そしてもう一つ、案内を置いたら、必ず自分で受け取る側として確かめます。説明欄の一番上に案内が出ているか、リンクを押すと意図したページが開くか、資料の最後のリンクは切れていないか。作った本人は「置いたつもり」になりやすいので、見る人と同じ手順で一度たどってください。
一度作った案内を、すべての出口にそろえる
最後に、作業の進め方です。次の一歩を置く場所は、発信を続けるほど増えていきます。一つずつ考えて案内を書いていたら、とても続きません。
おすすめは、案内の型を1つ作って、それを複製していくやり方です。
- お手本になる案内を1つ、丁寧に作る(文章、リンク、置く位置)
- そのお手本を、残りの出口に同じ形でコピーする
- 過去の発信にもさかのぼって、案内を足していく
- 行き先が変わったときは、お手本を直してから全部に反映する
3つ目が大切です。過去に作った動画や記事は、今もどこかで誰かが見ています。そこに案内がなければ、その出口は行き止まりのままです。出口が1か所でも抜けていると、そこから来た人はそこで止まってしまいます。
たとえば、ヨガの講師がいたとします
イメージしやすいように、例を出してみます。自宅でできるヨガを教えている講師がいて、無料の動画シリーズを公開していたとします。感想は届くのに、有料のオンラインレッスンにはほとんど申し込みがありません。
見直してみると、動画の説明欄の案内は一番下にあり、シリーズの最後の回にしか有料レッスンの案内がありませんでした。そこで、全部の動画の説明欄の一番上に「朝の短い時間でできる流れを1本の記事にまとめました」と記事への案内を置き、各回の終わりに「毎朝一緒に続けたい方は、オンラインレッスンへどうぞ」と一言添えることにしました。
中身は何も変えていません。変えたのは、見終えた人が進む場所だけです。それでも、行き先が見える場所に置かれたことで、進みたい人が迷わず進めるようになります。
チャレンジ企画でも、最終日の最後が次の一歩になる
この考え方は、私が開いているチャレンジ企画でもまったく同じです。
チャレンジ企画は、3日間の無料の企画です。参加者は3日間で学び、手を動かし、小さな成果を手にします。そして最終日の最後に、「ここから先を一緒に進めたい方は、個別面談で今の状況を整理しましょう」と、次の一歩を1つだけ示します。3日間で信頼が一番高まった瞬間に、行き先が目の前にある状態を作っているわけです。
最終日の最後だけでなく、1日目と2日目の終わりにも、次の日に何をするかを必ず伝えます。今日で終わりではなく、明日につながっていると分かっていると、参加者は最後までついてきてくれます。
私はこの流れで、準備1週間・集客3名で売上600万円という結果になったことがあります。集めた人数が多かったわけではありません。来てくれた人が、迷わず次の一歩へ進める流れがつながっていたからだと考えています。
無料の動画も、資料も、記事も、3日間の企画も、考え方は同じです。中身を届けたら、最後に行き先を1つ示す。その積み重ねが、売り込まずに売れる流れになります。
まとめ
- 無料で渡すものの役割は、渡して終わることではなく、次の一歩につなぐこと
- 最後まで見てくれた人に行き先を示すのは、売り込みではなく道案内
- 説明欄の一番上、記事の途中と最後、資料の最後、各回の終わり、動画の終わりの画面に次の一歩を置く
- 行き先は「深める先」と「一歩ずらす先」の2つまで。案内文も書き分ける
- 入口ごとに申し込みを分けて確かめ、お手本の案内をすべての出口にそろえる
まずは、あなたが今公開している無料の資料や動画を1つ選び、最後まで見た人が次にどこへ進めるかを、見る人と同じ手順でたどってみてください。行き止まりが見つかったら、そこが最初に直す出口です。


