チャレンジ企画を作ろうと思って、まずターゲットを考えてみた。「起業したい人」「売上を上げたい人」「集客に困っている人」。
どれも間違ってはいないはずなのに、募集文を書いてみると、なんだかぼんやりしている。実際に募集しても、反応がほとんどない。そんな経験がある方は多いです。
ターゲットを広くするのは、「できるだけ多くの人に届けたい」という気持ちからですよね。せっかく企画するなら、一人でも多くの人の役に立ちたい。その気持ちはとても自然です。
結論から言うと、ターゲットは広げるほど、誰にも届かなくなります。見込み客が募集文を読んだときに「それは私のことです」と思えなければ、どれだけ良い企画でも申し込みにはつながりません。
この記事では、なぜ広いターゲットは届かないのか、チャレンジ企画の軸になる「WHO設計」で整理する11の項目、そして候補の中から1つを選ぶための5つの基準をお伝えします。
広いターゲットが誰にも届かない理由
「売上を上げたい人へ」と書かれた募集文を想像してみてください。対象が広すぎて、読んだ人は自分のことだと感じにくいですよね。
売上を上げたい人の中には、すでに月商100万円を超えている人もいれば、まだ商品がない人もいます。SNS集客に困っている人もいれば、個別面談で成約できない人もいます。状態も悩みもバラバラです。
状態がバラバラな人に向けて話そうとすると、内容はどうしても一般論になります。すると、どの人にとっても「なんとなく良さそうだけど、自分向けではない」企画になってしまうのです。
属性だけでは「自分のこと」にならない
ターゲットというと、「30代女性」「個人事業主」「会社員」のような属性を思い浮かべる方も多いと思います。年齢や職業も大事な情報ですが、それだけでは足りません。
同じ「40代の個人事業主」でも、今どの段階にいて、何に悩み、何が不安で、本当はどうなりたいのかは人によって違います。WHO設計で本当に大事なのは、属性の奥にある「今の状態」と「気持ち」を具体的にすることです。
WHO設計とは何か
チャレンジ企画の軸になるのは、WHO・WHAT・HOWの3つです。
- WHO:誰に届けるのか
- WHAT:何を届けるのか
- HOW:どうやって成果に近づけるのか
この3つが曖昧なままだと、募集文も、3日間の台本も、宿題も、面談への導線もぼやけてしまいます。その中でも最初に決めるのがWHOです。誰に届けるのかが決まらないと、何を届けるのかも、どう届けるのかも決められないからです。
目指すのは「それは私のことです」
WHO設計のゴールは、見込み客が読んだときに「まさに今の自分だ」「自分が困っていることを分かってくれている」と感じる状態です。
| ターゲットの書き方 | |
|---|---|
| 広すぎる例 | 起業したい人、売上を上げたい人、AIを使いたい人 |
| 具体的な例 | AIを使って、自分の経験や知識をチャレンジ企画にまとめ、募集文・台本・個別面談の導線まで作りたい起業初期の個人事業主 |
広すぎる例も、間違いではありません。ただ、そのまま募集文に使うと弱くなります。具体的な例のほうは、当てはまる人が読んだときに「これは自分のための企画だ」と感じやすくなります。
WHO設計で整理する11の項目
WHOを具体的にするために、次の11項目に分けて整理します。
| 項目 | 整理するときのポイント | |
|---|---|---|
| 1 | 年齢 | 1歳単位でなく「40代」くらいのおおよそで |
| 2 | 職業 | 商品の形や売りやすい形が変わる |
| 3 | 現在の状況 | 今どの段階にいるのか |
| 4 | 悩み | 本人が口にしそうな言葉で |
| 5 | 奥にある不安 | 表面の悩みの下にある気持ち |
| 6 | 理想の未来 | 行動や状態で分かる形で |
| 7 | 過去に試したこと | これまでの努力を理解する |
| 8 | うまくいかなかった理由 | 才能ではなく構造の原因として |
| 9 | 今すぐ解決したいこと | 企画の入口を合わせる |
| 10 | 自分が価値提供できる理由 | 募集文の説得力になる |
| 11 | バックエンド商品につながる理由 | 集まっても成約しない事態を防ぐ |
特に意識してほしい項目を、いくつか補足します。
現在の状況と悩みは「本人の言葉」で
現在の状況は、「商品がない」「発信はしているが集客できない」「成約につながらない」など、相手が今どの段階にいるかを書きます。ここが分からないと、企画の内容が難しすぎたり、物足りなかったりします。
悩みは、できるだけ見込み客が普段使っている言葉で書き出してください。「販売導線が未構築」ではなく「何を順番にやれば売れるのか分からない」。本人が口にしそうな言葉のほうが、そのまま募集文に使えます。お客様の言葉の拾い方は、見込み客が普段使う言葉に言い換える顧客情報の整理で解説しています。
奥にある不安に触れると、信頼が生まれる
表面の悩みの下には、「また失敗したらどうしよう」「嫌われるかもしれない」「自分だけ遅れているのではないか」といった不安があります。
この不安に触れた言葉があると、読んだ人は「この人は分かってくれている」と感じます。ノウハウだけを並べた募集文との一番の違いは、ここに出ます。
理想の未来は「行動や状態」で書く
理想の未来を「成功したい」「自由になりたい」のように書くと、企画の中身と結びつきません。「AIを使って3日間の台本まで作り、募集を始められている状態」のように、何ができていて、どんな状態になっているのかが目に浮かぶ形で書いてください。
あわせて、過去に試したことも書き出しておきます。SNS投稿、教材の購入、コンサル。相手がこれまで何をしてきたのかを知っておくと、「発信を続けてきた方でも大丈夫です」と、これまでの努力を否定せずに次の行動へ案内できます。
うまくいかなかった理由は、構造で書く
うまくいかなかった理由は、「ターゲットが広すぎた」「募集文が自分目線だった」のように、才能や努力のせいではなく構造の原因として整理します。
こう書くと、見込み客は「自分がダメだったわけではないんだ」と前向きに受け取れます。「行動量が足りなかった」と言われるより、ずっと次の一歩を踏み出しやすくなります。
最後の2つが、企画と商品をつなぐ
10と11は、見落とされやすい項目です。自分が同じ悩みを経験している、つまずくところを理解している、といった「自分が価値提供できる理由」がはっきりしていると、募集文に説得力が出て、面談でも自然に提案しやすくなります。
そして11は、その悩みが自分の商品で解決できるか、お金を払ってでも解決したい悩みかを確かめる項目です。ここがズレていると、人は集まっても成約にはつながりません。
候補を3つ出して、5つの基準で1つに絞る
WHOは、最初から1つに決め打ちしないでください。候補を最低3つ出し、比べてから選びます。1つしかないと、それが良いのかどうか判断できないからです。
候補を出すときはAIが役に立ちます。ただし、いきなり「ターゲットを決めて」と頼むのではなく、自分の経験や知識、顧客情報、商品の情報、価値観といった材料を渡したうえで、候補を出してもらいます。自分の材料の書き出し方は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目にまとめています。
候補が出たら、次の5つの基準で比べます。
- 自分が価値提供できる相手か(自分の経験や商品と合っているか)
- 悩みが強いか(なんとなくではなく、今まさに困っているか)
- お金を払ってでも解決したい悩みか(有料のサービスにつながるか)
- 3日間で小さな変化を作れるか(前に進んだ実感を持ってもらえるか)
- バックエンド商品につながるか(企画の先に商品が必要になるか)
最終的に選ぶのは、AIではなくあなたです。 5つの基準で一番多く当てはまる候補を1つ選び、11項目を埋めていきます。
たとえば、こんな比べ方
たとえば、コーチングをしている人が、次の3つの候補を出したとします。
- 候補A:自分を変えたいと思っている人
- 候補B:会社員を続けながら、コーチとして独立の準備を始めたい人
- 候補C:コーチの資格を取ったものの、最初のお客様が見つからず止まっている人
候補Aは広すぎて、悩みの強さも、お金を払う理由も見えにくいです。候補Bは具体的ですが、まだ準備段階で「今まさに困っている」とは言いにくいかもしれません。候補Cは悩みがはっきりしていて、3日間で「最初の募集文を作る」といった小さな変化も作りやすく、その先のサポートにもつながります。
この場合は、候補Cを選び、11項目を具体的に埋めていくことになります。もちろん、自分の経験や商品によって答えは変わります。大事なのは、感覚で決めるのではなく、基準で比べることです。
WHO設計でよくある失敗
最後に、WHO設計でつまずきやすいところをまとめておきます。
- 属性だけ決めて満足してしまう(「40代女性」で止まっている)
- 悩みを講師の言葉で書いてしまい、募集文に使えない
- 「誰も取りこぼしたくない」と思って、候補を1つに絞れない
- 自分が助けたい人と、商品で解決できる人がズレている
- 悩みは強いが、3日間で小さな変化を作れない相手を選んでしまう
特に「絞ると人が来なくなるのでは」という不安は、多くの方が持っています。でも実際は逆で、絞るほど当てはまる人に強く届きます。当てはまらない人が来ないのは、失うことではなく、合う人と深く関われるということです。
WHOが決まったら、次は「その人に3日間で何を届けるのか」を決めるWHAT設計に進みます。詳しくは「小さな成果」と「大きな成果」を分けるWHAT設計で解説しています。企画全体の流れは、チャレンジ企画の完全ガイドで確認できます。
まとめ
- ターゲットは広げるほど、誰にも届かなくなる
- WHO設計のゴールは、見込み客に「それは私のことです」と思ってもらうこと
- 属性だけでなく、状況・悩み・不安・理想など11項目で具体的にする
- 候補は最低3つ出し、価値提供・悩みの強さ・対価・3日間の変化・商品へのつながりの5基準で1つに絞る
- 選ぶのはAIではなく自分。基準で比べて決める
次の一歩として、今考えているターゲットを一文で書き出し、それとは別の候補をあと2つ出してみてください。3つを並べて5つの基準で見比べるだけで、どこを絞ればいいかが見えてきます。


