ブログやメルマガで、役に立つ情報をしっかり届けている。読者からも「参考になりました」と言ってもらえる。それなのに、商品を案内すると反応がない。読者は増えても、ファンになってくれている感じがしない。そんな悩みを持っている方は多いです。
こういうとき、「もっと有益な情報を出さないと」と考えて、情報の量を増やしてしまいがちです。でも、足りないのは情報の量ではないことがよくあります。
結論から言うと、足りないのは「なぜ、あなたがその活動をしているのか」です。コンセプトを作る要素の一つに「なぜ幸せにするのか」があります。なぜあなたはお客様を幸せにしたいと思ったのか、なぜそのゴールにお客様を連れて行きたいのか。これが伝わっていないと、読者はあなたを心から信用しにくくなります。
この記事では、「なぜ」が必要な理由と、それを主観と感情で伝える方法、背景の伝え方、そして信念が言葉にならないときの仮想敵の考え方をお伝えします。
「なぜ」が分からない相手は、信用されにくい
たとえば、私があなたに「ビジネスの成功法則を教えます」と言ったとします。
お客様の立場で考えると、心の中にはこんな疑問が浮かぶはずです。「なぜこの人は、こんな情報を教えてくれるのだろう」「何を考えているのだろう」「何か狙いがあるのでは」。
この疑問に答えがないままだと、どれだけ良い情報を届けても、読者は少し身構えたまま読むことになります。「結局、儲けたいだけなのでは」と思われてしまうこともあります。
だからこそ、あなたがなぜその活動をしているのか、その理由を伝える必要があります。 理由が伝わると、読者は安心して、あなたの言葉を受け取れるようになります。
役に立つ情報だけでは、ファンは生まれない
人は、信念や考え方が見えない相手には、ついていきにくいものです。
分かりやすいのが、学校の教科書です。教科書は、事実が分かりやすく並べられていて、とても役に立ちます。でも、教科書の書き手の名前を覚えている人はほとんどいませんし、教科書を読んで書き手のファンになる人もいません。辞書も同じです。膨大な知識がきちんと整理された、とても役に立つものですが、辞書の作り手のファンになる人はまずいません。
教科書や辞書は、客観的であることが大切なので、書き手の思いや考えはあえて入れていません。だから、読んで役に立っても、書き手に共感することはないのです。共感は、書き手の思いや感情に対して生まれるものだからです。
発信でも同じことが起きます。「〇〇の設定手順」「〇〇に使える道具10選」のような役に立つ記事は、読者に喜ばれますし、アクセスも集まります。ただ、それだけだと、読者にとっては教科書や辞書と同じです。「参考になった」で終わり、あなたのファンになるところまではいきません。
役に立つ記事を書くのをやめる必要はありません。役に立つ情報に、あなたの考えや思いを重ねて届ける。これが、読者がファンになるきっかけになります。
信念は主観でいい。感情を込めて伝える
信念や考え方というと、立派なものを用意しなければと思うかもしれません。でも、主観でかまいません。あなたが正しいと考えていることであれば、誰かに証明されていなくても、客観的でなくても大丈夫です。ただし、あなたなりの根拠は持っておきましょう。
私の場合は、「人は自由に生きるべきだ」と考えています。客観的な根拠があるわけではありません。私がそう考えている、という私の考え方です。それでも、そこに共感してくれる人は、私の話に耳を傾けてくれます。
そして、信念を伝えるときは、感情を込めることが大切です。うれしかった、悲しかった、悔しかった、腹が立った。こうした感情を交えて伝えると、読者の中に「私もそう思う」「私も同じように感じたことがある」という気持ちが生まれます。これが共感です。
たとえば、文章の書き方について記事を書くとします。書き方の手順だけを並べて終わるのではなく、「この書き方に変えたら、お客様からこんな感想をもらえてうれしかった」「昔はこれを知らずに、こんな悔しい思いをした」と、手順に自分の感情を重ねて書く。そのほうが、読者の反応は大きく変わります。
信念を持つに至った背景を伝える
信念と同じくらい大切なのが、なぜその信念を持つようになったのかという背景です。
「自由が大事です」とだけ言っても、なかなか共感はされません。でも、そう考えるようになったきっかけが伝わると、言葉に重みが出てきます。背景は、壮大なものでなくて大丈夫です。
私の場合は、会社員時代の経験が背景にあります。当時の私は長時間の残業が当たり前で、周りの人たちも、家と会社を往復するだけのような生活を当然のように続けていました。朝起きて、働いて、ご飯を食べて、少しだけ寝る。それを何十年も繰り返していくことが、私には人間らしい生き方だと思えませんでした。
だから私は、会社のために自分の人生をすり減らしている人に向けて、「もっと自由に生きていい」と伝えています。この背景を書いているからこそ、同じように感じている人が共感してくれるのだと思います。
背景まで伝わると、読者は「この人がこの活動をしている理由が分かった」と安心できます。安心した読者は、あなたの情報を真剣に受け取ってくれるようになり、あなたが勧めるものにも、疑いを持たずに耳を傾けてくれるようになります。
そして、信念と背景は一度伝えて終わりではありません。ブログでもメールでも、繰り返し伝えていくことで、少しずつ読者の中に根づいていきます。メールで信用を育てる考え方は、ステップメールで行う6つの教育の「信用の教育」でも解説しています。
信念が言葉にならないときは「仮想敵」を考える
「自分には、特に信念なんてない」「理念と言われてもよく分からない」と感じる方もいると思います。その場合は、反対から考えてみましょう。あなたが受け入れられない考え方や在り方を考えてみるのです。これを「仮想敵」といいます。
特別な強い思いはなくても、「こんな売り方はおかしいと思う」「こんな働き方は続けたくない」と感じることは、きっとあるはずです。受け入れられないものをはっきりさせると、その裏側にある、あなたの信念の輪郭が見えてきます。
私の場合は、「残業ばかりで、会社のために生きているような働き方」を仮想敵にしています。私はその状況が嫌になって会社を辞めたので、二度と戻りたくないと思っています。ただし、会社員の方は仮想敵ではありません。私が力になりたい人であり、幸せにしたい相手です。敵にするのは「在り方」であって、人ではありません。
仮想敵を決めるときは、次のことに気をつけてください。
| 気をつけること | 理由 |
|---|---|
| 個人名や会社名を出さない | 本当の敵を作ってしまい、争いや訴えにつながることもある |
| 「こんな考え方」「こんな在り方」という形で表す | 読者が自分に当てはめて考えやすい |
| 読者本人を責めない | 今その状況にいる読者は、あなたが助けたい相手 |
コンセプトの他の要素とあわせて、どう一つにまとめるかは、5つの要素でコンセプトを決定する手順で解説しています。
「なぜ」を言葉にする手順とよくある失敗
「なぜ」を言葉にするときは、次の順番で進めてみてください。
- あなたが「こうあるべきだ」と思っていることを1行で書く(思いつかなければ、受け入れられないことを書く)
- そう思うようになったきっかけの出来事を書き出す
- その出来事のときに感じた気持ちを書き足す
- 1〜3をつなげて、読者に語りかける文章にする
- 記事やメールの中で、切り口を変えて繰り返し伝える
よくある失敗もまとめておきます。
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 役に立つ情報だけを書き続ける | 情報に、自分の考えと感情を重ねる |
| 立派な信念を作ろうとして書けない | 主観でよい。受け入れられないことから考える |
| 信念だけを書き、背景を書かない | そう思うようになったきっかけの出来事を伝える |
| 仮想敵として、特定の人や会社を批判する | 「在り方」や「考え方」を仮想敵にする |
| 一度書いたら、それきりにする | 切り口を変えて、繰り返し伝える |
「なぜ」は、売り込まずに信頼を作るための土台にもなります。読者を責めずに信頼を作る伝え方は、売り込まずに信頼を作る3つの教育も参考にしてください。
まとめ
- 「なぜ」その活動をしているのかが分からない相手は、信用されにくい
- 役に立つ情報だけでは教科書と同じ。あなたの考えと感情を重ねて届ける
- 信念は主観でよい。感情を込めて、そう思うようになった背景とあわせて伝える
- 信念が言葉にならないときは、受け入れられない「在り方」を仮想敵にする
- 信念と背景は、切り口を変えて繰り返し伝える
まずは、「あなたが受け入れられないこと」を3つ書き出してみてください。その裏側に、あなたが伝えたい「なぜ」が見えてきます。


