いつでも申し込める仕組みを作ってみた。メールのシリーズも書いたし、販売ページも整えた。それなのに、入門の講座は売れるのに、上の講座がまったく売れない。あるいは逆に、高い講座を同じメールで案内したら、反応がほとんどなかった。そんな経験はありませんか。
うまくいかない原因は、文章の上手い下手ではないことが多いです。商品の価格帯と、売る仕組みの組み合わせがずれているのです。
結論から言うと、いつでも申し込める仕組み(エバーグリーンローンチ)は、商品の価格帯によって合う形が違います。入門の価格ならメールだけで売れますし、中くらいの価格なら自動ウェビナーや動画シリーズで信頼を深める時間が必要です。高めの価格なら、申し込みと個別相談を挟んで、お互いに確かめ合う場を作ります。
この記事では、価格帯で選ぶ4つの仕組みと、買いやすさと利益を両立させる値付けの考え方、そして仕組みを段階を追って育てる順番をまとめました。なお、ここでは具体的な金額は書きません。市場や商品によって適切な金額は変わるので、「入門の価格」「中くらいの価格」「高めの価格」という相対的な言い方で説明します。
同じ仕組みで全部売ろうとすると、どこかで取りこぼす
買う側の気持ちで考えると、分かりやすいです。
ちょっとした入門の教材なら、メールを何通か読んで「良さそうだな」と思えば、その場で申し込めますよね。ところが、まとまった金額の講座になると、そうはいきません。「この人は本当に信頼できるのか」「自分にもできるのか」「最後まで続けられるのか」。確かめたいことが一気に増えます。
さらに金額が上がって、個別のサポートがつく商品になると、「自分の状況に合うのか」を直接聞きたくなります。文章や動画だけでは決めきれないのが自然です。
つまり、価格が上がるほど、買う前に必要な「信頼の量」と「確かめる手段」が増えていきます。
- 入門の価格:短い時間で「役に立ちそう」と感じてもらえれば足りる
- 中くらいの価格:人柄と中身を、ある程度の時間をかけて知ってもらう必要がある
- 高めの価格:相手の状況を聞き、合うかどうかをお互いに確かめる場が必要になる
この差を無視して、どの商品もメールだけで売ろうとすると、高い商品が売れません。逆に、入門の商品のために長い動画や個別相談を用意すると、手間ばかりかかって割に合いません。どちらも、商品が悪いのではなく、組み合わせの問題です。
価格帯で選ぶ4つの仕組み
価格帯と仕組みの組み合わせを、表にまとめます。
| 価格帯 | 合う仕組み | 信頼を作る手段 | 作る手間 |
|---|---|---|---|
| 入門の価格 | メールで売る仕組み | メールのシリーズと販売ページ | 小さい |
| 中くらいの価格 | 自動ウェビナー | 録画したセミナーと再案内のメール | 中くらい |
| 中くらいの価格 | 動画シリーズ | 数本の動画を順に見てもらう | 中くらい〜大きい |
| 高めの価格 | 申し込み+個別相談 | 申し込みフォームと面談 | 仕組みは小さいが、面談の時間がかかる |
入門の価格:メールだけで売る
入門の価格の商品なら、メールのシリーズと販売ページだけで十分に売れます。登録してもらい、数日かけて役に立つ内容と商品の案内を届け、販売ページで申し込んでもらう流れです。
動画を撮らなくていいので、作る手間が一番小さいのが利点です。文章を書くのが苦にならない人なら、最初の仕組みとして選びやすいです。詳しい流れと必要なページは、メールで売る仕組みの4つの流れで解説しています。
中くらいの価格:自動ウェビナーか動画シリーズ
中くらいの価格になると、文章だけでは信頼が足りなくなりがちです。そこで、話している本人の顔や声に触れてもらう時間を作ります。
一つは、録画したセミナーを見てもらう自動ウェビナーです。一本の録画で、悩みの整理から解決の考え方、商品の紹介、よくある質問まで、まとめて伝えられます。もう一つは、数本の動画を数日に分けて見てもらう動画シリーズです。一本ずつテーマを変えて、少しずつ理解を深めてもらいます。
どちらが良いかは、話す内容と作り手の得意で決めて構いません。一本でまとめて話すほうが楽な人は自動ウェビナー、短い動画を何本か作るほうが楽な人は動画シリーズが向いています。自動ウェビナーの作り方は、自動ウェビナーで売る仕組みの流れにまとめています。
高めの価格:申し込みと個別相談を挟む
個別のサポートがつくような高めの価格の商品は、いきなり決済してもらう形には向きません。まず簡単な販売ページで内容を伝え、興味を持った人に申し込みフォームで今の状況や悩みを書いてもらいます。そのうえで、個別相談で話を聞き、合う人にだけ提案します。
ここでのポイントは、売る側が一方的に押すのではなく、お互いに「合うかどうか」を確かめる場にすることです。申し込みフォームの段階で、対象から外れている人には正直にそう伝えたほうが、結果的に信頼が残ります。
個別相談の進め方は、売り込まずに選ばれるカウンセリングセールスの10ステップで詳しく解説しています。
値付けの考え方:買いやすさと利益を両立させる
仕組みを選んだら、次は値付けです。ここで多いのが、自信のなさから価格を安くしすぎてしまうことです。
安くしすぎると、仕組みが回らなくなる
価格を下げれば、確かに一度は買ってもらいやすくなります。ただ、入門の商品を極端に安くすると、たくさん売れても利益がほとんど残りません。集客にかける時間や費用も回収できず、「売れているのに楽にならない」状態になります。
値付けで大事なのは、買う人にとっての買いやすさと、売る側の利益の両方が成り立つ点を探すことです。どちらか一方だけを見ると、仕組みは長続きしません。
価格は先に一覧にしておく
いつでも申し込める仕組みでは、一つの商品に「通常の価格」と「登録した人向けの期間中の価格」のように、複数の価格を持たせることがよくあります。さらに、入門の商品、中くらいの商品、高めの商品と、商品も複数になります。
これをその場その場で決めると、どこかで矛盾が出ます。ある案内では期間中の価格だったものが、別の入口ではもっと安く売られていた、ということが起きると、お客様の信頼を一気に失います。
だから、商品ごとの価格を最初に一覧にしておきましょう。通常の価格、期間中の価格、分割払いの場合の価格を一つの表にまとめておけば、どの入口から入った人にも、同じ考え方で案内できます。期間中の価格を出すなら、期間が過ぎたら本当に通常の価格に戻すこと。この約束を守るから、価格の案内が信じてもらえます。期限の出し方は、「登録した人だけの案内」を誠実に出す方法で詳しく書いています。
分割払いは「段差」を小さくする道具
中くらい以上の価格になると、分割払いの選択肢があるだけで、検討してもらえる人がぐっと増えます。一度に払う金額が小さくなるので、「欲しいけれど、一度には払えない」という人の手が止まりにくくなるからです。
分割払いを用意するときの考え方は、次のとおりです。
- 分割払いの総額は、一括払いより少し高めにしてよい(途中で支払いが止まるリスクや、手続きの手間があるため)
- その理由を、販売ページで正直に書いておく
- 一括払いを選んだ人が損をしたと感じないよう、一括払いの良さもはっきり示す
- 支払い回数や総額は、申し込む前に分かるようにしておく
分割払いは、買う人をあおるための仕掛けではありません。払い方の選択肢を増やして、本当に必要な人が申し込める状態にするための道具です。
上位の商品の案内は、買いやすくする
入門の商品を買ってくれた人に、次の段階の商品を案内することがあります。このとき、入門の価格からいきなり高めの価格を一括で提示すると、段差が大きすぎて、ほとんどの人が立ち止まります。
上位の商品を案内するなら、分割払いで一回あたりの金額を小さくしたり、入門の商品を買った人だけが選べる組み合わせを用意したりして、段差を小さくしておきましょう。上位の案内の考え方は、クロスセル・アップセル・ダウンセル戦略も参考になります。
ただし、ここでも断りやすさは残してください。「今回は見送る」を選べる案内のほうが、結果的に次の機会につながります。
段階を追って仕組みを育てる順番
4つの仕組みを一度に作る必要はありません。むしろ、一度に作ろうとすると、どれも中途半端なまま止まってしまいます。おすすめの順番は、次のとおりです。
- まず1ページで売る仕組みを作る:入門の商品を、1枚のページで売れる状態にする。いつでも申し込める仕組みの入口として、一番小さく始められる形です(1ページで売る仕組み)
- 次にメールで売る仕組みを足す:入門〜やや上の価格の商品を、メールのシリーズで案内できるようにする
- 売れ始めたら、自動ウェビナーか動画シリーズを作る:中くらいの価格の商品を、録画で売れる状態にする
- 中くらいの価格が安定して売れたら、申し込み+個別相談を加える:高めの価格の商品を、相談ベースで案内できるようにする
順番の考え方はシンプルです。小さい仕組みで売れることを確かめてから、次の大きい仕組みに進む。売れるかどうか分からない段階で、時間のかかる動画や個別相談の仕組みを作り込むと、作り終わる前に力尽きてしまいます。
たとえば、話し方の講座を作った人がいたとします。最初は入門の教材を1ページで売り、メールで「話す前の準備」を数日届けて講座を案内する。講座が売れ始めたら、講座の中身を紹介するセミナーを録画して自動ウェビナーにする。講座の受講生の中から「個別に見てほしい」という声が出てきたら、そこで初めて個別指導の商品と申し込みフォームを作る。こうして、お客様の声に合わせて段を一つずつ足していくイメージです。
商品の段の組み方そのものは、売上を自動化する「価値の階段」で詳しく解説しています。
よくある失敗と、確かめたいこと
最後に、価格帯と仕組みの組み合わせでよくある失敗をまとめておきます。
- 高めの価格の商品を、メールだけで売ろうとして反応がない
- 入門の商品のために、長い動画を作り込んで力尽きる
- 入口ごとに価格がばらばらで、問い合わせやクレームが増える
- 期間中の価格を出したのに、期間が過ぎても同じ価格で売り続けている
- 分割払いの総額や理由を書いておらず、あとで不信感を持たれる
作り始める前に、次の問いに答えてみてください。
- その商品は、入門・中くらい・高めのどの価格帯か
- その価格帯の人が買う前に確かめたいことは何か。それを確かめられる手段が仕組みの中にあるか
- 商品ごとの価格を一覧にしてあるか。入口が違っても同じ考え方で案内できるか
- 期間中の価格を出すなら、期間後に本当に戻す準備ができているか
- 「今回は見送る」を選べる案内になっているか
まとめ
- 価格が上がるほど、買う前に必要な信頼の量と、確かめる手段が増える
- 入門の価格はメールで、中くらいは自動ウェビナーか動画シリーズで、高めは申し込みと個別相談を挟んで売る
- 値付けは、買いやすさと利益の両方が成り立つ点を探す。価格は先に一覧にして、入口ごとの矛盾をなくす
- 分割払いは段差を小さくする道具。総額と理由は正直に示す
- 仕組みは1ページ→メール→録画→個別相談の順に、売れることを確かめながら育てる
次の一歩として、今ある商品を「入門・中くらい・高め」の3つに分けて、それぞれの通常の価格と分割払いの有無を一枚の表に書き出してみてください。表ができると、どの商品にどの仕組みが必要なのかが、自然と見えてきます。


