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「考えます」で終わる面談には理由があります|最後の迷いをほどく6つの返し方と、決める場面の作り方

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迷いもひととおり聞いた。気持ちも確かめた。それでも最後に「少し考えます」と言われて、そのまま連絡が途絶えてしまう。個別面談をしていると、こういう終わり方に何度も出会います。

「考えます」は、それ自体が悪い答えではありません。本当に持ち帰って考えたほうがいい人もいます。問題なのは、迷いの中身が分からないまま、こちらも何もできずに面談が終わってしまうことです。

結論から言うと、迷いが出そろい、一緒に考える許可をもらえたら、あとは迷いの種類に合った返し方を選ぶだけです。私が使っている返し方は6つあり、1回の面談で使うのはそのうち1つから3つほどです。そして迷いがほどけたら、新しい説得はせずに、相手が出した結論を手続きという形にします。

ただし、ここでお伝えする返し方は、使い方を間違えると相手を追い込む道具にもなります。だからこの記事では、それぞれに「やってはいけない使い方」を必ず添えます。返し方そのものより、こちらの線引きのほうが大切だと思って読んでください。

6つの返し方と、使う場面

まず全体を一覧にします。どの迷いに使うかは目安です。

返し方 主に使う迷い やってはいけない使い方
金額を身近な単位に分ける お金 総額と分割手数料を隠す
差額だけを一緒に考える お金 無理な借入を勧める。生活に支障が出る人に売る
相談相手を確かめる 家族への相談 相談を逃げ口上と決めつける。家族を悪者にする
本当に返せるお試しを用意する 自分にできるか/ほかとの比較 返しにくさを狙う。返金の条件を後から変える
いったん引く 時間/決めきれない 引くふりをして引き戻す。事実でない限定で急かす
沈黙で考える時間を渡す すべて 黙って見つめ、威圧する

どの返し方も、相手と向かい合って言い負かすのではなく、同じ側に座って迷いを一緒に眺めることが前提です。迷いの種類と、全部出してもらう聞き方は、申し込みを止める5つの迷いと、一緒に解く方法で解説しています。

6つすべてに共通する約束があります。お客様が「やめておきます」と決めたら、それを尊重することです。返し方は、迷っている人が自分で決めるのを手伝うためのもので、決めた人の気持ちを変えさせるためのものではありません。

お金の迷いには、「分けて見る」と「差だけを考える」

金額を身近な単位に分ける

講座やコンサルの総額は、そのままでは大きすぎて、自分の生活と結びつけて考えにくいものです。そこで、総額を月や日の単位に分けて、身近な大きさで考えてもらいます。

分けて見せると、相手は自分の毎日の支出と比べて考え始めます。大切なのは、最後の問いを「お得ですよね」ではなく「どう感じますか」にすることです。判断するのは相手です。

やってはいけない使い方は、次のとおりです。

  • 総額を言わずに、月額や日額だけを見せる。分けた金額は、必ず総額とセットで伝える
  • 分割の手数料を伏せる。手数料が別にかかること、手数料を含めた支払いの総額と期間を、口頭と書面の両方で伝える
  • 「1日コーヒー1杯分ですよ」と、金額を軽く見せる言い方で押す。分けるのは考えやすくするためで、安く思わせるためではない

差額だけを一緒に考える

「やりたいけれど、その金額は難しい」という方には、まず現実的な予算を率直に聞きます。そのうえで、提案した金額との「差」だけを一緒に考えます。総額全体ではなく差の部分に目を向けると、問題が小さく見えてきます。

ここでのポイントは、差を埋める方法を売り手が決めないことです。たとえば「今の支出を見直す」「範囲を絞ったプランから始める」「始める時期をずらして準備する」と選び方を並べ、相手に選んでもらいます。範囲を絞ったプランや時期をずらす道も、正直に並べてください。相手は「自分にとって無理のない形を一緒に探してくれている」と感じます。

  • 差を埋めるために、借入やカードでの借金を勧めない。相手から言い出した場合も、無理のない範囲かを一緒に確かめる
  • 生活費や家族の生活に支障が出る人には売らない。差が埋まらないなら、範囲を絞ったプランか、今回は見送ることを勧める
  • 支払いのために無理をした話を、成功例や美談として語らない

家族への相談と「自分にできるか」の迷いには、誠実な形を用意する

相談相手を確かめる

「家族に相談してから決めたい」には、2つの場合があります。本当に家族の同意が必要な場合と、その場で決めることから少し距離を置きたい場合です。どちらなのかを、責めずに確かめます。

相手:家族にも一度相談してから決めたいです。
あなた:大事なことですから、そうですよね。ちなみに、どなたにご相談されますか?
相手:妻です。家計は一緒なので。
あなた:奥様にお話ししたら、何と言われそうですか?
相手:たぶん賛成してくれると思います。ただ、金額には驚くかもしれません。
あなた:もし反対されたら、どうされますか?
相手:反対されたら、やめると思います。家計のことなので。

ここまで聞けば、この方にとって家族の同意は本当に必要なものだと分かります。その気持ちを尊重し、相談しやすい形を一緒に整えます。内容・期間・総額・手数料・返金の条件をまとめた資料を渡す。希望があれば家族も一緒に話を聞ける場を作る。返事をもらう日時を決めておく。

反対に「誰に相談するかは決めていない」という答えなら、ほかに迷いが残っているのかもしれません。「もしかして、ほかにも気になっていることがありますか」と、迷いを聞くところに戻ります。家族を悪者にしたり、同意が本当に必要な人にその場での決断を迫ったりはしないでください。

本当に返せる「お試し」を用意する

「自分にできるか不安」「ほかと比べたい」という迷いには、実際に始めてみて、合わなければやめられる仕組みが役に立ちます。たとえば「始めてから一定の期間内なら、理由を問わず全額を返す」という約束です。保証の形は、あなたの商品と事業に合わせて、確実に守れる範囲で自分で設計してください。

「本当に返せる」と言える設計には、条件があります。

  1. 返金の期限・条件・手続きの方法・返金の時期を、申し込みの前に書面で示す
  2. 理由を問わない、または理由の条件をはっきり書く。あとから条件を足さない
  3. 手続きを簡単にする。電話でしか受け付けない、引き止めの面談を必須にする、といった形にしない
  4. 返金を申し出た人を責めない。返金の数も、商品を良くするための情報として受け止める

いちばん避けたいのは、「一度始めたら、人はなかなかやめると言い出せない」という心理を当てにしてお試しを勧めることです。それは、言葉の上ではお試しでも、実際には相手を縛る仕組みです。約束したら、必ず守ってください。

決めきれないときは、いったん引き、沈黙を待つ

いったん引く

迷いを一つずつ解いても、「やっぱり」「でもなあ」と行ったり来たりして、話がまとまらないことがあります。そんなときは、売り手のほうから話を止めます。

あなた:いったん、この話は白紙にしましょうか。迷わせるためにお話ししているわけではないので。今日決めなくても、まったく構いません。

引くと、相手は「売り込まれる」という緊張から解放されます。すると、本当にやりたい人は、自分の言葉で「やりたい理由」を話し始めます。逆に、そこで「では、今日はやめておきます」と言う方は、今は必要としていないということです。どちらも大切な答えです。

引くと言ったら、本当に終わってよいつもりで言ってください。引くふりをして相手が引き止めるのを待つこと、引いたあとに「今日だけの価格です」「残り1枠です」と急かすことはしません。限定や期限を伝えるのは、それが事実のときだけです。

沈黙は、相手が考えるための時間

迷いを一緒に解いていくと、相手が黙り込む瞬間があります。多くの売り手は沈黙に耐えられず、補足の説明を始めてしまいます。けれども、この沈黙は、相手が家計のこと、家族のこと、これからの自分のことを考え合わせて、自分で答えを出そうとしている時間です。

  • 沈黙が来たら、こちらからは話さない。必要なら「ゆっくり考えてください。急ぎませんので」と一言だけ添える
  • じっと見つめ続けない。手元の資料に目を落とし、相手が見られていると感じないようにする
  • 沈黙のあとの答えが「やめておきます」でも、表情や声の調子を変えない
  • 考え疲れている様子なら、長く引き止めず、日を改める提案をする

無言で見つめて相手が根負けするのを待つのは、考える時間ではなく威圧です。

「決める」は新しい説得ではなく、手続きの時間

迷いがほどけたら、最後のステージ「決める」です。ここでやることは、新しい説得ではありません。相手がすでに自分の口で出した結論を、手続きという形にすることです。手順は4つです。

  1. 支払い方法を選ぶ:一括か分割かを二択で聞く。分割なら、手数料と総額もこのときに伝える
  2. その場で手続き、難しいときは日時を決める:今日このまま手続きできるかを聞き、難しい事情があれば手続きの日時を決める
  3. 一緒に手続き:申し込みや決済の画面で迷わないよう、終わるまでつないだまま手伝う
  4. スタートを祝う:始めると決めたことを一緒に喜び、最初の一歩を案内する

金額が大きくても、それまでと同じ調子で聞いてください。お金の話で急に早口になると、相手は「何か言いにくいことがあるのかな」と感じます。総額と手数料は、聞かれる前にこちらから伝えます。

給料日の前、カードの利用枠、家族と共有している口座など、今日は払えない事情は珍しくありません。そのときは理由を受け止め、手続きの日時を決めます。一緒に手続きをするのは、見張るためではなく、つまずきを減らすためです。相手が「一人で落ち着いてやりたい」と言うなら、それを尊重してください。

決まったあとの一言と、翌日のメッセージ

申し込みが終わった瞬間を「売り終わり」にしないでください。最後に、本人が最初に語った目標と、これからの一歩をつなぎます。契約内容の控え(総額・手数料・支払い回数・キャンセルや返金の条件)、教材の入り方、初回の打ち合わせの日時、困ったときの問い合わせ先を、まとめて送ります。

高い買い物をした直後は、誰でも「本当によかったのかな」と不安になります。翌日に「始めると決めた判断は、お話しくださった目標に向けた大事な一歩だと思います」と短いメッセージを送るだけで、その不安はかなり小さくなります。手続きのあとの流れを自動にする方法は、申し込みから次の案内までを自動にする5つの設計で解説しています。

「今は決められない」と言われたら、理由を聞いて道を分ける

「その場で決めてもらうのは、売り手の都合ではないですか」と聞かれることがあります。私の答えは、はっきりしています。お客様の側に今日決める理由がないなら、急がせてはいけません。いちばん強い理由は、本人が深める段階で語った「なぜ今なのか」という言葉です。売り手が新しい理由を足す必要はありません。

「今は決められない」と言われたら、押し返さずに理由を聞き、理由に合わせて道を分けます。

決められない理由 確かめること 次の一手
価値を感じない部分がある どの部分に価値を感じないか その部分を外したプランを示す
今は払えない事情がある いつなら無理なく払えるか 手続きの日時を決める
始めてみないと分からない 何が分かれば安心できるか 約束できる範囲の保証を説明する
本当に必要がない・状況が変わった (確かめすぎない) 引き止めず、気持ちよく終える

決めないと決めた人は、「今日お話しくださった課題は、とても大事なものだと思います。また相談したくなったら、いつでもご連絡ください」と、気持ちよく送り出します。同じ質問を何度も繰り返したり、予定の時間を大きく超えて引き止めたりはしません。引き止められて決めた人は、あとで取り消すか、始めても続かないことが多いからです。

迷っている人への向き合い方は、迷っている人への向き合い方と決済案内もあわせて読んでみてください。

売り込まずに売るための線引き

最後に、私が自分の面談で守っている線引きをまとめます。

  • 限定は事実のときだけ使う。期限・人数・特典の限定は、言ったとおりに運用する
  • 総額と手数料を必ず伝える。約束したキャンセルや返金は必ず守る
  • 無理な借入を勧めない。生活に支障が出そうな人には売らない
  • 「考えたい」「帰りたい」と言われたら、その場で終える
  • 成果を約束しない。「必ず結果が出る」とは言わない

なお、契約の形によって、特定商取引法・景品表示法・消費者契約法などの扱いが変わることがあります。キャンセルや返金の文面を作るときは、消費者庁が公開している情報を確かめ、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。迷ったときの基準は1つです。家族や親しい友人に同じものを勧めるとき、自分は同じ言い方をするか。答えが「いいえ」なら、その言い方はやめましょう。

まとめ

  • 迷いをほどく返し方は6つ。1回の面談で使うのは1つから3つほど。どれにも「やってはいけない使い方」がある
  • お金の迷いは、分けて見る・差だけを考える。総額と手数料は必ず伝え、無理な借入は勧めない
  • 家族の同意が本当に必要な人は尊重し、資料を渡す。お試しは本当に返せる設計にする
  • 引くのは本当に終われるときだけ。沈黙は相手が考える時間で、威圧に使わない
  • 「決める」は手続きの時間。「今は決められない」には理由を聞いて道を分け、見送る人は気持ちよく送り出す

次の一歩として、あなたの商品の返金やキャンセルの条件を、申し込み前に渡せる1枚の書面にまとめてみてください。期限・条件・手続き・返金の時期。これが書けると、面談の終盤で自信を持って「安心して始めてください」と言えるようになります。