なぜあなたのChatGPTは「微妙な回答」しかしないのか?AIを“優秀な新人”として育てる「プロンプト」のコツ
前回は、「AIライターを導入すれば、仕事のスピードが2倍になる」というお話をしました。
しかし、こう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
「ChatGPT? 2023年頃に試したけど、正直、期待したほどじゃなかった」
「当たり障りのない文章しか出てこなくて、結局自分で書き直す方が早かった」
「だから、もう最近は全然使っていない…」
もしあなたがそう感じているなら、非常にもったいないことをしています。
なぜなら、AIの回答が「微妙」だった原因は、AIの性能が低いからではなく、あなたの「指示の出し方(プロンプト)」に問題があった可能性が非常に高いからです。
今回は、なぜAIが「微妙な回答」しかしないのか、そして、AIをあなたのビジネスで本当に役立つ「最強のアシスタント」として使いこなすための、最も重要なコツについてお話しします。
「ChatGPT、試したけど微妙だった…」そう感じていませんか?
「AIが仕事を奪う!」とあれだけ騒がれていたのに、実際に使ってみたら「あれ?」っという経験。私にもありました。
多くの人がAIに挫折する「本当の理由」
2023年の初頭、ChatGPTが登場した時、私も興奮して色々と試しました。
「ブログ記事を書いて」
「セールスレターのアイデアを10個出して」
しかし、返ってくるのは、どこかで読んだような一般論ばかり。とてもそのまま仕事で使えるレベルではありませんでした。
多くの人が、この段階で「なんだ、AIってこんなものか」「まだまだ人間には及ばないな」と判断し、AIから離れていってしまいました。
ですが、それは大きな誤解です。
AIの性能は、あなたが思っている5倍進化している
まず知っておいてほしいのは、2023年当時のAIと、現在のAI(ChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeなど)は、まったくの別物だということです。
各社が凄まじい競争を繰り広げた結果、AIの性能は劇的に、それこそあなたが想像している5倍以上は進化しています。
「じゃあ、今なら簡単な指示でも、すごい回答が返ってくるの?」
いいえ、残念ながらそうではありません。
性能が上がった今でも、「指示の出し方」が悪いと、AIは「微妙な回答」しか返してくれないのです。
なぜAIは「薄っぺらい回答」を返してくるのか?
では、なぜAIは私たちが望むような「鋭い」回答ではなく、「薄っぺらい」「当たり障りのない」回答を返してくるのでしょうか。
あなたの指示、AIには「丸投げ」になっていませんか?
私たちがやりがちな、最もマズい指示。それは「丸投げ」です。
- 「うちの商品のセールスコピーを書いて」
- 「マーケティング戦略を考えて」
- 「面白いブログ記事を書いて」
心当たりはありませんか?
これでは、AIもどう答えていいか分かりません。
(実例)「セールスコピーを書いて」という指示がダメな理由
例えば、あなたが私に「セールスコピーを書いてください」とだけ依頼してきたとしましょう。
私は「何の?」と聞き返すしかありません。
- あなたの商品は、どんな商品なのですか?
- 価格はいくらで、どんな特徴がありますか?
- ターゲットは誰で、その人はどんな悩みを抱えていますか?
- 競合と比べて、何が優れているのですか?
AIもまったく同じです。
AIは、あなたのビジネスの背景や商品知識、顧客情報を一切持っていないのです。
情報が何もない状態で「セールスコピーを書いて」と丸投げされれば、AIはどうするか?
AIは、過去に学習した莫大なデータ(インターネット上のあらゆる文章)の中から、「それっぽい」言葉を予測して組み合わせるしかありません。
AIの回答は「運任せのルーレット」状態
AIが学習したデータには、大企業の抽象的なイメージ広告もあれば、近所のスーパーのチラシもあります。
あなたが「どの業界の、誰に向けた、どんなトーンの文章が欲しいのか」を細かく指定しなければ、AIは「運任せのルーレット」を回すのと同じ状態になります。
その結果、
「私たちと一緒に、輝く明日へ歩みだしましょう」
といった、誰にも刺さらない「薄っぺらい」コピーが出来上がってしまうわけです。
AIを使いこなす最大のコツ:AIを「人間」として扱う
では、どうすればAIに「運任せのルーレット」をやめさせ、私たちが望む質の高い文章を書かせることができるのでしょうか。
その最大のコツは、非常にシンプルです。
「AIを、魔法の杖ではなく、人間として扱う」
これに尽きます。
もし世界最高のコピーライターに「打ち合わせ無し」で依頼したら?
例えば、あなたが幸運にも、世界最高のコピーライター(例えばダン・ケネディのような伝説的な人物)に仕事を依頼できたとしましょう。
その彼に対して、打ち合わせも無しに、電話一本で「ちょっと、うちの商品のセールスレター書いといて」と伝えたらどうなるでしょうか?
おそらく、彼は激怒するか、まともな仕事をしてくれないはずです。
なぜなら、最高のコピーライターほど、「適切な情報(インプット)」がなければ、最高の仕事(アウトプット)はできないと知っているからです。
彼は、あなたにこう質問するはずです。
「あなたのビジネスの理念は?」
「商品のベネフィットは?」
「ターゲットの痛み(ペイン)は?」
「過去にうまくいったレターと、失敗したレターは?」
AIも、これと全く同じです。
AIは、私たちが入力する「プロンプト(指示文)」という名の「打ち合わせ」を通じてしか、情報を得られないのです。
AIは「あなたの会社について何も知らない、超優秀な新入社員」
私がよく使う例えですが、AIは「めちゃくちゃ優秀(例えば東大を首席で卒業したレベル)だけど、社会人経験ゼロ、もちろんあなたの業界知識もゼロの、新入社員」だと考えてください。
彼は、指示さえ的確であれば、人間が数日かかる作業を数分でこなすポテンシャルを持っています。
しかし、「社会人経験ゼロ」なので、
「ちょっと、いい感じにやっといて」
という指示では、絶対に動けません。
彼に最高のパフォーマンスを発揮してもらうためには、私たち「上司」が、適切な「情報」と「指示」を与える必要があるのです。
AIの回答精度を劇的に変える「2ステップ指示術」
では、その「優秀な新入社員(=AI)」に、どうやって指示を出せばいいのでしょうか。
ポイントは、AIが苦手なことをやらせないことです。
AIは「0→1」が苦手。超能力を期待してはいけない
前回も触れましたが、AIは「何もない0の状態から、独創的な1のアイデアを生み出す」ことが苦手です。
AIは超能力者ではないので、私たちの頭の中を読み取ることはできません。
AIに「0→1」を期待する(=丸投げする)のは、やめましょう。
AIが最も得意なのは、「私たちが提供した1の情報を、10や100に膨らませること」です。
そのために、以下の2ステップで指示を出します。
ステップ1:AIに「適切な情報(文脈)」を先に与える
まず、AIという新入社員に「研修資料」を渡します。
「丸投げ」指示がいけないのは、AIが「運任せのルーレット」を回すしかないからでした。
ならば、ルーレットを回させなければいいのです。
「私たちが提供した、この情報だけを参考にして回答しろ」と、AIが参照すべき「文脈(コンテキスト)」を先に与えます。
【AIに与える情報の例】
- 会社情報: 経営理念、ミッション、自分のプロフィールや背景
- 商品情報: 商品名、価格、特徴、ターゲット顧客、顧客が抱える悩み
- 過去のデータ: 過去に書いたブログ記事、うまくいったメルマガの文章、お客様の声
- トーン&マナー: 「読者に寄り添うように」「専門家として断定的に」など
これらの情報を、指示を出す前にAIに読み込ませるのです。
ステップ2:AIに「ガチガチの指示(命令)」を与える
十分な情報を与えたら、次に具体的な「指示」を出します。
ここでも「フワッとした指示」は禁物です。
「優秀な新入社員」が迷わず作業できるように、「ガチガチに指示を固める」のがコツです。
ダメな指示(丸投げ):
「この情報をもとに、ブログ記事を書いて」
良い指示(ガチガチ指示):
「(ステップ1で与えた情報)を元に、以下の条件でブログ記事を執筆してください」
- 役割(ロール): あなたはSEO経験10年のベテランライターです
- ターゲット読者: オンラインで商品を売りたいが、AIの使い方が分からない個人事業主
- 記事の目的: AIは指示次第で最強のアシスタントになることを理解してもらう
- 構成: (記事の目次や構成案をこちらで指定する)
- トーン: 自分の語り口(スワイプファイル)を真似て、共感的に
- 禁止事項: 「みなさん」は使わず「あなた」と呼びかける
ここまで細かく指示をすれば、AI(=優秀な新入社員)は、「はい、承知いたしました!」と、私たちが望む方向性に極めて近い、質の高い回答を瞬時に出してくれるようになります。
なぜ今、この方法が「最強」なのか?
「なるほど。でも、そんなに大量の情報をAIに与えるのは面倒じゃない?」
そう思われるかもしれません。
実は、2023年当時は、その通りでした。昔のAIは長い文章を一度に処理するのが苦手で、情報を小分けにして伝える必要があり、非常に手間だったのです。
革命的に進化した「長文プロンプト処理能力」
しかし、2024年以降のAIは、この点が革命的に進化しました。
現在の主要なAI(ChatGPT, Gemini, Claude)は、数万文字、場合によっては本1冊分に相当するような「長文プロンプト」を一度に読み込んで処理できるようになっています。
これは何を意味するか?
私たちがステップ1で用意した「会社の理念」「過去のブログ記事」「お客様の声」といった大量の研修資料を、そのままコピペしてAIに「はい、これ読んで覚えておいて」と渡せるようになったのです。
この進化のおかげで、「AIに十分な情報を与えてから、ガチガチに指示を出す」という戦略が、非常に簡単かつ強力なものになりました。
AIの回答がいまいちなら、AIではなく「自分」を疑え
以前は、AIの回答が微妙なら「AIの性能がまだまだだな」とAIのせいにできました。
しかし、これだけAIが進化した今、もしAIの回答がいまいちだと感じたら、それはAIの性能が低いからではありません。
「AIに与えた、自分の情報(プロンプト)に問題がある」
こう考えるべき時代になったのです。
まとめ
今回は、AIを使いこなすための最も重要なコツについてお話ししました。
多くの人がAIに挫折するのは、AIを「魔法の杖」か何かと勘違いして、「丸投げ」指示を出してしまうからです。これではAIは「運任せのルーレット」しかできず、薄っぺらい回答しか返ってきません。
AIを使いこなすコツは、AIを「超優秀だけど、知識ゼロの新入社員」として扱うことです。
- ステップ1: 長文プロンプトで、あなたのビジネスに関する「適切な情報(文脈)」を研修資料として与える。
- ステップ2: その情報を元に、迷わず作業できるよう「ガチガチの指示(命令)」を与える。
この2ステップを踏むだけで、AIはあなたの指示を瞬時に理解し、あなたのビジネスを加速させる「最強のアシスタント」へと変貌します。
次のステップ:AIを「あなたの右腕」にするために
「AIに情報を与えて、指示を出す方法は分かった」
「でも、具体的にどんなプロンプト(指示文)を作ればいいのか、実例やテンプレートが見たい」
もしあなたがそう思われたなら、私のオンライン講座では、さらに一歩進んで、私が実際にオンライン講座のコンテンツ作成、セールスレターの執筆、広告文の作成などに使っている、具体的なプロンプトの作り方を実例を交えて詳細に解説しています。
まずは、そのノウハウの一部をまとめた無料の電子書籍やウェブセミナーをご覧になってみてください。
AIに丸投げするのではなく、AIを「こき使う」スキルを身につけ、あなたの仕事の時間を半分に、成果を2倍にしていきましょう。
あなたと一緒に学べることを楽しみにしています。



