新しい集客の方法、便利そうな道具、うまくいっている人のノウハウ。起業の勉強を始めると、気になる情報が毎日のように目に入ってきます。「あれもやらなきゃ」「これも取り入れなきゃ」と焦る気持ち、私もよく分かります。
ただ、気づくと、手を出したものがどれも途中のまま、ということはないでしょうか。パソコンの画面にはタブがいくつも開いていて、買った教材は最初の数本しか見ていない。一日中忙しく動いていたのに、何かが終わった感じがしない。
結論から言うと、成果が出ない原因は、やる気や能力ではなく、同時に抱えすぎていることにあるかもしれません。複数のことを同時に進めるマルチタスクは、一見効率がよさそうに見えて、実は成果を遠ざけます。大事なのは、一つのことに意識を集める「一点集中」です。
この記事では、マルチタスクが成果を遠ざける理由と、あなたの集中力を知らないうちに奪っている「未完了」の正体、そしてそれを片づけるための3つのステップをお伝えします。
マルチタスクが成果を遠ざける3つの理由
「複数のことを同時にこなせる人は、仕事ができる人」というイメージを持っている方もいると思います。でも、実際に試してみると、次のようなことが起きていないでしょうか。
1. 切り替えるたびに、時間が消えていく
メールを書きながらSNSを見て、途中で別の資料を開く。作業を切り替えるたびに、「さっきどこまでやったっけ」と思い出す時間がかかります。一つひとつは短くても、一日に何十回も切り替えれば、かなりの時間になります。
2. 一つひとつの質が下がる
注意が分かれている状態では、深く考えることができません。ミスが増えたり、書いた文章が浅くなったりします。結局、後から直す手間が増えます。
3. 疲れるのに、終わった感覚がない
いくつものことを行き来すると、頭は一日中動き続けています。それなのに、最後まで終わったものが一つもないので、達成感がありません。疲れだけが残り、次の日のやる気も下がります。
成果は、終わらせたものの数で決まります。 手をつけたものの数ではありません。これが、一点集中が大切な理由です。
一点集中とは「一つの目標に絞り、ほかを遠ざけること」
一点集中とは、今取り組む目標を一つに決めて、そこから気をそらすものを意識的に遠ざけることです。
一つに絞ると、次のような変化があります。
- 同じ時間で、より多くの作業を終わらせられる
- 一つのことを深く考えられるので、出来上がるものの質が上がる
- 抱えているものが減るので、気持ちに余裕ができる
何に絞るかを決めるときは、うまくいっている人を一人決めて、その人のやり方に集中するのも一つの方法です。この考え方は、ベンチマークを決定し、一点集中する技術で解説しています。
集中を奪うのは、目の前の作業ではなく「未完了」
「よし、明日から一つに集中しよう」と決める前に、身の回りを見渡してみてください。
- ダウンロードしたまま開いていない教材のファイル
- 読まなきゃと思いながら積んであるビジネス書
- アイデアだけ書いて放っておいたメモ
- 返事をしていない連絡
これらはすべて、途中で止まっている「未完了」です。意識していなくても、未完了は頭のどこかに残り続けます。「やらなきゃいけないのに、やっていない」という小さな引っかかりが、目の前の作業への集中を少しずつ削っていきます。
「いつか使うかもしれない」と教材やデータをため込んでいる状態も同じです。パソコンにデータをため込むと動きが重くなるように、考えることも重くなってしまいます。
一点集中のために大切なのは、この未完了をあいまいなまま残さないことです。「先延ばしにした状態」を一つずつ片づけて、頭の中を空けていきます。
未完了を片づける3つのステップ
未完了は、気にしないようにするだけでは消えません。一度、意識して片づける時間を取ります。
ステップ1:未完了をすべて書き出す
まずは、あなたが抱えている未完了を、紙やメモにすべて書き出します。仕事のものだけでなく、身の回りのものも含めて、思いつく限り出してください。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| データ | 開いていない教材、散らかったファイル、読んでいないメール |
| 本・教材 | 途中の本、手をつけていない講座、セミナーの資料 |
| 作業 | やりかけの仕事、連絡するべき相手、行こうと思っている場所 |
| 人間関係 | 気まずいままの相手、伝えそびれていること |
書き出すだけでも、頭の中が少し軽くなるのを感じるはずです。
ステップ2:「捨てる」「やる」「忘れる」の3つから決める
書き出した未完了の一つひとつに、次の3つのうちどれにするかを決めます。
- 捨てる:もう必要ないものは、削除したり、手放したりする
- やる:必要なものは、「いつ」「何を」やるかを具体的に決める(例:「来週の月曜日までに、この教材の第1章を見る」)
- 忘れる:今の自分にできることがないものは、考えるのをやめると決める
ポイントは、「いつかやる」というあいまいな状態を残さないことです。「やる」に入れたものには、必ず日付をつけてください。日付がないものは、また未完了に戻ってしまいます。
ステップ3:決めたことをすぐに実行する
決めたら、できるだけ早く実行します。特に「捨てる」と決めたものは、その日のうちに処理してしまいましょう。
手放すのが不安なときは、「本当に必要になったら、そのときにまた手に入れればいい」と考えてみてください。実際、もう一度必要になるものは、思っているより少ないはずです。
新しい未完了を増やさない決めごと
一度片づけても、新しい情報に次々と手を出していると、未完了はすぐに元に戻ります。片づけたあとは、次のような決めごとを持っておくと続けやすくなります。
- 新しい教材や講座は、今取り組んでいるものが終わってから始める
- 気になる情報は、その場で手をつけず、一か所のメモにためておく
- 週に一度、メモを見直して、捨てるかやるかを決める
成果を出すために必要なのは、やることを増やすより、やらないことを先に決めることです。やらないことが決まっていれば、新しい情報が目に入っても、手を出すかどうかで迷う時間が減ります。この考え方は、必要ないものばかりに手を出さないや、エッセンシャル思考でもお伝えしています。
一点集中でよくある失敗
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 書き出さずに、頭の中だけで整理しようとする | 紙やメモに全部出してから決める |
| 「やる」に日付をつけない | 必ず「いつまでに何をやるか」まで決める |
| 捨てるのが怖くて、全部「やる」に入れる | 今の目標に関係ないものは、手放す |
| 片づけて満足し、新しい情報にまた手を出す | 今のものが終わるまで、新しいものは始めない |
| 一点集中を「ほかを全部我慢すること」と考える | 順番を決めるだけで、ほかをやめるわけではないと考える |
最後の失敗は、真面目な方ほど陥りやすいです。一点集中は、ほかのことをすべてあきらめることではありません。今はこれ、次はこれ、と順番を決めることです。
まとめ
- マルチタスクは、切り替えの時間が増え、質が下がり、疲れるのに終わった感覚がない
- 一点集中とは、一つの目標に絞り、気をそらすものを遠ざけること
- 集中を奪っているのは、目の前の作業ではなく、身の回りにある未完了
- 未完了はすべて書き出し、「捨てる」「やる」「忘れる」の3つから決めて、すぐに実行する
- 片づけたあとは、新しい未完了を増やさない決めごとを持つ
まずは、今日10分だけ時間を取って、抱えている未完了を紙に書き出してみてください。その中から一つ「捨てる」ものを選んで処理することが、一点集中の最初の一歩です。



