会員制を始めようとすると、まず思い浮かぶのが「動画が見放題の会員サイト」ではないでしょうか。これまでの講座の動画を全部並べて、毎月少しずつ新しい動画を足していく。分かりやすいので、多くの方がこの形から考え始めます。
ところが、この形で始めた会員制は、しばらくすると苦しくなることが多いです。会員は「見きれない」と言って辞めていく。主催者は、会員をつなぎとめるために撮影を続けて疲れていく。どちらにとっても続かない形になってしまうのです。
結論から言うと、会員制には見放題以外にもいくつもの型があります。そして、どの型を選ぶかは「会員の成果に責任を持てるか」と「自分が無理なく作り続けられるか」の2つで決めます。
この記事では、見放題型が苦しくなる理由、継続課金の6つの型それぞれの向き不向きと運営の重さ、自分に合う型を選ぶ2つの基準、そして最初は1つの型で始めるべき理由を解説します。
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この記事の続きとして、紹介・講座・会員を全部やらずに、少人数で続くビジネスの設計図をAIと描く方法をまとめました。
「とりあえず動画見放題」が苦しくなる理由
見放題型が苦しくなる理由は、大きく2つあります。
1つ目は、会員の側の理由です。会員制を辞める理由として多いのは、「中身が少ない」ではなく、「多すぎて消化できない」「どこから手をつければいいか分からない」です。動画がたくさん並んでいるほど、会員は追いつけない自分を責め、やがて「払っているのに使えていない」と感じて辞めます。量が多いことは、会員制ではむしろ弱点になります。
2つ目は、主催者の側の理由です。見放題型は「新しい動画が増えること」が会費の理由になりやすいので、主催者は毎月作り続けなければいけません。撮影が得意な人ならまだしも、そうでない人にとっては、毎月の制作が重い負担になります。これでは形は会員制でも、中身は時間の切り売りと変わりません。
つまり、見放題型が悪いのではなく、「何となく」で選ぶことが問題です。会員制には、届けるものも、運営の重さも違う型がいくつもあります。それを知ったうえで選べば、会員にも主催者にも無理のない形が見つかります。
継続課金の6つの型
会員制の型は、次の6つに整理できます。
| 型 | 届けるもの | 向いているテーマ | 運営の重さ |
|---|---|---|---|
| 定期配信型 | 決まった間隔で届く新しい中身 | 続けて学びたいテーマ | 軽め〜中くらい |
| 定期便型 | 実際の品物 | 日々使う物、届くこと自体が楽しい物 | 発送の手間がかかる |
| 伴走型 | 一人ひとりへの助言や支え | 状況によって答えが変わるテーマ | 重い |
| 仲間の場型 | 会員どうしが交流できる場 | 同じ悩みや目標を持つ人が多いテーマ | 中くらい |
| 段階公開型 | 決まった教材を少しずつ公開 | 順番に積み上げる技術 | 作り置きできれば軽い |
| 組み合わせ型 | 上の型をいくつか組み合わせる | ほとんどのテーマ | 組み合わせ方による |
一つずつ見ていきます。
定期配信型:決まった間隔で新しい中身を届ける
週ごと、月ごとなど、決まった間隔で新しい中身を届ける型です。動画、音声、文章、資料など、形は何でも構いません。いちばん始めやすく、多くの会員制がこの型から入ります。
気をつけたいのは、量を増やさないことです。届ける中身は、会員がその間隔の中で取り組める量に絞ります。何を届けるか迷ったら、会員が目指すゴールまでの道のりに戻り、「今、会員に次に必要なのはどれか」で選びます。
定期便型:実際の品物を届ける
毎月、実際の品物が届く型です。学びよりも、届いた物を使うこと、届くのを待つことに価値があります。
物には手で触れられる喜びがあり、デジタルの中身より満足されることもあります。その一方で、仕入れ、梱包、発送の手間とお金がかかります。人手を確保できないまま始めると、発送だけで手一杯になります。知識を届ける仕事の方なら、主役ではなく、ワークブックや記念の品を節目に届けるような添え物として考えるのが現実的です。
伴走型:一人ひとりに寄り添って支える
会員一人ひとりの状況を聞き、助言し、ゴールまで寄り添う型です。個別の相談でも、少人数のグループでも構いません。
会員の成果にいちばん深く関われるので、満足度は高くなりやすく、価格も高めにできます。その代わり、主催者の時間を大きく使います。人数が増えるほど負担が増えるので、最初から人数の上限を決めておくことが前提です。会員が増えたときに、少人数のグループに切り替えるのか、手伝ってくれる人を育てるのかも、先に考えておきます。
仲間の場型:会員どうしのつながりを届ける
主催者が教えることより、会員どうしの交流を中心にする型です。同じ悩みや目標を持つ人が集まり、相談し合い、励まし合います。
同じ境遇の人ばかりなので、安心して自分の話ができる。この安心感にお金が払われます。主催者の役目は、教え続けることではなく、話のきっかけを作り、場の雰囲気を守ることです。ただし、放っておくと静かな場になってしまうので、場を温める手間は意外とかかります。
段階公開型:決まった教材を少しずつ公開する
あらかじめ用意した教材を、一度に全部見せずに、少しずつ公開していく型です。教科書を最初から全部渡すのではなく、1章ずつ渡していくイメージです。
順番に積み上げる技術を教えるのに向いています。一度に全部見えないので、会員は量に圧倒されず、「今はこれだけやればいい」と集中できます。教材を先に作っておけば、毎月の制作に追われることもありません。気をつけたいのは、すべて公開し終わったあとです。最後まで進んだ会員が続ける理由を、先に考えておく必要があります。
組み合わせ型:いくつかの型を組み合わせる
ここまでの型を組み合わせる型です。実際には、多くの会員制がこの形をとっています。たとえば、段階公開型で教材を届けながら、仲間の場で励まし合い、月に一度だけ少人数の相談の時間を設ける、といった形です。
組み合わせると、それぞれの良いところを生かせます。教材の合間に仲間の場があると、会員が一人で止まりにくくなります。ただし、組み合わせるほど運営は重くなります。この点は、あとで詳しく触れます。
選ぶ基準1:会員の成果に責任を持てるか
6つの型のどれを選ぶか。1つ目の基準は、会員の側から考えます。「この型で、会員は成果を出せるか」です。
会員が毎月払い続けるのは、満足しているからです。そして満足は、技術が上達した、困りごとが解決した、届いた物に喜んだ、という手応えから生まれます。だから型は、会員がその手応えを得やすいものを選びます。
テーマ別に考えると、次のようになります。
- 上達に人からの指摘が欠かせないテーマ(文章、話し方、作品づくりなど)は、伴走型か、作品を見せ合える仲間の場型が合います。教材を見るだけでは、自分のどこが足りないか分からないからです
- 覚えることが多く、順番が大事なテーマは、段階公開型が合います。量に圧倒されずに一歩ずつ進めます
- 手に取れることに価値があるテーマは、定期便型が合います。画面で見るより、実物が届いたほうが喜ばれる場合です
- 悩みが深く、共感してもらうこと自体が支えになるテーマは、仲間の場型が合います
この基準で見ると、「会員の成果に責任を持つ」とは、主催者が全部をやってあげることではありません。会員が成果を出せる仕組みを選ぶことです。会員が今どこにいて、次に何をすればいいかが分かる道筋があると、どの型でも成果は出やすくなります。その作り方は、会員が辞めないための「成長の道筋」の作り方で解説します。
選ぶ基準2:自分が無理なく作り続けられるか
2つ目の基準は、主催者の側から考えます。「この型を、自分は無理なく続けられるか」です。
会員がどれだけ喜ぶ型でも、主催者が続けられなければ、いずれ終わります。会員制は毎月届け続ける商売なので、続けられることそのものが、会員への約束になります。
次のような問いで、自分に合う型を絞り込みます。
- カメラの前で話すのと、人と直接話すのと、どちらが得意か。直接話すほうが得意なら、伴走型や仲間の場型が合います
- 決まった曜日や時間に予定を入れられるか。予定に縛られたくないなら、作り置きできる定期配信型や段階公開型が合います
- 毎月新しいものを作る時間はあるか。ないなら、先に作っておける段階公開型や、会員どうしの交流が中心の仲間の場型が合います
- 動画、音声、文章、資料のうち、どれなら苦にならないか。苦にならない形で届けられる型を選びます
たとえば、子育てをしながら家計の整え方を教えている人がいたとします。決まった時間に予定を入れるのは難しく、顔を出して話すより文章を書くほうが得意です。この人なら、家計の整え方を段階ごとの文章と記入シートにまとめた段階公開型を主役にし、会員どうしが進み具合を報告できる仲間の場を添える、という形が考えられます。伴走型の個別相談は、無理に入れなくて構いません。
会員の成果と、自分が続けられること。この2つが重なるところに、選ぶべき型があります。
最初は1つの型で始め、組み合わせるなら主役を決める
型を選ぶときに、もう一つ大事なことがあります。最初は1つの型で始めることです。
会員のためを思うほど、あれもこれも入れたくなります。教材も届けて、相談会も開いて、仲間の場も作って、品物も送る。でも、最初から全部を回そうとすると、主催者は運営に追われ、会員は何を使えばいいのか分からなくなります。会員にとっても、届くものが多すぎることは、見放題型と同じ「消化しきれない」につながります。
まずは1つの型で始め、会員の反応を見て、足りないと分かったものを1つずつ足していく。この順番なら、無理なく育てられます。
組み合わせ型にするときは、「主役」を1つ決めます。この会員制のいちばんの価値は何か、を決め、ほかの型は「おまけ」として位置づけます。
| 主役 | 添える型の例 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 段階公開型 | 仲間の場 | 「教材で順番に学び、仲間と進み具合を報告し合えます」 |
| 伴走型 | 定期配信 | 「個別に相談でき、合間に役立つ資料も届きます」 |
| 仲間の場型 | 伴走(月に一度の相談) | 「仲間と励まし合う場に、主催者に相談できる時間がつきます」 |
主役が決まっていると、会員に何を一番使ってほしいのかを一言で伝えられます。募集のときにも、「何でもそろっています」より「これがいちばんの価値です」のほうが、相手に届きます。
毎月の中身の具体的な組み立て方は、会員制で毎月届ける中身の4つの形で詳しく解説しています。また、会員制は一人の会員に長く続けてもらうほど、事業として安定します。この考え方は、LTV(顧客生涯価値)が大事な理由もあわせて読んでみてください。
まとめ
- 「とりあえず動画見放題」は、会員は消化しきれず、主催者は作り続けて疲れるので苦しくなりやすい
- 継続課金の型は「定期配信」「定期便」「伴走」「仲間の場」「段階公開」「組み合わせ」の6つ。届けるものも運営の重さも違う
- 選ぶ基準は「会員の成果に責任を持てるか」と「自分が無理なく作り続けられるか」の2つ。その重なるところを選ぶ
- 最初は1つの型で始め、反応を見ながら足していく。組み合わせるなら主役を1つ決める
次の一歩として、6つの型の中から「会員が成果を出しやすい型」と「自分が続けられる型」をそれぞれ書き出し、重なる型に丸をつけてみてください。会員がなぜ毎月払ってくれるのかから考え直したい方は、人が毎月お金を払い続ける4つの理由もあわせてどうぞ。
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