講座を売り出す前に、無料の動画を何本か届けて、価値を感じてもらってから案内する。この流れを試した方は多いと思います。ところが実際にやってみると、1本目は見てもらえても、2本目、3本目と進むにつれて見る人がどんどん減っていく。最後の案内の回には、ほとんど誰も残っていない。
そうなると、「中身が薄かったのかもしれない」と考えて、次はもっと情報を詰め込もうとしますよね。でも、詰め込んだ動画は長くなり、さらに見られなくなる。この繰り返しで疲れてしまう方がとても多いです。
結論から言うと、見られない原因は中身の量ではなく、動画と動画の「つなぎ方」がないことです。見る人は毎回、「次も見る理由があるか」を判断しています。その理由を台本の段階で用意しておけば、同じ中身でも最後まで見てもらえるようになります。
この記事では、台本を先に書くべき理由、見続けてもらうための6つの仕掛け、それを何本目の動画のどこに置くか、そしてよくある失敗までを解説します。
見るのをやめられるのは、次を見る理由がないから
まず、見る人の立場で考えてみてください。無料の動画は、いつでも閉じられます。お金を払っていないので、途中でやめても何も失いません。忙しい毎日の中で、わざわざ時間を取って見続けるには、それなりの理由が要ります。
見るのをやめられる動画には、たいてい次のどれかが当てはまります。
- 冒頭で、この話を聞くと何が得られるのかが分からない
- 最初の数分が自己紹介や前置きで、本題がなかなか始まらない
- 話があちこちに飛んで、今どこにいるのかが分からない
- 動画の最後が「では、また次回」で終わり、次の回に何があるのかが分からない
どれも、中身の良し悪しとは関係がありません。見る人が迷ったり、次を見る理由を見失ったりする「つなぎ目」で離れていくのです。だから直すべきは、情報の量ではなく、話の組み立てです。
話す前に、台本を書いておく
つなぎ方を設計するには、思いつきで話すのではなく、先に台本を書いておく必要があります。「台本を読むと不自然になりそう」「その場で話す方が気持ちが伝わる」と感じる方もいると思います。それでも私が台本を勧めるのは、次の3つの理由からです。
- 短く、密度の高い話にできる:言いたいことを先に書き出して削るので、前置きや言い直しがなくなる
- 仕掛けを狙った場所に置ける:冒頭の約束や最後の予告は、その場の思いつきでは入れ忘れる
- 撮影と編集が楽になる:話すことが決まっていれば、撮り直しや、切り貼りの手間が大きく減る
動画づくりの順番は、「台本を書く → 撮る → 編集する」です。見続けてもらうための工夫は、撮影や編集で後から足すものではありません。最初の台本の段階で、文章として入れておくものです。
台本を読むと棒読みになる問題
台本を画面に映して読む方法を試すと、多くの方が最初に「棒読みになる」という壁にぶつかります。これは誰でも通る道なので、心配しなくて大丈夫です。
対策としては、冒頭の約束や予告のような短い部分だけを覚えてカメラに向かって話し、長い説明の部分はスライドを見せながら声だけで話す、という分け方がやりやすいです。また、台本は書き言葉ではなく、自分が普段話す言葉づかいで書いておくと、読んだときの不自然さがかなり減ります。
最後まで見てもらう6つの仕掛け
では、台本に何を入れるのか。私が意識しているのは、次の6つです。
| 仕掛け | やること | 見る人の中で起きること |
|---|---|---|
| 1. 冒頭の物語 | 本題の前に、続きが気になる短い体験談を置く | 「この話はどうなるんだろう」と引き込まれる |
| 2. 大きな約束 | シリーズを見終わると何が手に入るかを、ひと言で伝える | 「全部見る価値がある」と判断できる |
| 3. 常識の逆転 | 多くの人が信じている思い込みを、1つひっくり返す | 「え、どういうこと?」と理由を知りたくなる |
| 4. 今日の地図 | これから話すことを、先に3つほど示す | 今どこにいるか分かり、安心して聞ける |
| 5. 次回の予告 | 最後に、次の回で得られることを具体的に伝える | 次の動画を待つ理由ができる |
| 6. 最後の質問 | 見終わった人に、答えやすい質問を投げかける | 見るだけの人から、参加する人に変わる |
1つずつ、ポイントを説明します。
冒頭は、ノウハウではなく物語から入る
人は、理屈よりも物語に引き込まれます。冒頭でいきなり手順を話し始めるより、「こんなことがありました」と短い体験から入る方が、見る人の警戒がゆるみます。
たとえば私なら、独立したばかりの頃の話から入ります。何を発信すればいいか分からないままブログやSNSを続け、無料相談をしても成約につながらなかった。一番欲しかったのは「これをこの順番でやればいい」という手順だった。こう話すと、同じところで止まっている人は「自分のことだ」と感じて、続きを聞いてくれます。
物語で大事なのは、最後まで話し切らないことです。「そこで気づいたのが、ある順番の違いでした」と、答えの手前で本題に入る。続きが気になる状態のまま、話を進めるのです。
約束は、小学生にも分かる言葉でひと言に
大きな約束とは、「このシリーズを最後まで見ると、こうなれます」という宣言です。これがシリーズ全体の背骨になります。
約束は、専門用語を使わず、ひと言で言えるほど簡単にしておきます。「集客導線の最適化」より、「少人数でも売れる順番が分かる」の方が、一瞬で伝わります。そして1本目の冒頭で伝えたら、2本目、3本目、案内の回でも、言い方を変えながら何度もくり返します。
逆転させる常識は、誰でも知っているものを選ぶ
「多くの人はこう思っていますが、実は違います」という話は、強く興味を引きます。ただし、ひっくり返す常識は、見る人の誰もが知っているものでなければいけません。専門家しか知らない常識を覆しても、見る人は「そもそもそれを知らなかった」となり、何も響きません。
たとえば、「売上を上げるには、まず人をたくさん集めないといけない」という思い込みは、多くの人が持っています。これに対して、「実は、少人数でも売上は作れます」と伝える。そのあとで、なぜそう言えるのかを筋道立てて説明します。驚かせるだけで終わらせず、必ず理由まで話すことが、ただの逆張りとの違いです。
予告は、次の回で手に入るものを具体的に
動画の最後は、次の回への橋です。「次回もお楽しみに」では、橋になりません。「次の動画では、あなたの経験を商品の材料に変える、7つの棚卸しの項目をお見せします」のように、次の回で何が手に入るのかを具体的に伝えます。
本編の途中でも、「このあと、多くの人が見落とすポイントを1つお話しします」と先に予告しておくと、話の途中で離れる人が減ります。
仕掛けは、何本目のどこに置くか
6つの仕掛けを全部の動画に同じように入れる必要はありません。それぞれの回の役割に合わせて、置き場所を決めます。無料の動画を3本届けて、4本目で講座を案内する場合の例です。
| 回 | その回の役割 | 冒頭 | 本編 | 最後 |
|---|---|---|---|---|
| 1本目 | 可能性を感じてもらう | 物語、大きな約束 | 常識の逆転、今日の地図 | 予告、質問 |
| 2本目 | 自分の課題に気づいてもらう | 前回の感想へのお礼、約束のくり返し | 今日の地図 | 予告、質問 |
| 3本目 | 何から始めるか決めてもらう | 別の角度の物語 | 今日の地図 | 次回の案内の予告 |
| 4本目 | 講座を案内する | 約束のくり返し | これまでの振り返り | 申し込みの案内 |
ポイントは、1本目に一番力を入れることです。1本目で「このシリーズは全部見る価値がある」と感じてもらえるかどうかで、2本目以降に残る人の数が決まります。 反対に、1本目で信頼を作れていないのに、4本目の案内だけを磨いても、案内を見る人がいません。
最後の質問で、見る人を「参加する人」に変える
6つ目の仕掛けである最後の質問は、見落とされがちですが、とても効果があります。動画を最後まで見た人は、そのシリーズに一番関心を持っている人です。その人に、ひと言でも書いてもらうのです。
ただし、「何でもいいので感想をください」では、何を書けばいいか分からず、ほとんど返ってきません。質問は、答えやすいものを3つほど用意します。
- なぜ、それを身につけたいと思ったのか
- 身につけたら、どんな毎日にしたいか
- 今、どこで止まっているか
そして、書く意味も添えます。「自分の言葉で書くと、目指すものがはっきりします」と伝えるだけで、書いてくれる人は増えます。さらに、「いただいたコメントは全部読んでいます」とひと言加えると、見る人は「自分の声が届いている」と感じてくれます。
集まった答えは、見込み客が今どこで悩んでいるかを知る、何よりの材料になります。次の回の台本を、その答えに合わせて少し直す。これを続けると、動画が回を追うごとに相手に合ったものになっていきます。
よくある4つの失敗
最後に、仕掛けを入れたのに見られない、というときによくある失敗を挙げておきます。
- 約束が大げさすぎる:届けられない未来を約束すると、見る人は途中で「話が違う」と感じて離れます。講座で本当に届けられる範囲で約束します
- 常識の逆転が、反論のための反論になっている:他の人のやり方を否定するだけでは、信頼は生まれません。ひっくり返したら、必ず理由と代わりの考え方を示します
- 予告が中身のない煽りになっている:「次回、衝撃の事実が」だけでは、2回目からは効かなくなります。次の回で手に入るものを具体的に書きます
- 1本が長すぎる:伝えたいことが多いときは、動画を分けます。1本の中で話すテーマは1つに絞ります
チャレンジ企画でも、つなぎ方は同じ
ここまで録画した動画の話をしてきましたが、この考え方は、私がお勧めしているチャレンジ企画にもそのまま使えます。チャレンジ企画は、3日間の生配信で学んでもらい、そのあと個別面談で一人ひとりに合う支援を提案する形です。
生配信でも、1日目の冒頭で約束をして、毎日の最後に翌日の予告をし、宿題として質問に答えてもらう。やっていることは、動画のシリーズと変わりません。1日目の組み立てはDay1「全体像と可能性」の9ステップで、無料セミナーとの違いはチャレンジ企画が「聞いて終わり」にならない理由で詳しく書いています。
私自身、チャレンジ企画で準備1週間・集客3名で売上600万円になったことがあります。人数が少なくても売れたのは、話術ではなく、参加した人が最後まで残る組み立てがあったからです。全体の流れはチャレンジ企画の完全ガイドにまとめています。
まとめ
- 無料の動画が見られない原因は、中身の量ではなく、次を見る理由がない「つなぎ目」にある
- 見続けてもらう工夫は、撮影や編集ではなく、最初の台本の段階で入れておく
- 仕掛けは6つ:冒頭の物語、大きな約束、常識の逆転、今日の地図、次回の予告、最後の質問
- 1本目に一番力を入れる。約束は、回をまたいで言い方を変えながらくり返す
- 最後の質問で、見る人を参加する人に変える。集まった答えで次の回を直す
まずは、今作っている動画か、これから作る動画の最後に、「次の回で手に入るもの」を具体的に書いた予告の一文を足してみてください。それが、動画と動画をつなぐ最初の橋になります。


