そのフロントエンド、本当に必要?顧客を逃す“余計な一手”の見分け方
あなたは、フロントエンド・バックエンド戦略の強力さを学び、「なるほど!じゃあ、私の商品の前にも、何か安いお試し商品を置けば、もっと売れるようになるんだ!」と、早速その導入を検討していませんか?その思考は素晴らしいですが、どうか一旦、立ち止まってください。
その一手が、場合によってはあなたの売上を大きく下げてしまう“悪手”になる可能性があります。ここでは、フロントエンド戦略が逆効果になるケースと、その正しい判断基準について解説します。
どんなに強力なマーケティング手法も、万能薬ではありません。その「使いどころ」を間違えれば、薬は毒に変わります。あなたのビジネスにとって、フロントエンドが本当に「薬」になるのか、それとも「毒」になるのか。その見極め方を、ここでマスターしましょう。
フロントエンドが“不要な障害物”になってしまう時
フロントエンド商品を置く目的は、高額なバックエンド商品への「橋渡し」をすることです。しかし、もしあなたのメイン商品が、そもそも橋を架ける必要がないほど「対岸に近く」、お客様が簡単に飛び越えられるものだったらどうでしょう?
その場合、わざわざ手前に置かれたフロントエンド商品は、「丁寧な橋渡し」ではなく、「面倒な障害物」になってしまいます。
すでに「欲しい!」と思ってくれているお客様に、「その前に、まずはこちらの1,000円の商品を買ってください」と、余計なステップを踏ませると、
- その間に、お客様の気持ちが変わってしまう。
- 「なんだか面倒くさいな…」と感じて、離脱してしまう。
- 安いフロントエンド商品で満足してしまい、本命商品を買わなくなる。
- もっと手っ取り早く買える、ライバルの商品に乗り換えてしまう。
といった形で、本来得られたはずの売上を、みすみす逃すことになりかねません。
覚えておいてください。お客様が取るべきステップは、常に「必要最小限」であるべきです。
あなたの主力商品は、すでに「フロントエンド向き」ではないか?
では、どういう場合にフロントエンドが不要なのでしょうか?
それは、あなたがメインで売りたい商品が、すでにもともと「フロントエンド向き」の性質を持っている場合です。
以下のチェックリストで、あなたの商品を診断してみてください。
- 商品は、初心者向けの内容か?
- 商品は、数千円〜2万円程度の、比較的低価格なものか?
- 商品は、すでによく売れている実績のあるものか?
- 商品は、1週間程度のステップメール教育だけで、十分購入を判断してもらえるものか?
もし、これらの多くに「YES」がつくのであれば、あなたの商品は、それ自体が優れたフロントエンド商品です。その前に、さらなるフロントエンドを置く必要は全くありません。
フロントエンド向き商品の、正しい戦略
もし、あなたのメイン商品が「フロントエンド向き」だと判断できた場合、あなたが取るべき戦略は非常にシンプルです。
その商品の前に、余計なものを挟まない。
そして、その商品を買ってくれたお客様(購入者リスト)に対して、さらに価値の高い「バックエンド商品」を提案できないか、を考える。
これこそが、あなたのLTV(顧客生涯価値)を最大化させるための、最も正しい戦略です。
【復習】フロントエンドが「絶対に必要」になるのはいつか?
では、フロントエンドが不可欠になるのは、どんな時でしょうか。それは、以前お話しした美容室ビジネスの事例を思い出してください。
最終的に売りたいバックエンド商品(月額25万円のシステム)が、あまりにも高額で、導入への決断が重い。一週間のメール教育だけでは、到底お客様にその価値を伝えきれない。
このように、バックエンドの参加ハードルが非常に高く、ステップメールだけではお客様を決断させるのが困難な場合にのみ、そのギャップを埋めるための「橋渡し」として、フロントエンド商品(5,000円のセミナー)が必要になるのです。
まとめ
ここまで、フロントエンド戦略が不要、あるいは逆効果になるケースについて解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- フロントエンド戦略は万能ではなく、商品の性質によっては、むしろ売上を下げる原因になり得る。
- あなたのメイン商品が、すでに「低価格」「初心者向け」といったフロントエンド向きの性質を持っている場合、その前にさらなるフロントエンドを置いてはならない。
- お客様の購買までのステップは、常に「必要最小限」を心がける。不要なステップは、お客様を逃す原因になる。
- フロントエンドは、あくまで「高額なバックエンド」と「見込み客」の間の、大きなギャップを埋めるための”橋渡し”として、必要な場合にのみ設置する。
強力なマーケティング手法であるからこそ、その「使いどころ」を正しく見極める。その戦略的な視点が、あなたのビジネスの成否を分けるのです。