自由で豊かな人生を夢見て、ビジネスを始める人は多いです。好きな時間に起きて、好きな場所で、好きなことをして暮らしたい。私もその気持ちはよく分かります。
ただ、今回は少しだけ、その夢に水を差すような話をさせてください。自由で豊かになったあと、思っていたほど幸せを感じられない人がいる、という話です。
結論から言うと、自由で豊かになることはゴールではなく、スタートです。 自由になったあとに何をしたいのかを、今のうちから考えておくこと。それが、成功したその先で迷わないための準備になります。
この記事では、成功したあとに起こりやすい戸惑いと、その理由、そして迷わないために今から考えておきたい3つの問いを紹介します。
成功して自由になったのに、満たされない人がいる
以前、起業している人と月に何度か顔を合わせる機会がありました。その中に、自分のビジネスで成功していて、ある程度自動化もしているので、簡単なメンテナンスだけで毎月100万円以上を得ている人がいました。
彼は必死に働く必要がなくなり、目覚まし時計に起こされることもありません。一般的な会社員に比べれば使えるお金も多く、好きなことだけをして生きていける状況です。多くの人が目指している状態だと思います。
ところが、彼にとって今の状態は、幸せとは言えないそうです。旅行をしたり、奥さんとのんびり過ごしたりしているものの、日々の生活になんとなく充実感がない。自由になりすぎて、何をしたらいいか分からない、と話していました。
暇な時間を持て余すと、「人生について考えてしまう」とも言っていました。
収入が大きく増えたあとに、ぼんやりしてしまう人も
私のコンサル生の中にも、何もない状態から始めて数か月で収入が大きく増えたあと、あまりの環境の変化についていけず、しばらくぼんやりしてしまう人がいます。
借金を抱えていた人は、それを返し、欲しかった車や時計やパソコンを買います。でも、その後はそれほど欲しいものもなくなってしまう。周りの友人は普通に働いているので、平日に気軽に遊びに誘うこともできません。
朝起きても予定がなく、昼間から近所のお店や観光地をぶらぶらして過ごす。自由になったのに、どこか手持ち無沙汰な日々が続くのです。
自由は「終わりのない夏休み」に似ている
ビジネスで成功し、自動化もできて時間ができると、自分から予定を入れない限り、その先の人生がずっと夏休みのようになります。
子どもの頃の夏休みを思い出してみてください。最初は嬉しくても、1か月も続くと、だんだん退屈になった人もいるのではないでしょうか。部活や習い事に打ち込んでいた人は別として、学校が少し恋しくなった経験がある人もいると思います。
成功して手に入る自由は、学生時代の夏休みとは比べものにならない、究極の夏休みです。
- 宿題もない
- 受験も就職活動もない
- 「〇〇しなさい」と指示する人もいない
- 住む場所や移動の制限もない
- いつまでたっても、休みの終わりが来ない
自分から進んで予定を入れない限り、予定表はずっと空白のままです。
周りに、同じ夏休みを過ごす友人はいない
子どもの頃の夏休みと違うのは、周りに同じように休んでいる友人がほとんどいないことです。
昔の同級生たちは、それぞれ違う生き方をしていて、みんな忙しそうです。家庭を築いている人、仕事で活躍している人、生活に追われている人。自分だけが時間を持て余していると、なんとなく一人になり、人生について考え込んでしまう。「遊んでいるだけで本当にいいのだろうか」と感じる人もいるようです。
自由になって迷う人と、迷わない人の違い
成功したあとは、ある程度の範囲なら、どんな生き方でも選べるようになります。何をしてもいいし、何を買ってもいいし、どこで暮らしてもいい。
ところが、選択肢が無限にあると、かえって選べなくなります。「たった一度の人生で、何をするのが正解なのか」。ここで多くの人が、自分の人生を見つめ直すことになります。
迷わないのは、情熱を注げるものがある人や、自分にとっての幸せの形がはっきりしている人です。 環境が急に変わっても、一時的に戸惑うだけで、やがて自分のペースを取り戻していきます。
一方で、夢や理想がはっきりしていないと、その先の人生をどう過ごすかを選べません。食べて、暇をつぶして、寝るだけの毎日になってしまうこともあります。
人は、どこかに属していたい
以前、大学を休学してビジネスに打ち込み、学生のうちに十分な収入を得られるようになった人に、ビジネスを教えていたことがあります。
彼は、自由すぎる生活が当たり前になると、「暇すぎて楽しいことがない」と言い出しました。結局、毎日のように休学中の大学に遊びに行き、後輩たちとテニスをしていたそうです。
人には、どこかに属していたいという気持ちがあります。あまりに自由になると、何かしらの決まりや仲間のいる場所に、自分から入っていきたくなるのかもしれません。自由すぎる日常は、ときに「孤独」という形で重くのしかかってくることもあります。
成功したその先を、先に想像しておく3つの問い
だからこそ、自由で豊かになったら本当は何をしたいのかを、今のうちから考えておくことをおすすめします。答えは漠然としたものでかまいません。次の3つの問いを、紙に書き出してみてください。
問い1:平日の昼間、あなたは何をしていたいか
時間がすべて自由になったとき、平日の昼間に何をしているでしょうか。休日の過ごし方ではなく、「平日の昼」を想像するのがポイントです。多くの人が働いている時間に何をしたいかが見えると、自分が本当に時間を使いたいことが分かります。
問い2:そのとき、誰と一緒にいるか
一人で過ごしている姿を想像したのか、家族や仲間と一緒にいる姿を想像したのか。誰と過ごしたいかが分かると、今から大切にしておきたい人間関係が見えてきます。
問い3:どんな形で、人の役に立っていたいか
お金のために働く必要がなくなっても、人は誰かの役に立っていたいと感じるものです。教える、支える、作る、つなぐ。どんな形で人と関わっていたいかを考えておくと、成功したあとも「やりたいこと」が途切れません。
成功して得られるものを考える視点は、ビジネスで成功して得られる最大のメリットでも書いています。
今のうちからできる準備
3つの問いに答えたら、今の生活の中で少しずつ準備を始めましょう。
- 仕事以外に打ち込めること(趣味や学び)を、今から一つ続けておく
- 仕事の話だけでなく、何でも話せる仲間との関係を大切にしておく
- 自由になったあとにも続けたい「役割」を、小さく始めておく
準備をしておけば、自由になったときに「何をしよう」と立ち止まる時間は短くなります。目標を達成した直後に止まってしまうことについては、目標を達成した直後に次の一歩が止まる理由と、燃え尽きを防ぐチェックリストで詳しく解説しています。また、理想の暮らしを具体的な目標に落とし込む方法は、理想のライフスタイルを実現する目標設定術を参考にしてください。
まとめ
- 自由で豊かになっても、それだけで幸せを感じられるとは限らない
- 成功後の自由は「終わりのない夏休み」。自分から予定を入れない限り、空白が続く
- 迷わないのは、情熱を注げるものや幸せの形がはっきりしている人
- 「平日の昼に何をしたいか」「誰といたいか」「どう人の役に立ちたいか」を今から考えておく
- 趣味・仲間・役割を、今の生活の中で小さく育てておく
まずは今日、3つの問いのうち1つだけでいいので、答えを紙に書いてみてください。自由で豊かな人生の、その先の地図がそこから描けるようになります。


