改善すべきは“一番弱い”場所。売上を3倍にした、たった一つの数字とは
あなたは、顧客の購買プロセスを分解し、各ステップの数字を計測できるようになったものの、いざ目の前に並んだデータを見て、「LP登録率10%、SL誘導率50%、SL成約率10%…さて、どこから手をつければいいんだ?」と、次の一手に迷っていませんか?
(※LP=ランディングページ、SM=ステップメール、SL=セールスレター)
すべての数字を一度に改善しようとするのは、不可能です。闇雲に改善を試みても、労力が分散し、大きな成果は得られません。ここでは、あなたの労力を最小限に、そして成果を最大限にするための、改善すべき箇所の「優先順位」の付け方について、具体的なシミュレーションを交えて解説します。
あなたのビジネスという名の”バケツ”に空いた、大小さまざまな”穴”。その中で、最も大きく水が漏れ出している穴を、まず最初に見つけ出し、塞ぐこと。それこそが、あなたのビジネスを最も速く成長させる、唯一の方法なのです。
あるマーケティングファネルの診断事例
あなたが構築した仕組みで、仮に以下のような結果が出たとしましょう。
① LPアクセス:1,000人(LP登録率10%)
② SM登録:100人(SL誘導率50%)
③ SLアクセス:50人 (SL成約率10%)
④ 商品(10,000円)成約:5個
最終利益:50,000円
(※LP=ランディングページ、SM=ステップメール、SL=セールスレター)
さて、この数字を見て、あなたはどこから改善に着手しますか?
改善の定石:最もインパクトが大きい場所から着手する
ビジネス改善の定石は、「最終的な成果(この場合は成約数)に、最も大きなインパクトを及ぼす部分から改善していく」ことです。
上の例で言えば、セールスレターへの誘導率(50%)や、商品の成約率(10%)は、決して悪い数字ではありません。もちろん、改善の余地はありますが、優先度は低いでしょう。
一方で、ランディングページの登録率(10%)は、明らかに「目立って悪い」数字です。ここに、この仕組みの”最大の穴”が隠されています。
改善シミュレーション:どちらの改善が、より儲かるか?
では、なぜ「最も悪い数字」から手をつけるべきなのでしょうか。シミュレーションをしてみれば、その理由は一目瞭然です。
シナリオA:「まあまあな数字」を、さらに良くした場合
ステップメールを必死に書き直し、セールスレターへの誘導率を50%から70%へ、20%も改善できたとします。
- SM登録100人 × 誘導率70% = SLアクセス70人
- SLアクセス70人 × 成約率10% = 7個の成約
- 最終利益:70,000円
努力の割に、利益は2万円しか増えませんでした。
シナリオB:「最も悪い数字」を、普通のレベルにした場合
次に、ランディングページを改善し、登録率を10%から、合格ラインである30%に引き上げたとします。
- LPアクセス1,000人 × 登録率30% = SM登録300人
- SM登録300人 × 誘導率50% = SLアクセス150人
- SLアクセス150人 × 成約率10% = 15個の成約
- 最終利益:150,000円
いかがでしょうか。たった一つの数字を改善しただけで、最終利益は、当初の3倍にまで膨れ上がりました。
結論:事例の最優先課題は「入口」である
このシミュレーションが示す通り、ファネルの入口に近い部分の数字ほど、最終的な成果に与える影響は、掛け算的に大きくなります。
小さな穴がたくさん空いているバケツの、一番底に空いた巨大な穴。今すぐ塞ぐべきは、そこなのです。今回のケースで言えば、改善の優先順位は、明らかに「ランディングページの登録率」となります。
まとめ
ここまで、あなたのビジネスのどこを改善すべきか、その優先順位の付け方について解説してきました。最後に要点を3つにまとめました。
- ビジネスの改善は、闇雲に行うのではなく、ファネル全体の数字を計測し、どこに問題があるかを客観的に特定することから始める。
- 改善の優先順位は、最終的な売上に最も大きなインパクトを与える場所。多くの場合、それはファネルのステップの中で、最も数字が悪い(離脱率が高い)箇所である。
- 特に、ファネルの入口に近い部分(例:LP登録率)の数字は、その後のすべての数字に影響を与えるため、改善効果が最も大きい。
データという名の地図を広げ、あなたのビジネスという名の宝の地図に記された、最も価値ある一点を見つけ出し、そこにあなたの貴重なリソースを集中投下してください。