毎日遅くまで働いて、休みの日も仕事のことが頭から離れない。食費や日用品は少しでも安いものを選び、節約にも気を配っている。それなのに、お金も時間も思うように増えていかない。そう感じている方は多いと思います。
特に、会社員を続けながら副業や自分のビジネスを始めた方は、「本業も手を抜けない、副業も進めたい」という板挟みになりがちです。忙しい時期が続くと、副業のほうが後回しになっていきます。
結論から言うと、頑張って働くほど、実はお金を損している場合があります。目の前の給料や節約した金額は見えやすいのに、「その時間で本来得られたはずのもの」は目に見えないからです。
この記事では、私の友人の例をもとに、この「見えない損失」の考え方と、自分の時間の使い方を見直すための3つの問いをお伝えします。
副業が育っているのに、本業から離れられなかった友人
私の友人に、システムエンジニアとして働きながら、副業でビジネスをしている人がいます。私がビジネスを教え始めてからは、教えたことを素直に実践していたので、成果が出るのも早く、収入は順調に増えていきました。始めて1年もたたないうちに、副業の収入が本業の給料を上回る月も出てきました。
ただ、彼の本業の職場はいつも人手が足りず、残業や休日出勤が当たり前の環境でした。中堅として大きなプロジェクトをいくつも任されていて、「自分が抜けたら周りに迷惑がかかる」という責任感から、会社を離れることは考えられないようでした。
そんな中、職場で人が抜ける出来事があり、その穴埋めを彼が引き受けることになりました。残業も休日出勤もさらに増え、自分のビジネスはほとんど手をつけられない状態になってしまいました。
新しいお客様を迎える準備や、売上を伸ばすための作業が、まったくできない。いつも疲れ切っている。残業代は少し増えても、副業の伸びを考えると、とても喜べる状況ではありませんでした。
働くほどお金を失う「見えない損失」とは
こういうとき、目に入りやすいのは「今月も給料が入った」「残業代が少し増えた」という、手元に入ってくるお金です。でも、その裏で見えにくいお金が出ていっています。
分かりやすくするために、たとえばの数字で計算してみます。
| 項目 | たとえばの数字 |
|---|---|
| 副業に集中できれば見込める月の収入 | 100万円(1日あたり約3万3千円) |
| 本業の1日あたりの給料 | 2万円 |
| 本業に1日使ったときの差 | 約3万3千円 − 2万円 = 約1万3千円 |
この例では、本業の仕事に1日使うたびに、2万円を受け取る代わりに、本来得られたはずの約3万3千円を手放していることになります。差し引きで1日あたり約1万3千円。20日働けば約26万円、ほとんど休みなく30日働けば約39万円です。
もちろん、副業の収入は毎月同じとは限りませんし、本業には安定という価値もあります。単純に比べられるものではありません。ただ、「頑張って働いた日」が、実は「お金を手放した日」になっていることがあるという見方は、持っておいて損はありません。
節約は得意なのに、大きな損失には気づきにくい理由
友人も、友人の奥さんも、とても節約上手でした。食事は少しでも安いものを選び、割引や無料のチケットがあれば並んででも手に入れる。旅行のときは、安い宿や交通手段を何時間もかけて探し、数千円安くできると本当にうれしそうに話してくれました。
それだけお金に気を配っているのに、1日単位で大きなお金を手放していることには気づいていませんでした。私がこの計算を説明すると、彼はとても驚いていました。
これは、彼の考えが足りなかったからではありません。人は、次のような違いで、損失に気づきやすいかどうかが変わります。
| 気づきやすい損失 | 気づきにくい損失 |
|---|---|
| 財布から実際に出ていくお金 | 得られたはずなのに、得られなかったお金 |
| 数百円、数千円の小さな金額 | 1日単位、1か月単位でたまっていく金額 |
| 今日の損失 | 数か月後、数年後に表れる損失 |
節約で減らしているのは「気づきやすい損失」です。一方で、時間の使い方で生まれるのは「気づきにくい損失」です。後者は目に見えないので、どれだけ大きくなっていても、意識しなければ気づけません。
私自身も、会社員の頃は長時間の残業が続く毎日でした。上司や同僚に気を使い、自分が頑張らなければと思う気持ちはよく分かります。ただ、職場の人手が足りないのは、会社が解決すべき課題です。すべてを一人で背負う必要はありません。
同じ構造は、副業をしている人以外にも起きている
この「見えない損失」は、副業をしている人だけの話ではありません。似たような状況は、いろいろなところで起きています。
- 「コーチとして多くの人の役に立ちたい」と決めたのに、目の前の仕事やアルバイトを優先して、準備が何か月も進まない
- お金を節約しようとして、無料や格安のものばかりを使った結果、遠回りして成果が出るのが何か月も遅れる
どちらも、その場では「お金を守った」「目の前の仕事をきちんとこなした」と感じられます。でも、成果が出るのが遅れた分だけ、本来得られたはずの収入を手放しています。その金額は、アルバイトで得た金額や節約した金額よりも、ずっと大きくなることがあります。
お金の使い方をどう考えればいいかは、価値のあるお金の使い方でも書いています。
生活が苦しいときは、アルバイトも節約も正しい選択
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。
今月の生活費が足りない状況なら、アルバイトをすることも、節約することも、必要で正しい選択です。生活の土台が崩れてしまっては、ビジネスどころではありません。
この記事でお伝えしたいのは、ある程度の貯金があり、今すぐ生活が立ち行かなくなるわけではない場合の話です。その状態なら、一定の期間はビジネスに集中して取り組み、必要なものにはきちんとお金をかけて、成果が出るまでの期間を短くしたほうが、最終的には損をせずに済むことが多いです。
会社を辞めるか、続けるかの二択で考える必要もありません。会社に勤めながら、自分のビジネスの時間をどう確保するかを考えるだけでも、状況は変わります。この考え方は雇われて働くだけの時代は終わるで詳しく書いています。
時間の使い方を見直す3つの問い
では、自分が「見えない損失」を抱えていないかを、どう確かめればいいのでしょうか。次の3つの問いに答えてみてください。
- その時間を自分のビジネスに使ったら、何が進むか
残業や、引き受けている仕事の時間を、自分のビジネスに使ったらどうなるかを具体的に書き出します。 - それは、自分が引き受けなければならない仕事か
本当に自分にしかできないのか、会社や周りの人が解決すべき課題なのかを分けて考えます。 - 成果が出るまでの期間を短くするために、何にお金を使えるか
節約で守っている金額と、遠回りで失っている金額を比べてみます。
1つ目の問いに答えると、見えなかった損失が少し見えるようになります。2つ目の問いは、責任感の強い人ほど大切です。3つ目の問いは、「お金を使わないことが、いつも得とは限らない」ことに気づくきっかけになります。
副業であっても、本業のつもりで時間の使い方を決めることが大切です。その考え方はビジネスは副業でも本業のつもりで取り組むも参考にしてください。
まとめ
- 頑張って働くほど、本来得られたはずのお金を手放していることがある
- 節約で減らせるのは「気づきやすい損失」。時間の使い方で生まれる損失は目に見えにくい
- 職場の人手不足など、会社が解決すべき課題まで一人で背負わない
- 生活費が足りないときは、アルバイトも節約も正しい選択。余裕があるなら、成果までの期間を短くすることを考える
- 「その時間で何が進むか」「自分が引き受けるべきか」「何にお金を使えるか」の3つで見直す
まずは、この1週間で使った時間のうち、自分のビジネスに使えたかもしれない時間を書き出してみてください。その時間で何が進んだかを1行ずつ書くと、あなたの「見えない損失」の大きさが見えてきます。



