コンセプトを考えようとして、「誰が」の欄で手が止まってしまう。自分にはすごい実績も、目立つ肩書きもない。こんな自分が発信しても、誰も話を聞いてくれないのではないか。そう感じている方は多いです。
コンセプトとは、お客様を幸せにするための企画書のようなものです。誰が、誰を、どれほど、どのようにして、なぜ幸せにするのか。これをまとめてお客様に見せ、魅力を感じてもらえれば、お客様は近づいてきてくれます。コンセプト全体の考え方はコンセプトとは?で解説しています。
その中でも「誰が」は、お客様がとても気にする部分です。どこの誰かも分からない人に「あなたの悩みを解決します」と言われても、信用できないからです。
ただ、結論から言うと、「誰が」に必要なのは、飛び抜けた実績や有名な肩書きではありません。お客様が「この人なら、自分を良くしてくれそうだ」と期待できる材料があれば十分です。そして、その材料は今なくても、後から作ることができます。
この記事では、「誰が」の材料になる強みの例、強みを整理する2つの軸、今ない強みを後から作る考え方、強みを見つける質問をお伝えします。
お客様が「誰が」を気にする理由
お客様は基本的に、自分が幸せになることに関心があります。広告や発信を見たときも、「これは自分の幸せにつながるか」を最初に考えます。
そのとき、同じ内容を言っていても、誰が言っているかで受け取り方は大きく変わります。
たとえば、野球のバッティングに悩んでいる人がいたとします。プロの世界で長く活躍した選手が「バッティングのコツをマンツーマンで教えます」と言えば、すぐに興味を持つはずです。一方で、「子どもの頃に野球をしていた人が教えます」と言われても、あまり魅力は感じないでしょう。
教える中身が同じでも、「誰が」によって期待の大きさが変わる。だから、「誰が」をできるだけ魅力的に伝えることが、コンセプトの魅力に直結します。
ここで大事なのは、比べる相手はプロの一流選手ではないということです。あなたのお客様になる人から見て、期待できるかどうかが基準です。
「誰が」の材料になる9つの強み
情報発信をするうえで強みになるものは、いろいろあります。代表的なものを9つ挙げます。
| 強み | どう役に立つか |
|---|---|
| 1. 人より詳しい知識・優れたスキル | その差を埋める手伝いが価値になる |
| 2. 信用につながる実績 | 話を聞く理由になる |
| 3. 興味を持たれる経歴 | 読んでみたいと思ってもらえる |
| 4. 資本 | 広告や外注など、打てる手が増える |
| 5. 人脈 | 足りない知識や力を借りられる |
| 6. 見た目の印象 | 覚えてもらいやすく、親しみを持ってもらえる |
| 7. 声・話し方 | 動画や音声で伝わりやすくなる |
| 8. 行動力 | 人がやらないことを試して、見せられる |
| 9. 好奇心 | 新しい情報や経験が、そのまま発信の材料になる |
いくつか補足します。
知識・スキルは「お客様より少し先」で十分
知識やスキルは、大学教授やプロの芸術家のような圧倒的な差でなくても構いません。大学生が中学生に勉強を教える家庭教師がお金をもらえるように、教えたい相手より少し詳しければ、その差を埋める手伝いが価値になります。
実績は「小さくても本物」を積み重ねる
実績も、分野のトップレベルである必要はありません。お客様の多くは、その分野の初心者です。初心者から見て「この人の話は聞いてみたい」と思える実績があれば使えます。
たとえば、恋愛の相談にのる発信をするなら、これまでの恋愛経験や、相談にのってきた人数も実績になります。大切なのは、見せ方を大きくすることではなく、本当にあったことを、お客様に関係のある形で伝えることです。実績を盛って見せると、あとで必ず信用を失います。
経歴は「浮き沈み」も材料になる
私の場合、もともとは会社員で、長時間の残業が続き、会社と家の往復だけの毎日でした。そこから抜け出したくて起業したものの、うまくいかずに3年の時間と1,000万円の貯金を失いました。その後、月収100万円以上を稼げるようになりました。
こうした浮き沈みのある経歴は、同じように悩んでいる人から見ると、「この人の話なら聞いてみたい」と思ってもらえる材料になります。職業や、人と違う経験も、経歴として使えます。
人脈は「役割分担」で強みになる
自分に足りない知識があっても、詳しい人と組むことはできます。私自身、引き寄せの法則やカードリーディング、セラピー、カウンセリングの専門知識は持っていませんが、そうした知識を持つ方のコンサルティングをしています。専門知識は本人が持ち、私は仕組みづくりを担当するという役割分担です。全部を自分一人で持っている必要はありません。
強みは「興味を引く」か「信用を高める」かで整理する
9つの強みは、大きく分けると次の2つの働きのどちらかを持っています。
- 興味を引く:経歴、見た目の印象、声、行動力、好奇心など。「この人は何だろう」と思ってもらえる
- 信用を高める:知識・スキル、実績、人脈、資本など。「この人なら大丈夫そうだ」と思ってもらえる
自分の強みを書き出したら、それぞれがどちらの働きをしているのかを分けてみてください。興味だけで信用がないと、見てはもらえても申し込まれません。信用だけで興味がないと、そもそも気づいてもらえません。どちらかが足りないと分かれば、次に何を増やせばいいかがはっきりします。
今ある強みにこだわらない。強みは後から作れる
「発信しましょう」と言われると、「自分には知識もスキルもないし、人の興味を引くものも、実績もない」と感じる方がいます。その気持ちはよく分かります。私も会社を辞めるまでは、自分でビジネスをすることに興味すらありませんでした。起業したときは、ビジネスの知識も経験もゼロでした。
でも、9つの強みのうち、ほとんどは後から身につけられます。
- 知識やスキルは、学べば身につく。関連する本を何冊か読むだけでも、何も知らない初心者よりは詳しくなれる
- 実績は、誰でも最初はゼロ。小さなものから積み上げていけばいい
- 話し方は練習で上達するし、人脈は人と会う場に出ていけば広がる
- 行動力や好奇心は、今日からでも発揮できる
私のお客様にも、ビジネスの経験がまったくない状態からセラピストの学びを始め、今ではそれを仕事にしている方がいます。今の時点で強みがないことは、発信をあきらめる理由にはなりません。
お金になりやすい強みを選ぶ
もう一つ、知っておきたいことがあります。すでに持っている強みが、必ずしもお金になりやすいとは限らないということです。
たとえば、小説が大好きで、何時間でも語れるほど詳しいとします。でも、小説の知識そのものを商品にして大きな売上を作るのは、簡単ではありません。市場が小さく、お客様がお金を払う場面が少ないからです。
今ある強みにこだわりすぎるより、多くの人が知りたがっていて、お金を払ってでも解決したい分野で、新しく強みを身につけたほうが早いこともあります。今ある強みを使うか、新しく作るかは、「その分野にお金を払う人がいるか」で判断してください。
強みを見つける3つの質問
自分の強みが分からないときは、次の3つの質問に答えてみてください。
- これまで、何に多くの時間を使ってきましたか?
人より時間を使ってきたことは、人より詳しい知識やスキルになっていることが多いです。仕事、趣味、スポーツ、子育てなど、何でも構いません。 - これまで、何に強く悩んできましたか?
長く悩んだことがあるなら、同じ悩みを持つ人の気持ちが分かります。悩んだ分だけ考え、調べてきたはずなので、それ自体が発信の材料になります。 - 今、何に強く興味を持っていますか?
これから強みを作るなら、興味のある分野のほうが学びやすく、続けやすいです。その分野に関心を持つ人が多いかどうかも一緒に確かめます。
答えを書き出したら、最後に次の2つを考えます。
- あなたは今、どんな価値を提供できるか
- あなたは、どんな価値を提供できるようになりたいか
この2つが、コンセプトの「誰が」の中身になります。経験や知識を商品の材料として棚卸しする方法は、経験と知識を商品の材料に変える棚卸し7項目でも詳しく書いています。
強み探しでよくある失敗
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| その分野のトップと比べて「自分には何もない」と思う | お客様から見て少し先にいるかで考える |
| 実績を大きく見せようとする | 本当にあったことを、お客様に関係のある形で伝える |
| 興味を引く強みだけ、信用を高める強みだけに偏る | 2つの軸に分けて、足りないほうを増やす |
| 今ある強みだけで考える | お金を払う人がいる分野なら、後から作る |
| 強み探しに時間をかけすぎて、発信を始めない | 3つの質問に答えたら、まず小さく発信してみる |
「誰が」が決まったら、ほかの4つの要素と合わせて、コンセプトを一つの文章にまとめます。その手順はコンセプトを決定する手順で解説しています。
まとめ
- コンセプトの「誰が」は、お客様が「この人なら良くしてくれそう」と期待できるかどうかで決まる
- 強みの例は、知識・実績・経歴・資本・人脈・見た目の印象・声・行動力・好奇心の9つ
- 強みは「興味を引く」と「信用を高める」の2つの軸で整理し、足りないほうを増やす
- 強みのほとんどは後から作れる。お金を払う人がいる分野で身につける
- 見つからないときは「時間を使ってきたこと」「悩んできたこと」「今の興味」を書き出す
まずは、強みを見つける3つの質問に、それぞれ3つずつ答えを書き出してみてください。9つの答えの中から、あなたのお客様になる人が「聞いてみたい」と思いそうなものに丸をつけるところから始めましょう。


