売上が何億円もある会社と聞くと、「すごいな」「安定していそうだな」と感じますよね。個人でビジネスを始めようとしている方ほど、自分の小さな売上と比べて、引け目を感じてしまうかもしれません。
でも、年商の大きさと、ビジネスの身軽さや安心は、必ずしも同じではありません。
結論から言うと、個人でビジネスを始めるなら、売上の大きさより「手元に残るお金」と「毎月出ていくお金」で見ることです。借金をせずに、固定費を小さく始められる今の時代は、個人にとってとても有利な時代です。
この記事では、以前、年商が億単位の社長さんと打ち合わせをしたときに話したことをきっかけに、借金で事業を回すことの重さと、借金をせずに小さく始める個人ビジネスの3つの強み、そして売上ではなく手元に残るお金で考える手順をお伝えします。
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年商億の社長さんと話して驚かれたこと
以前、ある社長さんと打ち合わせをしました。私のクライアントさんの中では、たぶん一番大きな会社の代表の方です。年商は億単位の会社ですが、話を聞くと、それに負けないくらいの額を銀行から借り入れて、会社を運営しているとのことでした。
私には、起業するために借金をするという発想がまったくありませんでした。そのことを伝えると、驚かれました。
今はインターネットがあるので、大きな資金がなくても、ビジネスを立ち上げることができます。でも、長く事業を続けてこられた方にとっては、事業を始めるにはまず資金を借りる、というのが当たり前だったのです。
「良い時代になったよな」と、社長さんは笑っていました。
そして、私が「借金なしで、利益率は90%くらいでやれていますよ」と話すと、苦笑いされていました。どちらが良い悪いという話ではありません。事業の形が、それだけ違うということです。
借金で事業を回すことの重さ
銀行からの借り入れは、言いかえれば借金です。事業を大きくするための大事な手段ですが、同時に、返し続けなければならないお金でもあります。
借りたお金で、社員を雇い、広告を出し、事務所の家賃や設備の費用を払う。事業がうまくいっているときは、それが成長の力になります。でも、景気が悪くなったり、事業がうまくいかなくなったりしても、借りたお金は返さなければなりません。
その社長さんも、景気の悪い時期には、返済が厳しいときがあったそうです。多くの従業員の生活を背負いながら、返済の心配も抱える。その重圧は、外から見ている以上のものだと思います。
売上が大きいことと、手元に残るお金が多いことは、別の話です。 売上が大きくても、人件費や家賃、返済などが毎月出ていけば、手元に残る割合は小さくなります。売上の数字だけで比べると、この違いが見えなくなります。
借金をせずに始める個人ビジネスの3つの強み
一方で、私たちのような個人のビジネスには、借金をしないからこその強みがあります。
| 強み | 中身 |
|---|---|
| 1. 失敗しても、借金が残らない | 借りたお金がないので、うまくいかなかったときも、やり直しがききやすい |
| 2. 固定費が小さく、手元に残る割合が大きい | 事務所や社員を持たずに始められるので、売上のうち出ていくお金が少ない |
| 3. 小さく試して、すぐに直せる | 大きな投資をしていないので、反応を見ながら方向を変えやすい |
強み1:失敗しても、借金が残らない
借金をせずに始めれば、もしうまくいかなかったとしても、返さなければならないお金は残りません。失敗しても、もう一度やり直すことができます。挑戦のハードルが低いということは、それだけ何度も試せるということです。
強み2:固定費が小さく、手元に残る割合が大きい
知識や経験をもとにしたビジネスは、仕入れや在庫がほとんどいりません。事務所を借りなくても、自宅とパソコンがあれば始められます。そのため、売上のうち手元に残る割合を大きくしやすいのです。
強み3:小さく試して、すぐに直せる
大きな投資をしていないので、「このやり方は合わなかった」と気づいたら、すぐに方向を変えられます。大きな会社では、一度決めた計画を変えるのに時間がかかりますが、個人なら今日決めて、明日から変えることもできます。
少ない元手で起業できる時代に、失敗を小さくする順番は、「リスクゼロで起業」の本当の意味で詳しく解説しています。
売上ではなく「手元に残るお金」で考える手順
では、個人でビジネスを始めるとき、何を見ればいいのでしょうか。私がおすすめしている順番は次のとおりです。
- 毎月必ず出ていくお金を書き出す:使っているツールの料金、通信費、外注費など、売上がなくても出ていくお金を全部書きます
- それを減らせないか確かめる:今の段階で本当に必要なものかを一つずつ見直し、使っていないものは止めます
- 売上から出ていくお金を引いた「手元に残るお金」で目標を立てる:「売上〇〇万円」ではなく「手元に〇〇万円残す」と考えます
- 大きな出費は、売上が立ってから:広告や設備にお金をかけるのは、小さく試して売れる形が見えてからにします
特に4つ目が大切です。最初から大きくお金をかけると、その回収が目的になってしまい、焦って売り込みたくなります。先に小さく売れる形を作ってから、お金をかけて広げる。この順番なら、借金をせずに進められます。
よくある失敗
手元に残るお金で考えるときに、つまずきやすいところをまとめておきます。
| よくある失敗 | どう直すか |
|---|---|
| 始める前に、ツールや設備をひととおりそろえてしまう | 最初は無料や安価なもので始め、足りないと分かってから足す |
| 月額の料金が小さいので、契約したまま忘れている | 毎月出ていくお金を一覧にして、月に一度見直す |
| 売上の目標だけを立てて、出ていくお金を見ていない | 目標は「手元に残るお金」で立てる |
| 売れる形が見える前に、広告にお金をかける | 少人数に案内して売れることを確かめてから広げる |
一つひとつは小さな出費でも、積み重なると、手元に残るお金を大きく減らします。特に、始めたばかりで売上がまだ安定しない時期は、出ていくお金が少ないほど、落ち着いて次の手を考えられます。
大人数を集めなくても売上は作れる、という考え方は、集客3名でも売上は作れますで解説しています。
大きな会社と比べて落ち込まなくていい
個人でビジネスを始めたばかりのころは、売上の数字が小さくて、大きな会社や周りの人と比べて落ち込むこともあると思います。
でも、比べる数字を間違えないでください。売上の大きさで比べると、個人のビジネスはいつも小さく見えます。でも、借金の有無、毎月出ていくお金、手元に残るお金で比べると、見え方はまったく変わります。
借金をして大きな事業を育てる道も、立派な選択です。ただ、個人で自由な働き方を目指すなら、借金をせずに小さく始めて、仕組みで少しずつ広げていく道があります。働く時間を増やさずに売上を広げる考え方は、レバレッジの効く仕組みを準備するで解説しています。
まとめ
- 年商の大きさと、ビジネスの身軽さや安心は同じではない
- 借金で事業を回すと、うまくいかない時期も返済が続き、重圧が大きくなる
- 個人ビジネスの強みは、借金が残らない・固定費が小さい・すぐに直せるの3つ
- 売上ではなく「手元に残るお金」で目標を立て、大きな出費は売れる形が見えてからにする
- 大きな会社と売上で比べて落ち込まなくていい。比べる数字を選ぶ
まずは、今あなたのビジネスで「売上がなくても毎月出ていくお金」を書き出して、合計を出してみてください。その数字が、身軽に始められているかどうかの目安になります。
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