第8章:プレゼンテーション
個別面談の誘導を目的としたプレゼンテーションの作成
個別面談に誘導するプレゼンテーションには、3つの目的があります。
❶ 講座に参加することでお客様が得られるリターンを醸成しておくこと
参加者が講座によって得られるメリットやリターンを明確に伝えることで、彼らの興味を引きつけます。
❷ 反論処理を事前に済ませておくこと
参加者が持つかもしれない疑問や反論に対して、事前に的確な回答や説明を用意しておくことで、彼らの不安や疑念を解消します。
❸ 個別面談に誘導すること
プレゼンテーションを通じて、参加者に個別面談の重要性やメリットを伝え、彼らが面談に参加する意欲を高めることを目指します。
これらの目的を達成するためには、クロージングの段階で成約を決めるだけでなく、他の認定講師やスタッフによっても成約が可能となるようなプレゼンテーションが必要です。
個別面談の誘導を目的としたプレゼンテーションの適切な長さは、約90分程度だと考えています。
情報を適切に伝えるためには十分な時間であり、長すぎず短すぎずのバランスが取れた時間帯です。
プレゼンテーションの構成要素
上記の3つの目的を達成するためには、以下の3つの要素が重要です。
❶ セットアップ
❷ コンテンツ
❸ オファー
❶ セットアップ
セットアップは、お客様がしっかりと話を聞くことができる状況と態度をつくり、セミナーやプレゼンの内容を前のめりで聞くモチベーションを形成することが目的です。
セットアップに失敗した状態でコンテンツを話したところで、個別面談につながることはありません。
ですので、セットアップの重要性をしっかりと理解し、実践していくことが必要です。
セットアップの構成要素
❶-1:エンロールクエッション
❶-2:強い約束
❶-3:コネクション
❶-4:セミナー受講のルール
❶-5:自己紹介、運営会社の紹介
❶-6:ストーリー
❶-7:セミナーの項目紹介
❶-1:エンロールクエッション
これは、参加者に興味や関心を引く質問を投げかけることです。
質問は参加者が自身の経験や課題について考えるきっかけとなり、積極的に関与してもらえるよう促す効果があります。
「もし、あなたの肌が若返り、きめ細やかな肌になるとしたら、生活にどのような変化が生まれると思いますか?」
少し考えていただきます。(4秒ほど間をあける)
次に、「もしも薬を塗ったり手術をしなくても、体力が戻り元気な生活を送れたら、どのような生活に変わると思いますか?」
もう一度、少し考えていただきます。(4秒ほど間をあける)
このような質問の技術を使うことで、参加者自らが生活にどのようなプラスを得られるのかをイメージしていただくことができます。
そして、良いイメージを持っていただくことに成功すれば、参加者は興味関心を持ち、プレゼンテーションを聴き続けていただけるようになるでしょう。
これらの質問をした後、「もしこれらによって、良い変化を手にすることができると感じられるのであれば、あなたは今、ぴったりな場所にいます。」と承認の言葉をお伝えします。
なぜなら、参加者はプレゼンテーションに参加した際に「私はここにきてよかっただろうか?」という不安な気持ちを持つことが多いからです。
ですので、この2つの質問を行った後に、歓迎の心を込めて承認の言葉をお伝えすることで、参加者の安心と期待を抱かせることができるのです。
このような工夫によって、参加者は安心と期待、両方を持ってプレゼンテーションを最後まで受講することができるようになるでしょう。
❶-2: 強い約束
ここでは、参加者にセミナーの目標やメリットを明確に伝えます。
参加者がセミナーにどのような成果を期待できるのかを具体的に示すことで、彼らの関心を高めることができます。
可能な限り最高の成果を具体的な数字を使ってお伝えします。
もしリターン保証型オファーをご提供している場合は、そのオファーによってどれだけの収益や経済的な効果が見込めるのかをお伝えするのが最善です。
リターン保証型オファーをご提供していない場合でも、具体的な数字に基づいてどのような結果が期待できるのかをお伝えします。
期間や金額、または具体的な結果はテーマによって異なりますが、参加者が目指す目標に向けて具体的な数字をお伝えし、それを実現するための秘訣を共有していきます。
例)
「このセミナーにご参加頂くことで○ヶ月くらいの期間で●●といった結果を出すこともできる▲▲の秘密をお伝えさせていただきます。
しかもこれは、たとえあなたが■■といったことをしなくても出すことができる成果です。」
❶-3:コネクション
コネクションは、参加者との関係構築を目指す要素です。
参加者とのコミュニケーションを活発にし、共感や信頼を築くことが重要です。
具体的な方法としては、参加者同士の自己紹介やアイスブレイク活動などを行うことが有効です。
参加者と講師との直接のやりとりを通じて、参加者は本当に「参加」していると感じていただけるようにします。
このフェーズをスキップすると、プレゼンテーションがYouTubeのライブ視聴と変わらなくなってしまい、途中で退室される可能性が高くなります。
参加人数によってやり方は異なりますが、1対1から1対5人までの場合は、軽い自己紹介をしていただくと良いでしょう。
参加人数がそれ以上の場合は、チャット機能を活用して講師と参加者がやり取りできるようにします。
講師が参加者の質問やコメントに反応し、対応していくことで、より参加者とのコミュニケーションを図ります。
❶-4:セミナー受講のルール
次に、セミナー受講のルールについて説明します。
参加者にセミナーの進行やマナーに関するルールを明示することで、円滑なセミナーの進行を図ることができます。
例)
携帯電話をオフにしてください。他のアプリや通知に気を取られることなく、セミナーに集中することができます。
トイレに関する案内です。セミナー中にトイレに行きたくなった場合は、適切なタイミングで休憩を取るようにしてください。
休憩時間中にトイレに行くことができます。
特典の受け取り条件についてもお伝えします。
セミナー終了後に特典を受け取るために必要な手続きや条件について説明します。
ビデオをオンにして参加してください。
ZOOMセミナーでは、参加者の顔を見ることでより参加感を得ることができます。
しかし、参加人数が多い場合は、ビデオをオフにしても構いません。
特にZOOMセミナーでは、どのような状況であっても受講することができますが、集中できる環境で受講していただくことをおすすめします。
たとえば、「私、今から子供のご飯作らないといけないので、炒飯作りながら聞いても良いですか?」や、「私は体調が悪いので、パジャマ姿で布団に寝転がりながらセミナーを受講してもよろしいでしょうか?」、「その時間はランニング中なので、ランニングしながら受講してもよろしいでしょうか?」など、様々な場面で受講することができます。
しかし、参加人数が5名以下の少人数制のZOOMセミナーの場合は、基本的には顔出しをしていただくことが必要です。
集中できる環境で受講できない場合は、再度スケジュール調整することをおすすめする場合もあります。
セミナーの本編に入る前に、これらのルールと条件を参加者に説明し、参加者がルールに準拠していない場合には退室していただくことがあります。
それによって、参加者全員が快適な環境でセミナーに参加できるようにします。
❶-5:自己紹介と運営会社の紹介
これは、講師や運営会社の信頼性や専門性をアピールする機会です。
自己紹介では、講師の経歴や実績を紹介し、参加者に信頼感を与えます。
また、運営会社の紹介では、セミナーの背景や実績、信頼性を伝えることが重要です。
以下の内容を含めてお伝えします。
- テーマに対して投資した時間や経験
- 誇れる受賞歴などの提示
- 自身の成果とクライアントの成果
- 権威性のある人物画像の使用
- 会社の事務所画像などの掲載
- 電話番号、住所、資本金の明示
❶-6:ストーリー
“私はある自己啓発の概念を1年ほどかけて学び、そのプロセスとステップを習得したことで、私の人生は大きく変わりました。
しかし、そのプロセスをただ紹介しても、視聴者は興味を失ってしまいました。
しかし、私はある日、机を叩きながら自己啓発のプロセスがどれだけ自分に変化をもたらしたかを伝えました。
すると、参加者は一人も眠らずに集中して聞いてくれるようになりました。”(ラッセル・ブランソンの言葉を引用)
ストーリーは、参加者の共感や興味を引くために活用します。
自身の経験や成功事例などを交えて、参加者の心を掴むストーリーテリングを行いましょう。
セミナーでは、本題に入る前、ノウハウを伝える前に、自分自身や顧客の成功ストーリーを共有しましょう。
このプレゼンテーションの目的は、ノウハウを実践して成果を出すことではなく、顧客が一歩踏み出す扉を開くことです。
未来に待ち受ける成功についてしっかりと伝え、参加者に期待とコミットメントを抱かせましょう。
❶-7:セミナーの項目紹介
セミナーの項目紹介では、セミナーの内容や流れを具体的に説明し、参加者に期待感を抱かせることが大切です。
セミナーでお伝えする内容をシンプルに3つ〜5つに分けてご紹介します。
「今から3つの秘密をお伝えします。」という形で、視聴者がわかりやすいようにまとめてお伝えしましょう。
内容が多すぎると混乱し記憶に残りにくくなりますので、3つから5つに絞り込んでシンプルにまとめてください。
このセミナーの目的は興味を引くことであり、成功するためのノウハウを全て伝える場ではありません(それは基本的に不可能です)。
以上がセットアップの構成要素です。
リアルセミナーやZOOMなどでのオンラインセミナー、ウェビナーで手順は若干異なるかもしれませんが、基本的なアプローチは同じです。
今回は一番使用頻度の高いZOOMでのオンラインセミナーに特化して説明しましたが、実際のセミナーにおいては、参加者の状況やニーズに合わせて柔軟にアレンジしていくことも大切です。
セットアップの段階でしっかりと参加者の関心を引き、彼らがセミナーに積極的に参加し、有意義な時間を過ごせるように心掛けましょう。
❷ コンテンツ
この部分では、講座の内容やメリット、参加者にとっての具体的な価値を説明します。
事例や成功体験を交えながら、参加者に実際の成果や効果をイメージさせることが重要です。
コンテンツの目的は、個別面談に来てくれた参加者をスムーズにクロージングできる状態を作ることです。
つまり、提供する情報やアプローチにより参加者が個別面談に参加したいと思い、個別面談で成約につながるための支援になる内容を用意すべきなのです。
そのために必要な要素は、次の3点です。
❷-1:実績を提示する
❷-2:反論をあらかじめ処理する
❷-3:成功の道筋を示す
❷-1:実績の提示
実績の提示は、私たちの講座やテーマに関連して、自社やクライアント、他社、市場でどんな成果を出してきたのかを伝えることです。
実績を示すことで、参加者が将来の目標や意識を明確にし、投資のリターンを見込んで個別面談に進む意欲が高まります。
具体的な数字やお客様の声など、自社の成功事例をたくさん取り入れましょう。
参加者に対して高い価格と成約率を獲得できるプレゼンテーションを行うことを意識してください。
❷-2:反論をあらかじめ処理する
参加者が疑問や懸念を抱く可能性がある点について、事前に対策を準備しておく必要があります。
それにより、参加者の心理的なブロックを解消し、クロージングの障害を減らすことができます。
・トピックで反論をあらかじめ処理する
顧客があなたの商品・サービスに参加して成果を出すことを考えた際に、出てくる可能性がある、様々な反論に対処する必要があります。
そのために、あらかじめ可能性のある反論を予測し、それらに対する解決策を提供することが重要です。
例えば、恋愛系の講座を販売する場合を考えてみましょう。
参加者からは次のような反論が出てくる可能性があります。
・私は女性に対して苦手意識があります。
・そもそも顔に自信がありません。
・女性と出会う機会がありません。
・付き合っている彼女がいるのですが、それでもいいですか?
・振られたら立ち直ることができなそうです。
これらの反論に対して、コンテンツやトピックを使って解決策を提示します。
例えば、次のようなトピックを提案します。
・お酒とお金の力を使って女性恐怖症を克服するスーパー〇〇メソッド
・不細工でもモテるイメージがついてしまう出会い系攻略トレーニング
・彼女持ち必見!お互い自由に遊ぶ日を作るための交渉テンプレート
これらのトピックを通じて、参加者の反論や困惑を払拭し、彼らが自信を持って一歩を踏み出せる状態を作り出すことが重要です。
・お客様の声で反論を処理する
参加者から出る疑問や不安に対して、実際に成功した参加者の声を紹介することで、彼らに「この講座で本当に成功できる」という自信を持ってもらいます。
お客様の声には、次のようなバリエーションがあります。
・忙しいけど成功することができた
・初心者だけど成功することができた
・厳しい状態で参加したけど成功することができた
これらの成功体験を具体的に紹介することで、参加者の成功への期待を高めることができます。
・クロージングの際に出てきた反論を処理する
個別面談でクロージングを行う際にも、反論が出てくることがあります。
その際には、プレゼンテーションの中に反論を処理する要素を組み込んでおくことが重要です。
例えば、他社との比較に関する質問や反論が出た場合は、事前に他社との比較をプレゼンテーションに組み込み、自社を選ぶ理由を明確にしておきます。
これにより、事前に反論を潰すことができ、クロージングの時間を短縮し、成約率を高めることができます。
❷-3:成功の道筋を示す
人は成功を追求する際、どのような道筋を辿るべきかを知りたがります。
セミナーでは、クライアントが成功するために必要なステップや道筋を明瞭に示すことが重要です。
それによって、お客様はその道筋を進みたいと思い、個別面談に進むことも容易になります。
まず、お客様が成功して得たい成果を明確にお伝えしましょう。
成功の全体像、つまりサクセスパスをお客様に明確に伝えることが重要です。
しかし、注意しなければならないのは、具体的な「戦術」ではなく、「戦略」に焦点を当てることです。
例えば、転売系の商品で「Amazonでリサーチする具体的な方法は、このサイトを開いて価格比較するという手順です」といった具体的な話は、商品やサービスに関する内容であり、プレゼンテーションの場で話すべきではありません。
セミナーでは、むしろ全体像や道筋を明確にするためのコンテンツを提供することが重要です。
具体的な実行手順や成果を出すための方法については、別の場所や機会で説明するべきです。
お客様が成功への道筋を理解しやすくするために、グラフや図表を使用することもおすすめです。
成功への道筋を明確に示すことは、お客様が行動を起こしやすくする重要な要素です。
ぜひ、これらのポイントを意識しながら、クライアントが成功への道筋を見つける手助けをしてください。
❸ オファー
個別面談への参加を促すために、その重要性や特典、参加方法などを具体的に説明します。
参加者に対して、面談の予約や申し込みを促す明確なアクションを示すことが必要です。
❸-1:セミナーは終了ということを伝える
コンテンツの説明が終わった段階で、セミナーは終了したことをお伝えします。
たとえば、以下のようにお伝えします。
「今回の内容だけでも、お役に立つ情報を提供できたのではないかと思います。皆さんの大切な時間を投資して、ご参加いただき、誠にありがとうございました。」
❸-2:続きのセッションがあることをお伝えする
セミナーは基本的には90分ですので、実際に人生を変えることができる時間ではありません。
セミナーは、新しい戦略を学び、実践するための「きっかけ」を提供する場所です。
実際に人生を変える場所は、あなたの商品やサービスです。
たとえば、「金持ち父さん貧乏父さん」の書籍を読んだだけでは、実際に人生が変わったと言える人は少ないですよね。
書籍を読んだ後に彼らは不動産投資の講座など、より具体的なフォローアップサービスを利用しています。
ここでご紹介するセッションは、見込み客が手にしたい成果が一言で分かるセッション名にしてください。
もし「○○」を実際に導入して成果を出したいとお考えの方は、「◎◎◎セッション」というものをご用意しています。というような流れでご案内をします。
❸-3:個別面談の価値を説明する
セミナー参加者が個別面談を希望するように、その価値を説明してください。
個別面談は最も価値の高いものですので、そのことをお伝えください。
例)
「通常、私は個別コンサルティングを行う際には「〇〇万円」といった金額をいただいていますが、今回限り特別に無料でご提供させていただきます。」
❸-4:面談に進んだ人限定の特典を用意し、キャンセルしても良いことを伝える
個別面談に申し込んだ方には特典をご用意しますが、特典には2つの目的があります。
目的1:個別面談での成約率を上げること
高額な商品やサービスを購入していただくためには、あなたのコンテンツをじっくりと消化していただく必要があります。
お客様があなたのコンテンツに十分に触れる時間が長ければ長いほど、高額なサービスを購入していただく確率も高まります。
また、実際に提供するサービスはコンテンツの実践をサポートするものですので、コンテンツを事前にプレゼントすることで差別化も図ることができます。
目的2:個別面談の申込率を引き上げること
特典が魅力的であれば、自然と個別面談に申し込むことが当たり前の選択となります。
例)
「個別面談に申し込んでいただいた方には、事前資料として「○○時間のセミナー映像」をプレゼントします。
この映像を通じて、セミナーで話していた重要な要素を手に入れることができます。
実際に映像をご覧いただいて、自分に合わないと感じた場合はキャンセルしていただくことも可能です。
ぜひ、個別面談への申し込みをお待ちしています。」
❸-5:申込む前提で話を進めていく
最後に、個別面談の予約を入れるためには、全員が申し込むことが当たり前のスタンスで話を進めていきます。
少人数(5名以内程度)の場合は、直接個別面談の日程を提案していきます。
「○月○日の○時~もしくは○月○日の○時はいかがでしょうか?」といった形で提案します。
人数が多い場合は、アンケートフォームを用意して、「アンケートに回答してくれた方にはスライド資料をプレゼントします。
ぜひ、今回のセミナーの感想を教えていただければと思います。」
アンケートフォーム内で個別面談の希望日程をお聞きし、後日日程調整を行います。
これらの要素を意識しながら、参加者に魅力的な情報を提供し、個別面談への関心を高めることが大切です。
テストリリース
プレゼンテーションができたら、まずはZoomなどを使ったLive配信でテストリリースして、参加者の反応を見ながら改善を重ね、成約に繋がるまで努力しましょう。
テストリリースをする方法としては、チャレンジローンチと呼ばれる手法が
もっとも早く、簡単にできますので、次の章から解説していきます。
|